仕事ができる「生産年齢人口 (15 ~ 64歳)」が、日本では年々減り続けています。1995年の国勢調査では 8,726 万人でしたが、2015 年では 7,728 万人となり、この 20 年間で1 割以上も減少しているのです。こうした社会状況下では、個々人の生産性を高めていかなければ、企業が競争力を維持することは困難です。
これを見据えて国内の多くの企業が、働き方を見直す取り組みを推進しています。セキュリティに対する企業責任が強く問われるようになっている今日、働き方改革の実施にあたっては、テレワークに代表されるオフィス外業務もきちんと管理できるような体制が必要です。しかし、厳しく管理統制することによって、結果的にビジネスの生産性を引き下げてしまうというジレンマもしばしば耳にします。セキュリティと生産性を両立した働き方改革は、いったいどうすれば実現できるのでしょうか。
働き方改革に早期から取り組んできた富士ソフトの業務スタイルは、この問いに対する好例といえます。同社では、「最小の管理」で「最大のセキュリティ」を確保できる体制を構築することにより、事業部門が、場所や時間だけでなく煩雑なルールにも縛られずのびのびと業務ができる環境を用意しているのです。理想ともいえるこの業務スタイルは、富士ソフトが IT 方針に掲げる「平易化」と、Microsoft 365 をはじめとしたクラウド サービスによって実現されています。
ITを、できるだけシンプルに
1989年に在宅勤務制度を開始し、1990 年にはフレックスタイム制を導入するなど、富士ソフトは「働き方改革」という言葉ができるずっと以前から、この取り組みを推進してきました。2017 年には日本テレワーク協会の主催する「第17回 テレワーク推進賞」にて会長賞を受賞。歴史と実績の双方を備える同社は、世の中の働き方改革を牽引する 1 社だといえるでしょう。
働き方改革は、「制度 (ルール)」「文化」「IT (ツール)」の 3 つともが整備されていなければ、前に進むことができません。働き方改革を牽引する立場にある富士ソフトは、どのような方針のもとで、これらの環境を整備しているのでしょうか。富士ソフト株式会社 執行役員 技術管理統括部 統括部長 セキュリティ事業推進部 部長 布目 暢之 氏は、「平易化」をキーワードに、環境整備のポイントを説明します。
「働き方改革には IT 活用が不可欠ですが、あれこれツールを導入すればいいかというと、そんなことはありません。セキュリティを堅持することが前提となりますから、IT ツールを増やせば増やすほど、管理も強化する必要があるのです。これはエンドユーザーである従業員に課すルールを増やすことでもあります。ビジネスの現場がのびのびと業務に臨み、有効に IT を利用する。こうした業務環境を提供するためには、統合、Web 化といった形で IT を『平易化』しながらツールを拡充していくことが求められます」(布目 氏)。
申請承認、経費精算といった業務システムを Web 化することは、社外からのアクセスに対応させる観点でも有効です。そして、扱うツールを統合していけば、利用ルールもよりシンプルにしていくことができます。こうした「ITの平易化」は、従業員が場所や端末、ルールに気を留めることなく IT を活用できる、そして本業に専念できる環境を提供することにつながるのです。富士ソフト株式会社 執行役員 営業本部 副本部長 三田 修 氏は、こうしたユーザーにとって利便性の高い IT 環境は、制度と文化を変化させていくうえでも有効だと語ります。
「会社にあらたな制度を浸透させたり、企業文化そのものを変えたりしていく上で、利便性の高い IT 環境は欠かせません。たとえば、当社では最近、喫煙やプライベートな電話、SNS 利用のために 10 分単位で休憩ができる『リフレッシュタイム制度』を導入しましたが、手間のかかる申請が必要、決められた階の固定席でしか業務できない、といった業務環境ならば、誰もこの制度を利用しようとは思わないでしょう。平易で自由な IT 環境が用意されているからこそ、制度を活用しようという動き、文化が生まれるのです」(三田 氏)。
つづけて布目 氏は、業務環境の利便性をよりたかめるために、あらたな取り組みにも着手していると語ります。
「当社では 2018 年度から Microsoft 365 を採用し、移行作業を進めています。業務アプリケーションだけでなくより包括的にシステムを統合化すること、そしてセキュリティをさらに強化することが目的です」(布目 氏)。
Microsoft 365 ならば、システムの統合をすすめながらセキュリティ水準も高めることができる
