COOKIEレスの世界で新しい手法によるターゲティングと効果測定が必要な理由

近年は、オンラインプライバシーに関する消費者の懸念が高まっています。その一方、マーケティング担当の上級幹部は広告に費やされたすべてのコストのROIを示すよう迫られています。その際、各メディアキャンペーンの効果を数値化してコストを最適化するために、アトリビューションモデルが利用されます。このモデルでは一般的に、サードパーティーCookieを利用して人々のオンラインアクティビティを監視します。パーソナライズされた広告やコンテンツを提供するためのターゲティング手法でも同様です。

しかし、広告エコシステム内の一部の巨大企業が行うプライバシー対策により、従来の方法によるターゲティングと効果測定が危機にさらされています。このような状況を受け、マーケターがプライバシーを保護しながら高度なオーディエンスセグメンテーション、ターゲティング、アトリビューション、効果測定、機械学習を利用したルックアライク分析を行うための戦略として、データクリーンルームが登場してきました。

Snowflakeのデータクリーンルームを利用することで、企業は他社が機密ユーザー情報を閲覧できるようにすることなく、データビューを安全に共有し、データを他のデータと結合して、モデリングと分析を行うことができます。これは、ユーザープライバシーの保護を強く求められているパブリッシャーにとってもメリットがあります。Snowflakeのデータクリーンルームは、パブリッシャーがかつてのようにマーケターにユーザーデータとアクティビティデータを共有することなく、広告効果を高め、最終的にCPM(表示1000回あたりのコスト)を低減し、ROAS(広告費用回収率)を向上させるために役立ちます。

マーケターとパブリッシャーがSnowflakeのデータクリーンルームを利用する理由

広告業界全体がサードパーティーCookieの廃止を迫られており、マーケターやパブリッシャーなどは直接的な消費者データリレーションシップの強化に注力しています。この戦略の心髄は、プライバシーが守られる方法でユーザーや顧客から直接収集するデータ(いわゆるファーストパーティーデータ)を取り扱うことです。

Snowflakeのデータクリーンルームでは、プライバシーを保護しながら、Eメール、ハッシュ化されたEメール、氏名、デバイスID、IPアドレスなどのユニークな識別子から派生した機密データを活用することができます。そこから、マーケターはETLを行うことなく(つまり、データの移動や複製を行うことなく)パブリッシャーのオーディエンスとの重複を特定し、既存顧客のセグメンテーションとターゲティングを行うことができます。

クリーンルーム環境でのターゲティングは、透明性を欠きがちなプログラマティック広告の購入とは明らかに一線を画します。マーケターがデマンドサイドプラットフォーム(DSP)やアドエクスチェンジから広告枠を購入する場合、通常、実際の顧客にリーチしたか、またはリーチした人が実際にコンバージョンして商品を購入したかを確認することはできません。これは特に、コンバージョンが非線形的に発生する場合に当てはまります。たとえば、オンライン広告やEメールを見た消費者が実店舗で商品を購入するという流れは、一般的にCookieベースのアプローチでは生み出すことができませんでした。

Snowflakeのデータクリーンルームを利用すれば、パブリッシャー側のコンテンツ消費データ、マーケター側の購入履歴や人口統計データなど、幅広いパラメーターに基づいてターゲティングとアクティベーションに磨きをかけることができます。(たとえば、小売企業は、パブリッシャーのサイトにランニング用アパレルの広告を掲載する際に、ランニングに関するたくさんのコンテンツを読んでいる既存顧客セグメントをターゲットとすることができます。)

また、マーケターはクリーンルーム環境で機械学習を駆使したルックアライクモデリングを活用し、パブリッシャーのオーディエンスの中で既存顧客や高価値顧客と属性が類似しているコホートを特定することができます。この際、広告主はパブリッシャーのデータを閲覧できず、パブリッシャーはマーケターのデータを閲覧できません。さらに、他のいかなるサードパーティーもパブリッシャーとマーケターのデータを閲覧できず、パブリッシャーとマーケターの間でこのような分析が行われていることを知ることすらできません。

また、クリーンルームはROIを重視するマーケターがクローズドループを確立するためにも役立っています。クリーンルーム環境で簡単にクエリを実行し、特定の商品を購入したどの顧客セグメントがパブリッシャー側で広告のインプレッションを発生させたかを確認して、キャンペーンのコンバージョン情報を明らかにすることができます。これは、複数のメディアチャネルで行われたキャンペーンに対しても行うことができます。そのため、カスタマージャーニーに問題がないことを確認するためにサードパーティーCookieを利用して行動データを収集、分析する必要がなくなります。

マーケターの成功とパブリッシャーの成功は、表裏一体です。より強力なターゲティングと正確なアトリビューションを行うことができれば高い広告コストの妥当性を示すことができ、オーディエンスの高度なルックアライクモデリングはパブリッシャーが広告枠の販売数を増やすのに役立ちます。

