一方で好調なのが、ストレージベンダの米EMCだ。同社の主力はエンタープライズ市場向けのストレージ製品群だが、同時に近年の度重なる買収でさまざまなソフトウェアソリューションを獲得しており、これが好業績のけん引役となっている。仮想化ソフトウェアのVMwareとセキュリティのRSA Securityの製品群がその役割を果たしており、特にVMwareは昨今のハイエンドサーバと仮想化ソフトウェアを組み合わせたサーバ統合のブームに乗り、大きな伸びを見せている。

同社のQ1決算の売上は29億8,000万ドルで前年同期比17%のアップ、GAAPベースでの純利益は3億1,260万ドルとなり、EPSベースでの比較で36%アップとなる。同社のソフトウェア製品は売上全体の40%ほどを占めるが、その年間成長率は29%とハードウェア製品の9%と比較してはるかに高く、さらなる成長が期待できる。またコンテンツ管理ソリューションのDocumemtumも、VMwareと並んで同社の主力製品としての成長が予測される。

大規模サーバやエンタープライズ分野が、現在のIT業界の成長を大きくけん引しているようだ。米IBMのQ1決算では、売上が前年同期比7%アップの220億ドル、純利益が8%アップの18億ドルとなる。ソフトウェア部門、特にWebSphereなどのミドルウェア関連が好調で、サーバ製品を扱うハードウェア部門ではメインフレームやUNIXサーバなどのハイエンドサーバ非常に好調だ。IBMのライバルにあたるSunが16日、富士通と共同でハイエンドサーバ分野強化を狙った新製品群を発表しており、こうしたトレンドがIBMの決算からも判明した形となる。

このように比較的順風満帆に見えるハイエンドエンタープライズの分野だが、いくつかのリスク要因もある。米Wall Street Journal紙がIBM決算についての記事で紹介していたのが、経済的なリスクだ。IBMによれば3月における米国での販売実績が急下降しており、市場全体でIT投資が抑制されつつある可能性があるという。同様の指摘は業界アナリストや前出のEMCも行っており、今後時間を経るにつれて顕在化してくるのかもしれない。