富士通では、全社的なDXプロジェクト・Fujitsu Transformation(通称:フジトラ)や新しい働き方改革のコンセプト「Work Life Shift」を推進するなかで、2015年から運用を続けてきたオンプレミスVDIのクラウド移行に取り組みました。従来のVDI基盤は、VMware Horizonを活用して構築され、社員8万人が利用するという国内有数の規模です。そのようななかで移行をスムーズに進め、ユーザーに新しい価値を提供するために採用したのがVMware Horizon Cloud on Microsoft Azureでした。

ソリューション

ヴイエムウェアとマイクロソフトと3社でタッグを組み、VMware Horizon Cloud on Microsoft Azureに移行するためのPoC(概念実証)、性能検証、Windows OSのサイジングやWindows 10マルチセッションを利用する際のチューニングを実施。また、Microsoft Teamsを快適に利用するためのTeamsメディア最適化機能を共同でブラッシュアップした。

導入前の課題

  • 社員の多様な働き方を支えるため、既存のVDIからDaaSへのスムーズな移行
  • DaaS環境におけるMicrosoft Teamsを中心とした音声やビデオを伴うコミュニケーション環境の最適化
  • ハードウェア老朽化にともなうリプレース作業やシステムメンテナンス負荷の軽減

導入効果

  • 強固なセキュリティ保護と、高いパフォーマンスを備えつつ柔軟なリソース追加が可能なデスクトップ環境を構築
  • Microsoft Teamsのメディア最適化機能で社員の生産性向上に寄与、高速なAzure NetApp Filesで VDI 特有のストレージ高負荷シナリオにも柔軟に対応
  • ハードウェアメンテナンスとリプレースコストを大幅削減。過渡期のライセンス数もVMware Universal Licenseを活用し2重にならないよう調整

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従業員のニーズへの柔軟な対応と生産性の向上に貢献するべく、新たにDaaS環境を用意

2020年から全社DXプロジェクト「フジトラ」を推進し、経営と現場が一体となった持続的なDXを加速させている富士通。グローバル従業員12万4200人(2022年3月末)、売上収益3兆5868億円(2022年3月期連結)という日本を代表する企業である富士通がフジトラで目指すのは、富士通自身(社内)のDXとともに、事業そのもの(社外)のDXという2つの変革を連動させることで、自らが実践して得た知見を顧客や社会に価値として提供する存在になることです。

富士通では、社内の業務改革やDX推進に向けてこれまでにさまざまなITツールの提供やシステム環境の整備に取り組んできました。2015年には社員が安全な環境で顧客データを取り扱いながら柔軟な働き方をサポートすることを目指し、VMware Horizonを基盤とした全社VDI(Virtual Desktop Infrastructure) 化を実現。これにより国内8万人の社員全員がシンクライアントやFAT端末上の仮想デスクトップを使い分けながら、顧客のさまざまなニーズに柔軟に対応できるようになりました。

また、2016年にはグローバルコミュニケーションのための共通基盤としてMicrosoft 365を全社導入します。Microsoft OutlookメールをVDI 環境で利用することで安全性をより高めました。さらに、2020年からはMicrosoft Teams を使ったチャットベースのコミュニケーションに取り組んだうえ、新しい働き方のコンセプトとして「Work Life Shift」を掲げ、働く場所やスタイルにこだわらず、社員が自主的に働く環境を選択できるようにしました。

  • 富士通株式会社 Digital Systems Platform本部  End User Services統括部 シニアディレクター 吉新 裕保 氏

    富士通株式会社
    Digital Systems Platform本部
    End User Services統括部
    シニアディレクター 吉新 裕保 氏

こうした取り組みをIT面から支えてきたのが、社内IT部門であるDigital Systems Platform本部(DSPU)です。DSPU End User Services統括部 シニアディレクター 吉新 裕保氏は、こう話します。

