そして、コンピュータの古代史の最初を飾るのが、Hollerithのパンチカードシステムである。このマシンは、日本で言えば国勢調査にあたる人口調査の結果を集計するために1898年の開発されている。ただし、このHollerithマシンは博物館の収蔵品のカタログには記載されているが、筆者が訪問した時には展示されていなかった。

そして、パンチカードのマシンとしては、1937年に発売されたIBMのModel 077 Collatorが展示されていた。

1937年に発売されたIBMのModel 077 Collator(右)。

このマシンは、日本で言えば社会保険庁に相当する役所で使用され、パンチカードに記録された名前やソーシャルセキュリティー番号順にカードをソートし、労働者の収入や掛金をパンチカードの形で記録するのに用いられた。

そして、コンピュータと言えるかどうかは分からないが、第二次世界大戦において、ドイツ軍が暗号通信に使用した電気機械式のEnigma暗号器も展示されている。

ドイツ軍が二次大戦で使用したEnigma暗号器。

箱の左と右手前に置かれているのが換字を行うローターで、黒い本体の奥の方に3個のローターのエッジが見える。手前に見えるキーを押すと、この3個のローターを通して暗号化された文字に対応するランプ(写真では見難いが、キーとローターの間にある)が点灯する。そして、ローターが回転し、文字の対応が切り替わる。なお、Enigmaの暗号は可逆であり、暗号化された文字をキーから入力すると平文の文字が点灯し、暗号化と同じ手順で復号を行うことができるようになっている。

Enigmaは3回の換字により強力な暗号を実現しているが、この写真のモデルでは手前の面に見えるプラグボードを持ち、プラグで接続した文字のペアを入れ替えることにより暗号解読の困難さを高めている。