17日(米国時間)、主要IT各社の2007年第1四半期(1-3月期)決算が出揃った。各社の業績結果を見比べて、IT業界の2007年前半のビジネストレンドを分析してみよう。

一般に、IT業界では第1四半期(Q1)の決算はどの企業も低下する傾向がある。理由はいろいろ考えられるが、米国では新学期シーズンや年末商戦などのコンシューマ市場での需要が伸びる時期が年の後半に集中しているため、ちょうどその谷間にあたるQ1は業績が低迷しやすいといわれている。エンタープライズ分野でのシステム受注が特定の時期に偏る傾向は見い出しにくいが、通年でみれば、やはりQ1の業績は低くなる傾向が強い。特にコンシューマ分野をカバーする企業はその影響を受けやすく、たとえばAMDやIntelといったPCメーカーに部品を卸す企業の場合、Q1の業績予測を低めに抑えるのが通例だ。

だが米AMDは10日(現地時間)、ライバルとの価格競争と需要鈍化が原因でQ1の業績見込みをさらに下方修正することを正式に発表している。同社の正式なQ1決算発表は19日に行われる見込みだが、当初の16~17億ドルから12億2500万ドルの水準にまで下方修正している。

一方でライバルのIntelのQ1決算は17日に発表され、売上は89億ドル、運用利益は17億ドル、純利益は16億ドルとなった。前年同期比で売上は1%減少しているものの、純利益は19%上昇している。同時にグロスマージンも当初予想の49.6%から50.1%へと上昇しており、利益体質が改善している。平均販売単価(ASP)下落の傾向はAMDと同様だが、レイオフ実施に加え、製品出荷コストの減少といった要因もあり、業績全体でみれば好調だといえるだろう。Intel Core Architecture、クァッドコアといった製品の好調に加え、次世代の45nmプロセッサ"Penryn"でもAMDに若干先行する形となるため、2007年いっぱいはIntelの業績は比較的安定するものと考えられる。

Q1決算で業績が低下するのはプロセッサメーカーだけではない。PCコンポーネントを提供する他のベンダーも同様の影響を受ける。HDDメーカーの米Seagate Technologyは同日、同社会系年度で2007年第3四半期(1-3月期)の決算報告を行っている。売上は28億2,800万ドルで前年同期比24%アップ、純利益は2億1,200万ドルで23%ほど減少している。同社は2006年5月にMaxtor買収を完了させており、そのぶんの売上が上乗せされた形となる。だがデスクトップPCで主力の3.5インチHDDの需要減少や販売価格下落といった情勢もあり、当初の見込みと比較して業績が低下している。