Microsoft 365 は、クライアント OS である Windows 10 Enterprise と、Office 365、そしてモバイル デバイスを統合的に管理する Enterprise Mobility + Security (EMS) を合わせて提供するソリューションです。
Microsoft 365 は単一アカウントで利用可能なため、既存の情報系システムやセキュリティ製品だけでなく、クライアント側が備える機能、システムも統合していくことが可能です。富士ソフト株式会社 MS事業部 アライアンス推進室 室長の高野 祐一 氏は、Microsoft 365 をもってシステムを統合することの意義についてこう説明します。
「クライアント PC には、OS や日々の業務に利用する Office、エンドポイントを守るためのアンチ マルウェアなど、さまざまなシステムが実装されています。こうしたシステムの多くが、Microsoft 365 であれば統合することが可能です。たとえばセキュリティでいえば、Windows 10 Enterprise が標準で備える Windows Defender AV を使えば、サード パーティ製品を利用せずともウイルスやスパイウェアに対策できます。ドキュメント保護も、EMSが標準で備える Azure Information Protection で実装可能です。システムの統合をすすめながらセキュリティ水準も同時に高めることができる、これは Microsoft 365 の大きな優位性でしょう」(高野 氏)。
富士ソフトが Microsoft 365 で統合をすすめているシステム、機能(一部) | ||
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機能名 | 機能概要 | 搭載製品 |
Windows Defender AV | アンチ マルウェア | Windows 10 Enterprise |
Windows Defender ATP | 不審な挙動の検知 (EDR) | Windows 10 Enterprise |
Azure Information Protection | ドキュメント保護 | EMS |
Intune | モバイル デバイス管理(MDM) | EMS |
Office | ドキュメント作成 | Office 365 |
Exchange Online | メール、カレンダー | Office 365 |
Skype for Business | チャット | Office 365 |
Microsoft Teams | ビデオ通話 | Office 365 |
企業を襲う脅威は巧妙化しており、日々あらたな攻撃方法が生まれています。このスピードに対抗できるようにシステムやセキュリティ機能もアップデートしていかなければ、万全な対策はできません。Windows 10 Enterprise では Windows as a Service (WaaS) というコンセプトのもと、機能更新プログラムが継続的に提供されます。また、Office 365 や EMS は、クラウド ベースで提供されるため、常に最新でセキュアな環境が保たれます。高野 氏が触れたように、Microsoft 365 の採用は、システム統合による平易化だけでなく、セキュリティ水準の向上にも有効なのです。
こうしたセキュアな環境があることで、ユーザーは安全に、安心して外から業務 PC を利用することができます。さらに、布目 氏と三田 氏は、利便性を高めるという観点でも、Microsoft 365 移行にあたってある工夫をしていると語ります。
「実は当社では、Windows 10 Enterprise の更新ファイルを、従業員が任意のタイミングで自分のデバイスに適用できるようにしています。OS 更新のタイミングで IT 部門が数か月を費やして事前に互換性検証をし、その後従業員へと展開することが一般的ですが、当社はこのプロセスを踏んでいません。つまり、検証をせずに Windows 10 を展開していることになります。なぜこのようなプロセスが可能かというと、かねてからシステムの Web化などをすすめてきたことにより、クライアントの変更に強い点が挙げられます。これによりシステム動作の互換性検証が不要となっているのです。また、根底にはマイクロソフトへの信頼があり、従来型の互換性検証がなくともOS更新ができることを確信していました」(布目 氏)。
「手前味噌ですが、当社は国内トップ レベルの、Windows システムのリセラーです。社内で利用するだけでなくあらゆる企業へ PC やシステムを収めており、これまでの実績から、Windows を始めとするマイクロソフトの各種サービスには高い安定性、そしてセキュリティが確保されていると確信しています」(三田 氏)。