「新しい働き方を推進するうえで重要になるのが、社員一人ひとりが日常的に利用するデスクトップ環境です。2020年までにオンプレミスのVDI環境を整備して、安全な環境で社員1人ひとりの柔軟な働き方をサポートしてきました。ただ、VDIへのニーズの高まりと、Teamsなどのクラウドサービスの利用が広がるなかで、いくつか新しい課題が出てきました。そこで、既存のオンプレミスのVDI環境をクラウドベースの新しいDaaS(Desktop as a Service)環境へと刷新することを決めたのです」(吉新氏)

新しいDaaS環境として採用されたのが、Microsoft Azure環境でVMware Horizonを稼働させるVMware Horizon Cloud on Microsoft Azure(以下、Horizon Cloud on Azure)でした。

3社タッグで、OSサイジング、マルチセッション環境のチューニング、Teamsメディア最適化機能のリリースに取り組む

Horizon Cloud on Azure 採用にあたって、富士通が抱えていた課題は大きく3つありました。吉新氏とDSPU End User Services統括部 マネージャー 深澤 智氏はこう説明します。

  • 富士通株式会社 Digital Systems Platform本部  End User Services統括部 マネージャー 深澤 智 氏

    富士通株式会社
    Digital Systems Platform本部
    End User Services統括部
    マネージャー 深澤 智 氏

「1つ目に、Teamsの利用において、快適なリモート会議や音声通話の確保が難しかったことです。弊社ではグローバルコミュニケーション基盤としてMicrosoft 365を利用していましたが、Teamsは端末のスペックが求められるアプリケーションであり、従来のVDI環境では対応が困難になっていました。2つ目は、WindowsのバージョンアップのタイミングとVDI環境利用者の急増の兼ね合いです。オンプレミスのVDI環境にゆとりがあったので、当初Windows 8.1だった環境から徐々にWindows 10の環境を構築して移行していく構想を立てていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりほぼ全員がVDIを使用したため、オンプレミス上での移行ができなくなってしまいました。3つ目は、ハードウェア基盤の老朽化とシステムメンテナンスの負荷軽減です。VDI基盤をクラウドに移行することで、拡張性や柔軟性、管理負担の軽減といったクラウドのメリットを生かすことを目指しました」

「次期デスクトップ基盤について全社員にアンケートを行ったところ、半数の4万人がVDIの継続利用を望みました。そこで、クラウド型の仮想デスクトップサービスであるHorizon Cloud on Azure を選定しました。Horizon Cloud on Azure の魅力は、VMware Horizon CloudやMicrosoft Azureの機能を利用してユーザーに適切にチューニングされた環境を提供できること、東西リージョンを使ったDRができること、Windows 10マルチセッションを利用したコストの最適化が可能なこと、オンプレミスとクラウドの両方で使えるVMware Universal Licenseにありました」(吉新氏)

オンプレミスからクラウドへの移行は2021年4月からスタートします。事前に性能検証を徹底的に行い、ユーザーに快適な環境を提供するために、Horizon Cloud on Azure では、マスターイメージを標準マスタのみに統一し、性能面については、必要に応じて増強可能としました。

「ヴイエムウェアとマイクロソフトとタッグを組んで、性能試験や検証を徹底的に行いました。そのおかげもあり、サービスを利用した社員からは『FAT端末と比べてまったく遜色ない』という評価をもらうことができました。また、3社が協力することで開発が進展した機能もあります。それは、Teamsのメディア最適化機能です。音声やビデオの処理をローカルで行うことでパフォーマンスを向上させる機能ですが、今回のわれわれの取り組みがヴイエムウェア、マイクロソフト各本社の開発部門にもフィードバックされ、グローバルでの正式リリースに貢献したと聞いています」(深澤氏)

Horizon Cloud on Azure を使った新しい仮想デスクトップ環境は2021年4月からリリースされ、オンプレミスと並行稼働しながら、2022年に日本最大規模となる4万3000名分の仮想デスクトップ環境のクラウド移行が完了しました。PoCと検証作業に約5か月、設計から構築まで約3か月という短期間で仕上げました。その後、1年間で2回の増築作業を実施したプロジェクトでしたが、目立ったトラブルもなくスムーズに完遂できたといいます。吉新氏と深澤氏は成功のポイントとして「OSのサイジングやマルチセッション環境でのチューニング、新機能の導入など、ヴイエムウェアとマイクロソフトによる強力なサポートがあったことが大きいです」と強調します。

