■地震対策を重視、札幌延伸を見据えた性能向上も

「ALFA-X」の最高運転速度は360km/hで、試験として一時的に400km/hも可能。走行試験でも数回程度、最高速度400km/hの走行を行うとしている。台車は「空気ばね式車体傾斜機構付ボルスタレス方式、地震対策左右動ダンパ、地震対策クラッシャブルストッパ付」とされ、車輪径860mm、軸距2,500mm、台車間距離17,500mm。軸箱支持方式は1~4号車と9・10号車が「支持板方式」、5・6号車が「軸はり方式」、7・8号車が「改良ウィング式」。電気方式は「交流50Hz 25,000V」、主回路方式は「コンバータ/インバータ方式(台車制御)」、制御方式は「VVVFインバータ制御方式」となる。

主回路機器は高出力化を図り、台車単位の制御とすることで粘着を確保。さらなる高速化と、勾配区間における速度向上をめざした。主変換装置のスイッチング素子にはSiC素子を採用。高出力化を図りつつ、機器の大型化を抑え、高効率化も実現している。

  • 「ALFA-X」の一部車両で台車も見ることができた

ブレーキ方式は「回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重制御付)」、基礎ブレーキは「低騒音車輪ディスクブレーキ(中央締結式)、空圧式キャリパ+等圧構造ブレーキライニング」、空気圧縮機は1~6号車が「オイルレススクロール式」、7~10号車が「油冷スクリュー式」。保安装置は「ATC(DS-ATC)、無線ATC」、列車無線は「LCX無線+構内防護無線」、分割併合機能については「準備工事」とされている。

開発コンセプトのひとつ「さらなる安全性・安定性の追求」において、最も重要視したのは地震対策だという。屋根上に空力抵抗板ユニットを搭載しており、通常走行時は抵抗板が閉じ、フラットな状態だが、地震発生後の動作時は抵抗板が開き、空気抵抗が増すことで減速力が大きくなり、停止距離の短縮が可能になる。地震発生時に車両の減速度を増加させるリニア式減速度増加装置、脱線しにくくさせる地震対策左右動ダンパと地震対策クラッシャブルストッパも搭載している。

  • 報道公開に先立ち、「ALFA-X」の屋根上に搭載された空力抵抗板ユニットの説明が行われた

JR東日本の新幹線は雪の多い区間を走るため、着雪対策も重視。台車および台車周辺部の手前で風の流れを変え、着雪を低減する構造を取り入れた。「ALFA-X」では台車全体をモニタリングする装置も搭載。安全を自律的に判断する「インテリジェントな台車」の実現をめざすとしている。

快適性の向上も図り、動揺防止装置と上下制振装置で左右・上下方向の揺れを抑制するほか、車体傾斜制御装置(最大車体傾斜角度2°)を搭載し、曲線走行時における乗り心地の向上をめざす。空調装置は冷房・暖房ともに1両2台(先頭車は1両1台)とし、1台あたりの出力は冷房37.21kW、暖房21kW以上。現行の空調と比べて、冷房は性能を維持しつつ小型軽量化と運転時の静音化をめざし、暖房は将来の札幌延伸を見据えて性能の向上を図り、真冬のマイナス30度の外気温でも快適な車内空間を提供できるようにする。空調制御装置の操作性も向上し、文字情報で動作状況など確認できるという。

シングルアーム式のパンタグラフは3・7号車に設置。空力騒音を低減した2種類の新型低騒音パンタグラフを開発するとともに、多分割すり板も低騒音化を考慮した形状改良を行い、集電性能と低騒音性能を両立させる。地上設備や車両の各機器をモニタリングする装置を搭載し、安全・安定輸送とCBM(状態基準保全)の実現もめざした。