金剛山地の優雅な山並みを南に望む奈良県広陵町にキャンパスを構える畿央大学は、2003 年開学の新しい大学です。健康科学部と教育学部の 2 学部制で、理学療法士や看護師、管理栄養士、建築士、小学校・幼稚園・養護教諭、保育士など、社会を支える数多くのスペシャリストを輩出しています。同大学では 2022 年度から新入生 1 人ひとりへ配布するノート PCに「Surface Laptop Go」を採用し、ICT の利活用を率先して強化しています。併せて、Microsoft 365 Education や Microsoft Azure といったマイクロソフトのソリューションも導入。実学の精神に基づく実践的な取り組みが効果を発揮し、就職率は関西地区の大学で毎年上位にランキングされています。

開学 20 周年を控え、ICT 活用と最新技術に関する教育プログラムの高度化を追求

2023 年に開学 20 年を迎える畿央大学は、健康と教育の 2 つの分野において指導的立場で活躍する人材の育成を目指しています。学校法人冬木学園 理事長で、2016 年から畿央大学の学長も務める冬木 正彦 氏は次のように語ります。

  • 畿央大学 理事長/学長 理学博士 冬木 正彦 氏

    畿央大学 理事長/学長 理学博士 冬木 正彦 氏

「教職員と学生が一体となり、専門的知識と幅広い教養、実践的体験を得られる場である点が本学の特徴です。まだ開学から 20 年足らずですが、すでに各々の職場で頼られる人材を数多く生み出し、その人材がまたその後輩を指導する ―― 卒業生から新入生までつながるサイクルがうまく回っています」(冬木 氏)。

同大学では 2011 年に LMS(学習管理システム)として冬木 氏が開発に携わった授業支援型 e ラーニングシステム「CEAS(シーズ)」を導入。2014 年度の新入生から 2-in-1 タイプの Surface の 1 人 1 台貸与を開始するとともに、Office 365(現 Microsoft 365)の導入も始めました。さらに、翌 2015 年に Microsoft Azure(以下、Azure)の運用を開始。2016 年には認証、教務、授業支援など学内の主要システムをクラウドに移行しています。

2021 年 4 月には、大学独自の次世代型教養プログラムの開発・運用を行う目的で「次世代教育センター」を設置します。健康科学部の教授で、この次世代教育センター長に加え、学内の情報システム構築・運用や授業支援・研究開発基盤の提供を担う教育学習基盤センター長も兼任する福森 貢 氏が、次世代教育センターの意義と取り組みを説明します。

  • 畿央大学 健康科学部 理学療法学科 教授/教育学習基盤センター長/次世代教育センター長 福森 貢 氏

    畿央大学 健康科学部 理学療法学科 教授/教育学習基盤センター長/次世代教育センター長 福森 貢 氏

「国家試験や教員採用試験への合格だけを目的とするのではなく、学生が自ら主役となる、次世代においてリーダーとなるため、まずはロボット、AI といった最新デジタル技術にスポットを当てた教育プログラムを提供しています。2021 年度はロボットと人間の関わりについての講演などを最新の CEAS である『OpenCEAS(オープンシーズ)』で提供しました」(福森 氏)。

ノート PC を 1 人 1 台 の貸与にて提供、教育的効果と経営的効果をもたらす

情報教育に先駆的に取り組んできた同大学では、ICT 活用に次のような姿勢で臨んでいるといいます。

「ICT 環境があるのはもはや当たり前。教育の大前提として ICT を常に活用できる状況をつくり、授業中はもちろん予習・復習も含めて有機的に学べるようにするため、CEAS の導入と併せて 2010 年代中盤からさまざまなシステムをクラウド化していくとともに、学生全員に 1 人 1 台の端末を貸与しています」(冬木 氏)。

大学で学生個人が利用する端末というと BYOD が一般的。畿央大学はなぜ、大学側で購入して学生に貸与するスタイルを採用したのか、再び冬木 氏が語ります。

「入学時に個人端末として貸与することで、4 年間自己責任で管理することを学べますし、教員側からすれば同じ端末・同じ環境で授業を行えるメリットがあります。また、全学生に行き渡ることで PC 教室とそれに伴うサーバーをなくすことができ、設備の運用負荷やコストも減らせます。このように、教育的効果と経営上の効果の双方から、貸与という形を選びました」(冬木 氏)。

