仮想化やクラウド環境対応のストレージで高い実績を持つティントリは「Tintri OS 3.2」の提供を開始した。そこでは、同社ならでは最先端の技術が搭載されている。その代表的な一つが、QoSに関わる「VMパフォーマンス保証」をはじめとしたさまざまな仕組みだ。その機能はこれまでのストレージの課題を払拭し、ユーザーにとって多大なメリットをもたらすことができる。
VM単位でワークロードを把握しパフォーマンスを保証
Tintri OSは仮想化ストレージ専用OSとして先進的なQoS機能を備えている。最大のキーワードである「仮想化」については、従来のワークロードを支援 するタスクに取り込むための最良の方法の一つとして、いまや広く認知されている。仮想化で複数のワークロードを統合することにより、リソースやインフラストラクチャを効率よく使用し、運用することができるようになる。
しかし、仮想化によりインフラを統合する際には、さまざまな課題が発生することがある。リソースなどの統合によって、複数のワークロードを効率的に同時に稼働する状態にはなるが、仮想マシン(VM)やストレージインフラを構成する際のミスによって発生するボトルネックを特定したり、新規のワークロードに与える影響を把握したりすることが困難になるといった、パフォーマンスに関連した課題に直面することが少なくない。複数のサーバーで共有したストレージが原因で、データ転送の遅延が発生することは仮想化における一つの大きな課題である。
なぜこのようなことが起きてしまうのか。従来型のストレージでは、LUN、ボリュームまたはファイルシステムレベルでのパフォーマンスの表示はできるが、VMレベルでのパフォーマンスは表示できないため、トラブルシューティングが困難であった。つまり、管理者にとっては、既存の関連するVMのパフォーマンスを細かいレベルで把握できないため、新たに追加したVMのワークロードがどのような影響を及ぼすかを計り知ることができないのである。
また、パフォーマンスのボトルネックを特定するために、データを繰り返し収集し分析することで仮説を立てるとしても、テストには多大な時間を要することがある。大規模なエンタープライズ環境になると、ボトルネックを特定するために、組織内で度重なる調整が必要となり、そのプロセスは数日から数週間もかかってしまうことになりかねない。
従来型のストレージで仮想化に対する「見える化」を図るためには、複雑な専用ツールが必要になる。また、専用ツールを導入したとしても、インフラの複雑さや管理者のスキル不足によって日々のトラブルシューティングに時間がかかることがある。したがって、結局はストレージごとにワークロードを分けることになり、それが仮想化の“サイロ化”につながってしまうことになるのだ。
こうした従来型のストレージが抱えていた課題に対し、Tintri OSではティントリならでのアプローチで解決策を提示している。それはLUNやボリューム単位ではなく、VM単位でパフォーマンスの可視化と管理を行えるようにしていることだ。つまり、Tintri OSはVM単位でアプリケーションのワークロードを把握することによってパフォーマンス保証を実現しているのだ。では、Tintri OSはどのようにしてVM単位でパフォーマンスの可視化と管理を行えるようにしているのか。そこにはさまざまな仕組みが隠されている。
従来型のストレージ管理手法と比べて最大30%のパフォーマンス向上
Tintri OSでは、アクティブなデータに優先順位をつけて、VMごとのパフォーマンスを分離するとともに、すべての監視および管理をVMとvDiskのレベルで行うことができる。Tintri OSの内部ではVMが抽象化されるため、ティントリファイルシステムでvDiskごとのI/Oを監視および制御し、VMおよびvDiskレベルのパフォーマンス分離とQoSを実現することができる。
ティントリファイルシステムでは、読み取り、書き込み、メタデータ処理などのI/Oごとの要求をvDiskに直接マッピングする。これらの動作により、TintriOSはVMの位置合わせを自動的に行えることから、従来型のストレージ管理手法と比べて最大30%のパフォーマンス 向上を図ることができる。こうしたTintri OSならではの処理方法を、従来型のストレージと対比させた形で示した。
従来型ストレージの環境では、I/O要求がさまざまなワークロードの優先度に関係なく順次処理されてしまうため、I/O渋滞が発生してしまうことが問題となっていた。例えば、開発チームが今すぐに実行しなければならないミッションクリティカルなテストの処理が、比較的重要でないようなデータベースの更新より後回しにされてしまうといったこともが起きてしまうのである。
これに対し、Tintri OSではVMごとに専用の「レーン」を提供するというシンプルな処理を行っているため、I/Oが渋滞することはなくなる。優先度に関係なく順次処理を行うのではなく、それぞれの処理を分離することで、従来型ストレージでネックとなっていたパフォーマンス上のトラブルを解消することができる。
これは取りも直さず、サーバー、デスクトップおよびクラウドのワークロードが混在する場合でも、細かい設定を必要とせずにアプリケーションに最良のパフォーマンスをもたらすことにつながっている。
注釈〉
(*1)LUN(Logical Unit Number):複数のドライブを持つ装置に個別にアクセスできるようにするための論理的な識別番号。
(*2)ボリューム:ストレージ記憶領域ひとかたまりの単位。
(*3)QoS (Quality of Service):アプリケーションの要求するパフォーマンスを、いかに満足できるように提供(サービス)できるかの尺度、およびそれを実現する技術・機能。
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