DaaSの活用シーンを広げながら、社内実践をお客様への価値提供につなげていく

Horizon Cloud on Azure への移行は、従来の課題を解決したことはもちろん、さまざまな波及効果ももたらしています。

まず、VDIへのニーズの高まりについては、VDI利用の継続を表明した約4万人に対して、強固なセキュリティで保護された環境を継続しながら、より高いパフォーマンスと柔軟なリソースの追加が可能なデスクトップ環境を提供できるようになりました。東西リージョンを利用することで最適なコストでのDR構成も可能になっています。

また、コミュニケーション基盤のパフォーマンスについては、Teamsのメディア最適化機能に代表される新しい機能の提供で生産性向上に寄与できるようになったほか、Horizon Cloud on AzureからMicrosoft 365へマイクロソフト社のバックボーン ネットワークを通じて最短距離で通信することでOutlookのレスポンスも改善し、FAT端末よりも快適になったという声もあがりました。

さらに、サーバ基盤側でユーザープロファイルを格納するディスクにAzure NetApp Filesを採用することで、さらなる性能向上を実現しました。Azure NetApp Filesは、従来環境においてストレージ負荷がネックになっていたことから採用したものです。Azure NetApp Filesは非常に高速で、その性能に対するコストも見合っていることを評価しています。

加えて、基盤がオンプレからクラウドに移ったことにより、運用や更新をAzure側のサービスとして対応したことで、運用のリソースが割かれることなく手間が削減したことも大きな効果だといいます。

ハードウェアの老朽化とメンテナンスの負荷軽減においては、クラウド移行によりハードウェアのメンテナンスとリプレースのコストを大幅に削減することができました。移行に際しては、VMware Universal Licenseと移行ノウハウを活用することで、オンプレミスとクラウドの並行稼働時も二重にライセンス費用を発生させることなく効率的にスピーディーな移行を実現しています。

「基盤をクラウドに移行したことで、資産管理や予算管理は劇的に楽になりました。これによって、よりよいユーザー体験という価値提供もしやすくなりました。今後は、VMware製品で構成される基盤を新バージョンに移行する作業に取り組む一方、提供される新機能を積極的に採用して、DaaSの活用シーンを広げていきます」(深澤氏)

グローバルレベルでも富士通の戦略パートナーの一社であるヴイエムウェアとの協業は積極的に進められており、顧客のニーズに沿った共同ソリューションやサービスが展開されています。それらは「社内実践」という形で富士通社内にて徹底的に使い込み、そのノウハウとともに顧客に提供していくことが計画されています。

吉新氏も、「オンプレミスVDIをクラウド移行したいというニーズは富士通のお客様のなかにも強く存在しています。今回のプロジェクトのような取り組みをはじめ、新しい機能や提案も積極的に取り入れて使い込んだうえで、われわれの社内DXの実践をお客様に対する価値提供につなげていきたいと考えています」(吉新氏)

ヴイエムウェアは、クラウド環境においても、富士通の取り組みを強力にサポートしていきます。

  • 集合写真

●業界
TECHNOLOGIES

●カスタマープロフィール
1935年の創立以来、技術力を発揮して常に革新を追求してきた富士通。パーパスとして「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」を掲げる。世界をリードするDXパートナーとして、信頼できるテクノロジー・サービス、ソリューション、製品を幅広く提供し顧客のDX実現を支援することを目指す。

●ユーザーコメント
「オンプレミスVDIをクラウド移行したいというニーズは富士通のお客様のなかにも強く存在しています。今回のプロジェクトのような取り組みをはじめ、新しい機能や提案も積極的に取り入れて使い込んだうえで、われわれの社内DXの実践をお客様に対する価値提供につなげていきたいと考えています」

――富士通株式会社 Digital Systems Platform本部
  End User Services統括部 シニアディレクター 吉新 裕保 氏

●導入製品・サービス
VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure

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