貸与する端末は、前述のように 2014 年度から 4 年間は 2-in-1 タイプの Surface、その後の 4 年間は別メーカーのノート PC に変更しましたが、2022 年度から再び Surface に戻り、新たに Surface Laptop Go を貸与することとしました。つまり Surface Laptop Go は 3 代目の全学生貸与 PC ということになります。こうした変遷をたどった理由を、法人総務部 部長の中山 裕嗣 氏が解説します。

  • 畿央大学 法人総務部 部長 中山 裕嗣 氏

    畿央大学 法人総務部 部長 中山 裕嗣 氏

「最初に導入した Surface はまだ初期に発売されたモデルだったこともあり、少し改善の余地がある製品でした。そこで 2018 年度からはほかのメーカー製も含めて抜本的に見直そうという話になり、検討を重ねた結果、コストと軽さ、そして堅牢性などを勘案して、ある国内メーカー製 PC に変更しました」(中山 氏)。

ところが、この国内メーカー製PC は薄型軽量のビジネスパーソン向けだったためか、学生がよく利用するリュックの中に書籍などと一緒に詰め込んだ場合に、液晶割れや筐体の破損が多数発生したといいます。

「軽くて使いやすい PC ではありましたが、学生特有の使い方では壊れやすい面がありました」と中山氏。次の 4 年間の貸与端末については、また改めて機種を見直すことになりました。そして 2021 年秋、翌 年度から導入する新たな端末について検討を開始します。検討対象となったのは数社のビジネス向け PC と、2-in-1 ではないラップトップ型の Surface Laptop Go でした。

本格的なキーボード付きのラップトップ型 Surface が実学の方針にフィット

候補となった端末の比較検討を行った結果、Surface Laptop Go が選定されました。

「学生が社会に出てから PC を当たり前のものとして使っていくことを考えると、大学でもそれを想定した実践的な端末を選ぶべきだと考えます。Surface Laptop Go は、基本性能の高さやコスト面のアドバンテージはもちろん、本格的なキーボードを搭載していることが大きな評価ポイントとなりました」と中山 氏は説明します。

Surface Laptop Go は、基本性能の高さやコスト面のアドバンテージはもちろん、本格的なキーボードを搭載していることが大きな評価ポイントとなりました。
―中山 裕嗣 氏 : 法人総務部 部長
畿央大学

加えて、学生が重視するデザインや、以前の国内メーカー製 PC において課題となっていた堅牢性においても、評価を得るのに十分な基準にあったことも選定ポイントであったといいます。

Intel Core i5 プロセッサと 12.4 インチのタッチスクリーンを備えた Surface Laptop Go 。搭載メモリは 8 GB を選択し、カラーは 3 色の中からサンドストーンを選びました。学生の約 7 割を女性が占めているため、教育学習基盤センターの女性職員の意見を募ったところ、一番の人気がサンドストーンでした。

実は、冬木 氏自身も以前からラップトップ型 Surface のユーザーでした。冬木 氏は2003年度以降、CEAS の開発に携わってきましたが、その開発にラップトップ型 Surface を長らく利用しているのです。とはいえ今回の Surface Laptop Go 採用は冬木 氏が助言したわけではなく、教育学習基盤センターで検討を重ねたうえ、学園の情報化推進委員会において 2021 年末に最終決定されたとのことです。

  • 学内からも意見を募り決定された Surface Laptop Go のサンドストーン|

    学内からも意見を募り決定された Surface Laptop Go のサンドストーン

  • 畿央大学 学長 冬木 正彦 氏は、以前からラップトップ型 Surface のユーザーだった

    畿央大学 学長 冬木 正彦 氏は、以前からラップトップ型 Surface のユーザーだった

全学部の多様な科目で ICT 教育の深化と実践的な学びの追求に活用

2022年入学の1年生から全学部生への貸与が始まった Surface Laptop Go 。まずは入学当初の情報オリエンテーションで LMS やメールなどの基本的な使い方を学んだうえ、すべての学部で正課科目、正課外科目を問わず活用しています。