"アンチ マルウェアを Windows Defenderに切り替えるなど、従来はサード パーティ製品でまかなっていた機能を標準機能に統合する。この決断にあたっては、プロダクトとベンダーへの信頼が不可欠です。当社が Microsoft 365 でシステム統合をすすめていることは、マイクロソフト社への信頼と同義といえるでしょう"
-布目 暢之 氏: 執行役員 技術管理統括部 統括部長セキュリティ事業推進部 部長
富士ソフト株式会社
ビジネス現場の生産性をいっそう高めることに期待
「最小の管理」で「最大のセキュリティ」を確保している富士ソフトの業務環境は、どのような効果をビジネス現場にもたらしているのでしょうか。三田氏は生産性の観点から、つぎのように語ります。
「当社が IT の統合、Web 化をおおむね完了させたのは 2011 年頃のことですが、それ以前と比較すると、時間外勤務の時間は 1 人あたり月間 10 時間ほど削減することができています。また、全従業員の 8 割がテレワークを利用しているなど、『時間の使い方』を最適化する文化が浸透したと感じています。Microsoft 365 の本格導入後に期待しているのは、1 つ 1 つの業務をより深化させ、これまでのように時間を短縮するだけでなく生産性も向上させることです。Microsoft 365 の標準機能には生産性向上に有効なツールも揃っていますから、各ツールを使いこなす事でそれを果たしていけると思います」(三田 氏)。
"チャットや音声ベースのワーク ツールである Microsoft Teams、より良い働き方の習慣づくりを支援する Microsoft MyAnalytics などは、1 つ 1 つの業務の生産性を高める上で有効に機能するでしょう。こういった機能を積極的に活用していきたいですね"
-三田 修 氏: 執行役員 営業本部 副本部長
富士ソフト株式会社
つづけて布目 氏も、現在移行作業をすすめている Microsoft 365 に対して、こう期待を述べます。
「生産性を高めるためにできることは、数多くあります。たとえば、ユーザー認証に生体認証の Windows Hello を利用すれば、ID / Pass の入力作業を省くことができます。また、社内ネットワークを暗号化すれば、わざわざファイルにパスワードをかける手間も減らせます。最近では、クラウドで仮想デスクトップ環境を構築できる Windows Virtual Desktop も発表されました。マイクロソフトのサービスとの親和性が高いわけですから、現在利用している VDI 基盤をこれに移行すれば、利便性をいっそう高められるかもしれません。2019 年度までかけて、既存システムを Microsoft 365の標準機能へと統合をすすめていく予定ですが、この取り組みによって、従業員が今まで以上に自由を獲得して、自ら働き方を変革していくような文化が生まれることに期待しています」(布目 氏)。
自社ノウハウをサービス転換して、顧客にも価値を提供していく
Microsoft 365 を使いこなすことによって、富士ソフトの企業生産性はより向上していくことでしょう。そしてこれは、同社だけの効果にとどまりません。富士ソフトは国内屈指のマイクロソフト製品のリセラーであり、ノウハウを積み上げることは、顧客に対して従来以上の価値が提供されることにながるのです。この点について、高野 氏はこう語ります。
「セキュリティの保持や社内統制に要する運用負荷に悩むお客様は少なくありません。ルールを複雑化することは、管理者にとって負荷が増えるうえに、現場の生産性も損ねてしまうおそれがあります。セキュリティは確保しなければならない、でも生産性も高めたい……、こうしたジレンマを抱えるお客さまに対して、当社の持つノウハウ、IT 技術を提供する。これによってお客さまの課題をこれまで以上に解決できるよう、事業展開していきます」(高野 氏)。
"生産性とセキュリティに課題を持つお客さまは多いです。Microsoft 365 は、これを解決する最適なサービスの 1 つだと考えています。当社のノウハウを交えながら Microsoft 365 を提供することで、お客さまの働き方改革も支援していきます"
-高野 祐一 氏: MS 事業部 アライアンス推進室 室長
富士ソフト株式会社
セキュリティと生産性の両立は、ほとんどの企業に共通した経営課題だといえるでしょう。「生産年齢人口の減少」が年々深刻化する中、この経営課題への対応は、悠長に構えてはいられません。富士ソフトが推進する働き方が、「何重ものルールのもとで IT を管理統制する」という従来の常識を覆しながら、社会全体の働き方を変えていくことに期待が高まります。
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