業界唯一となる仮想化専用ストレージとして、多くのユーザーから支持を集めている「Tintri VMstore」(以下、Tintri)。人気の秘密は、ユーザー目線で開発されたさまざまなユニークな機能を提供できることにあります。これまでにも見てきたように、配属まもない新米情シス担当者から、経営目線でITインフラを管理するCIO、よりいっそうのIT活用を目論むITマネージャーまで、さまざまな立場の課題にこたえています。
前回は、ストレージ管理に悩むマネージャーの視点から、Tintriの「スナップショット」と「クローン」の機能を見ていきました。今回は、スナップショットの応用例のひとつである「レプリケーション」を紹介します。
プロフィール悩味 杉夫(なやみ すぎお) 羽里 紀矢里子(ばり きゃりこ) 天鳥 間仁阿(てんとり まにあ) |
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ストレージのレプリケーションはなぜこんなに面倒なの?
悩味 杉夫
「災害対策のために仮想マシンをレプリケートしておいて」ってマネージャーの羽里さんに言われたけど…… ええと、まず仮想マシンをポリシーごとにボリュームでまとめて、レプリケート元のポリュームにスナップショットを設定して、それからレプリケート先のボリュームを選択して…… う~ん、う~ん。これでほんとうにいいのかな~??
羽里 紀矢里子
悩味くん、悩みすぎ!
悩味 杉夫
あ、羽里マネージャー。仮想マシンのレプリケーションってなんでこんなに面倒なんですか。仮想マシンの種類ごとにボリュームでまとめても、もともとサイズが大きいから転送に時間がかかるし。こんなにサイズが大きかったら、戻したいと思ってもすぐに戻せないじゃないですか。そもそも必要ないものまで戻さなきゃいけないし……
羽里 紀矢里子
あら、だんだんわかってきたじゃない。そうなのよ。ストレージ管理者はみんなそれで困っているのよ。
天鳥 間仁阿
そんなことはあっりませ~ん!!
羽里 紀矢里子
あら、あなたは隣の部署の…… ちょっとイケメンくん! いつからそこにいたの!?
天鳥 間仁阿
私の名前はスーパーフラッシュマン! またの名を単なるティントリウォッチャー!! 仮想マシンのレプリケーションに悩んでいる方に使ってほしいのが、Tintriのレプリケーションです。Tintriのレプリケーションを使えば、データの遠隔保管や災害対策(DR)はバッチリです!
Tintriのレプリケーションってどんな機能なの?
羽里 紀矢里子
ちょうどよかったわ! 天鳥く…… じゃなかったわ、スーパーフラッシュマンくん! 悩味くんがまた壁にぶつかってるから助けてあげて。
天鳥 間仁阿
これしき朝飯前っす! Tintriのレプリケーションというのは、別筐体に仮想マシンの複製を非同期転送する機能のこと。一般に、ストレージのレプリケーションというと、LUNやボリューム全体を別筐体に転送する機能を指しますよね。これに対して、Tintriのレプリケーションは、対象の仮想マシンのみをレプリケーションすることができるんです。
悩味 杉夫
ええと、そもそもTintriはスナップショットをとるときに、ボリュームにまとめたりしなくていいんだったよね。仮想マシン1台1台をストレージ側で認識するから、Tintriに仮想マシンを保存しておくだけで、自由にスナップショットのポリシーを設定できる。ということはレプリケーションの場合も……
天鳥 間仁阿
そのとおり! Tintriは、スナップショットと同じように仮想マシンの動作を仮想マシン単位でモニタリングして、仮想マシン単位でポリシーに沿ってレプリケーションすることができます。特徴は、何と言っても設定が簡単なことです。これを見てください。
悩味 杉夫
これは前回も見たスナップショットの設定画面だね。
天鳥 間仁阿
ポリシー設定のすぐに下に「Protect by replicate snapshots」という項目がありますよね。そのチェックボックスにチェックするだけで、レプリケーションが有効になるんです! この項目は、オプションソフトウェアの「ReplicateVM」を有効すると表示されます。
レプリケーションは何が便利なの?
羽里 紀矢里子
すごく簡単ね。チェックボックスをチェックしたら、転送先のTintriを選択して、RPOやアラート表示のタイミングを設定すればいいのね。ホントにこれだけ!?
天鳥 間仁阿
これだけっす! 事前設計は不要。そのうえ、管理、モニタリング、トラブルシューティングはきわめて簡単。レプリケーションの構成としても、一方の機器からもう一方の機器にレプリケートするだけでなく、双方向で同期したり、複数の拠点のTintriのデータを1台のTintriにまとめたり、N対1トポロジーを構成したりもできます。最近リリースされたバージョンのソフトウェアを使えば、1台の仮想マシンを複数筐体にレプリケーションできるようにもなったのです! こんな感じっすよ!
羽里 紀矢里子
あらほんと便利そうね。テレポーテーションみたい。ところでデータ転送効率はどうなのかしら?
天鳥 間仁阿
さすが羽里さん、するどいっすね。データ転送効率こそがTintriレプリケーションで注目してほしいポイントです。Tintiのレプリケーションは、圧縮と重複排除を行ったうえで、スナップショットの差分データを転送するので、従来のストレージと比べて最大95%の帯域を削減することができます。
スナップショットはどんなときに使うの?