  • 授業ではもちろん、自主学習や課外活動など、学生たちはさまざまなシーンで Surface Laptop Go を活用していた
  • 授業ではもちろん、自主学習や課外活動など、学生たちはさまざまなシーンで Surface Laptop Go を活用していた
  • 授業ではもちろん、自主学習や課外活動など、学生たちはさまざまなシーンで Surface Laptop Go を活用していた
  • 授業ではもちろん、自主学習や課外活動など、学生たちはさまざまなシーンで Surface Laptop Go を活用していた
  • 授業ではもちろん、自主学習や課外活動など、学生たちはさまざまなシーンで Surface Laptop Go を活用していた

例えば、1 年次に設定され、文部科学省の MDASH プログラムにも認定されている情報処理演習 Ⅰ (前期)・ Ⅱ (後期)という全学部必修科目でも毎回の授業で使われています。「 Surface Laptop Go を活用することで、問題解決パターンの会得や能動的学修、情報セキュリティ、ICT 活用の背景にあるモデルの理解、対象や処理の仕組みの理解を効果的に深められると考えています」と実際に教壇に立つ福森 氏は語ります。

Surface Laptop Go を活用することで、問題解決パターンの会得や能動的学修、情報セキュリティ、ICT 活用の背景にあるモデルの理解、対象や処理の仕組みの理解を効果的に深められると考えています。
―福森 貢 氏 : 健康科学部 理学療法学科 教授/教育学習基盤センター長/次世代教育センター長
畿央大学

これまでに情報処理演習では、前期の終わりもしくは後期の初めに 1 度、貸与PC を工場出荷状態に戻すというユニークな取り組みも行いました。

「初期化することで、仮に何かトラブルが発生した場合は元に戻せますし、PC の動作が重くなったというような状況も解決できます。授業で学び、実際に体験しておけば、その後は各学生が必要に応じて初期化しながら、Surface Laptop Go を 4 年間きれいな状態で使い続けられるでしょう。もちろんデータはクラウドにあるので問題ありません。こうした取り組みも、BYOD の個人端末ではなく、大学で貸与しているからこそできるのだと思います」(福森 氏)。

必修の英語や各専門科目の課題・レポート提出でもよく使われています。そのほか、学生は履修登録や課外活動も含め、Surface Laptop Go を日常的に活用しているそうです。

  • タッチ操作や指紋認証といった機能も学生たち自らで発見し、各々が使いやすいようにSurface Laptop Go を利用している
  • タッチ操作や指紋認証といった機能も学生たち自らで発見し、各々が使いやすいようにSurface Laptop Go を利用している
  • タッチ操作や指紋認証といった機能も学生たち自らで発見し、各々が使いやすいようにSurface Laptop Go を利用している

新規導入から夏季まで 4 カ月の感想として、中山 氏は「ほぼ壊れていません。他社製 PC のときは例年、夏までに 10 件ほど交換の要望が出ていたのですが、Surface Laptop Go ではまだ 1 件。“頑丈なものを”というニーズはしっかり満たされています」と強調します。

他社製 PC のときは例年、夏までに 10 件ほど交換の要望が出ていたのですが、Surface Laptop Go ではまだ 1 件。“頑丈なものを”というニーズはしっかり満たされています。
―中山 裕嗣 氏 : 法人総務部 部長
畿央大学

前述のように同大学では Surface Laptop Go、Microsoft 365 Education、Azure と、マイクロソフトのソリューションを総合的に活用しています。すでに LMS(OpenCEAS )の Azure への移行もほぼ完了しています。

今後について福森 氏は、AIを使った分析などデータサイエンスの取り組みを深め、学生への教育に実装していきたいと展望します。

「『統計学』や『データサイエンス及び AI 利用・活用の理解と演習』などの演習を行い、大学での専門的な学びの基盤となる情報処理能力を涵養して、より深い実学の追求につなげていきたいと考えています」と福森 氏。

Surface Laptop Go は現在 1 年生のみが使っていますが、3 年後の 2025 年度には全学年の学生に貸与されます。そうすれば ICT 活用によって目指す教育面と経営面の双方の効果がより大きなものになると、冬木 氏も期待を示しています。畿央大学における ICT 活用のさらなる高度化を、マイクロソフトとしても引き続き支えていきます。

[PR]提供:日本マイクロソフト