日本AMDは18日、モバイル向けに特化した新型プロセッサ「Griffin」(コードネーム)と、そのGriffinを搭載するプラットフォーム「Puma」(コードネーム)を発表した。従来の同社モバイル向けプロセッサといえば、アーキテクチャをサーバ/デスクトップ向けからTop to bottomで採用したものが主だったが、Griffinはほぼ新規に独自の設計をしたものだとされる。登場はともに2008年半ば頃を計画する。

Pumaプラットフォームについて語る同社ジャパン・エンジニアリング・ラボ(JEL)所長の福井健人氏

Griffinはデュアルコアプロセッサで、ダイの中にメモリコントローラーを含むノースブリッジを統合する点が特徴。L2キャッシュはプロセッサコアそれぞれに独立して搭載。製造プロセスは65nmとされる。メモリコントローラーはDDR2をサポートしており、モバイル向けに電力の最適化、およびDRAMプリフェッチ機能が追加されている。

Griffinのダイ画像。モバイル向けに新規設計されたものだとされた

メモリコントローラーにも改良が加えられている

HyperTransportのバージョンは3.0だが、特にGriffinのHyperTransport 3.0では、省電力化のため、データ転送量によって上り下りのバンド幅をx16~休止まで可変可能としている。それぞれのプロセッサコア、およびノースブリッジ部で独立した電圧制御ができ、使用状況に合せ、コアごとに個別のステートを適用することができる。

HyperTransport 3.0にもモバイル向けに特化した機能が

コアごとに独立してステートを制御可能

Griffinは「ライオンの力強さ、鷲の機動力を持つプロセッサ」(日本AMD)だという。Griffinのコードネームの由来は、ギリシャ神話の架空の動物で、ライオンの胴と鷲の翼を持つ「グリフィン」だ。

DX10をハードウェアサポート

このGriffinと組み合せるプラットフォームがPuma。RS780M+SB700チップセットで構成され、R600世代という統合グラフィックによりハードウェアでDirect X10に対応、PCI ExpressはGen 2で、DVI、HDMI、DP(DisplayPort)を備える。また、フラッシュメモリによるキャッシュ技術で、ReadyBoostやReadyDriveをサポートする「HyperFlash」を接続可能なインタフェースを設ける。

Pumaプラットフォームのブロック図

さらに「PowerXPress」と呼ばれる新機能により、使用状況に応じた、統合GPUと外付けGPUの切り替えを実現する。具体的には、バッテリー動作時は統合GPUを利用することで消費電力を抑え、AC電源動作時は外付けGPUを利用することでパフォーマンスを最大にする。すでに同様の機能を独自搭載する現行製品があるが、PowerXPressではリブートなしにシームレスな利用が可能という特徴があるとされる。

PowerXPressのイメージ。パフォーマンスクラスのノートのバッテリー持続時間を伸ばす目的がある