悩味 杉夫
じゃあ、100GBの仮想マシンを転送するのは実質的に5GBを転送するのと同じってこと?
天鳥 間仁阿
だいたいそんな理解でOK! 例えば、同じOSで稼働する仮想マシンが既に転送先のTintriに存在すれば、仮想マシン全体の初期転送も重複排除・圧縮効果によって全データを送る必要がなく、本当にユニークなデータだけを転送するだけでよいのです! だから、レプリケーションといっても、時間もかからないし、専用線とかを用意する必要もないっすよ!
他社のレプリケーション機能とは何が違うの?
悩味 杉夫
でも、レプリケーションはいわゆるストレージには普通にある機能じゃない? どのストレージ製品でもできるから、簡単に設定できるのはもちろん、圧縮や重複排除をうまく効かせながら効率的に転送できるのも当たり前なんじゃないの?
天鳥 間仁阿
はいはいはいはい、そのあたりは勘違いされるんっすよ。Tintriと他社製品と明らかに違うのは、ストレージ側で仮想マシンを認識しているという点です。
仮想マシン単位でオペレーションできるので、たとえば、Tintri内に10台仮想マシンが稼働していたら、そのうちの1台だけをレプリケーションするといったことができます。それから、10台全部レプリケーションしておいて、そのうちの1台だけをリストアするといったことも可能です。そもそものムダが少ないんですよ。
一方、一般的なストレージではすべての仮想マシンをレプリケートするわけですから、必要のないレプリケーションがどうしても発生してしまいます。また、仮想マシン単位でのレプリケーションしようと思ってもそもそもできませんから、別途バックアップソフトを組み合わせた運用が必要になってきます。
羽里 紀矢里子
つまり、仮想マシンを認識することで、単なる圧縮と重複排除による帯域の効率化だけでなく、レプリケーションというオペレーションそのものを効率化できるのがTintriのすごいところというわけね。
レプリケーションはどんなときに使うの?
羽里 紀矢里子
あらためてユースケースを整理して教えてほしいわ。
天鳥 間仁阿
大きく2つっすかね。データを遠隔地にバックアップするケースと、BCP/DRといった災害対策のケースです。
遠隔地にバックアップするケースでは、トラブルが起こったときに必要なデータを正しくリカバリーすることがポイントです。重複排除と圧縮を使って効率よくデータ転送を行っておき、必要なデータを必要なタイミングで戻す。仮想マシン単位だけでなく、ファイル単位で戻したいというニーズにも応えられるようになっています。
もう1つの災害対策でのポイントは、業務をできるだけ止めないことです。遠隔地にレプリケートしておいた仮想マシンをそのまま状態で稼働させ、業務をすみやかに継続できるようにする。この場合は、遠隔地にレプリケートした仮想マシンをアクティブにするといった作業になってきますが、Tintriならばそのような運用も時間をかけずに対応できるのです!
ほかの機能と合わせて使うといいことあるの?
羽里 紀矢里子
さっき見た設定画面にはそうしたオペレーションの項目はなかったみたいだけど、どうやるのかしら?
天鳥 間仁阿
いろいろな機能を組み合わせるんっすよ。災害対策では、レプリケーションから遠隔地の仮想マシンをアクティブにするわけですが、ここでは、この前紹介したクローン機能を利用します。また、ファイルのリストアやスナップショットのリカバリーについては、SyncVMというリカバリー機能と併用します。
羽里 紀矢里子
スナップショット、クローン、レプリケーションといった機能が連携して動作するってことね。仮想マシンが増えていくと、その都度ポリシーやバックアップ、リカバリプランを見直していく必要があるから、そのあたりを自動化できるのは、IT管理者にとっても大きなメリットよね。
レプリケーションをうまく使っているユーザー事例は?
羽里 紀矢里子
レプリケーション機能をうまく使っているユーザーの事例を教えてちょうだい。
天鳥 間仁阿
セガゲームスさんがそうっすね。スマートデバイス向けゲーム『ぷよぷよ!!クエスト』や『オルタンシア・サーガ ?蒼の騎士団?』、B2Bサービスであるスマートデバイス向けマーケティング支援サービス「Noah Pass(ノアパス)」のバックエンドシステムにTintriを採用しています。
I/O負荷の問題に対処するため、Tintriの自動QoS機能(第1回参照)を評価して導入したそうです。加えて、従来のストレージ環境では、パフォーマンスが低下するため重複排除と圧縮機能が利用できず、DRサイトへのバックアップにも1回あたり6時間ほど要していたそうで、そのあたりの運用性にも課題をお持ちでした。
一方、Tintriは重複排除と圧縮のおかげで、転送するデータ量も大幅に削減されました。いまは、レプリケーション機能を活用して1時間に1回のバックアップ(スナップショット)を実現しているそうです。
羽里 紀矢里子
頼りになるわ、スーパーフラッシュマン。いつもそばにいてほしいわ。さっきレプリケートしたうちの1人、私にちょうだいよ。
天鳥 間仁阿
よくばりっすね。羽里さんの両脇にはナイスガイがもう2人もレプリケートされてい……
羽里 紀矢里子
なんですって? (怒)
天鳥 間仁阿
ぼ、忘却光線!!
次回は、「タイムトラベルリカバリー」について天鳥くんが熱く語ります!
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