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7段階からなるSnowflakeのデータクリーンルームの仕組み

1.保存

Snowflakeの既存のお客様であるマーケターとパブリッシャーがデータコラボレーションを開始することを決定します。両社は自社の顧客データを自社のSnowflakeアカウントに保存します。追加でETLを行ったり、他の場所にデータのコピーを送信したりする必要はなく、明示的な許可がない限り互いの生データを閲覧、複製することはできません。

2.結合

両社は、(個人)データに関するあらゆる制約や各社の目的を考慮し、どのデータをどのように結合してよいかを決定します。最も簡単なのは、小文字変換とトリミングをしたEメールアドレスやIPアドレスなど、両社がすでに所有しているデータを使用する方法です。また、ID結合、グラフ結合、ウォーターフォール結合、ブール式結合といった高度な方法を用いたり、Acxiom社、LiveRamp社、Neustar社など、Snowflake データマーケットプレイスのサードパーティーIDプロバイダーを利用したりすることもできます。

3.キャリブレーション

両社は、目的の使用事例に合わせて、結合されたデータに対してどのようにクエリを行うかを考えます。たとえば、小売企業がパブリッシャーの匿名化されたエンゲージメントデータに対してコンテンツカテゴリーによるクエリを行い、自社の購買データとの重複を特定し、自社の顧客がどのようなコンテンツを消費しているかをより正確に把握したい場合は、適切なSELECT句、GROUP BY句、JOIN句、WHERE句でクエリを定義する必要があります。

4.承認

クエリは相手方企業の承認を得なければ実行できません。この承認により、リクエストされたクエリが相手方企業のデータ共同利用ルールに適合していることが自動で確認されます。たとえば、意図せずユーザーが再識別されるのを防ぐために、75人未満の個人または75台未満のデバイスのデータを集計する分析の実行やアウトプットの開示を一切禁止するルールを設定する場合があります。

5.実行

第4段階でクエリが相手方企業のルールに適合していることが確認されたら、クエリをリクエストした企業は自社のデータと相手方企業のデータの両方を使用して承認されたクエリを実行することができます。2社以上の企業間でのデータのコンピュテーションは、Snowflakeが処理します。

6.アクティベーション

アグリゲートレベルのクエリ結果は、今後の広告キャンペーンでどのようにオーディエンスのセグメンテーションとターゲティングを行うかを決めるために役立ちます。たとえば、上記の例の小売企業が、パブリッシャーのサイトで料理に関するコンテンツを消費している人の7%が過去にそのパブリッシャーを経由してスニーカーを購入していることを把握したとします。この場合、以降そのセグメントを最新モデルのスニーカーの広告のターゲットにすることができます。

7.効果測定

アクティベーションを行い、広告キャンペーンが完了した後(または広告キャンペーンの実施中に)、新たにJOIN分析を行い、広告キャンペーンのさまざまなパフォーマンス指標を測定することができます。

Snowflakeのデータクリーンルームと他のプライバシーサンドボックスの違い

これまでは、ユーザーのプライバシー保護と、強力なターゲティングおよび効果測定は、不可欠だが両立できないものと考えられていました。実際に、行動トラッキングによってもたらされたのは、ごくわずかの個別のカスタマージャーニーや少量のデータサンプルに基づいた戦略や戦術でした。Snowflakeのデータクリーンルームを利用することで、マーケターとパブリッシャーは、匿名化してプライバシーを安全に保護しながら、膨大なデータ(すべてのデータ)を結合、分析し、メディアプランニングと広告枠購入の統計的な厳密性を高めることができます。

主な差別化要素は次の5つです。

1.安全なデータシェアリング

マーケターとパブリッシャーは、相手方にデータを複製させることなく、クラウドやリージョンの垣根を越えてライブデータを安全に共有することができます。そのデータはサイロをまたいで拡散されるのではなく1つの場所だけに存在するため、最新の状態が維持されます。データはSnowflakeによって暗号化され、データ所有者のSnowflakeアカウントにのみ保存されます。

他の大手プラットフォームのウォールガーデン型クリーンルーム環境では、マーケターはファーストパーティーデータを受け渡して、他のプラットフォームから収集したアグリゲートレベルのデータと結合し、その結合されたデータをターゲティングや効果測定のためにモデリングしなければなりません。Snowflakeのデータクリーンルームは、これとは大きく異なります。

2.プライバシー管理

Snowflakeは強力なマルチパーティーコンピュテーション機能を備えており、企業はデータを取引先企業に開示することなく、結合されたデータを安全に分析することができます。

この仕組みを理解するためには、「ヤオの百万長者問題」が役立ちます。これは、アリスとボブの2人の百万長者が資産額を互いに知らせることなくどちらの純資産が多いかを判定するにはどうすればよいかを考える、暗号化に関する有名な問題です。これまで、この問題の解決策の1つとして挙げられるのは複雑な高コストのコンピュテーションでしたが、Snowflakeは簡単な方法でこの問題を解決することができます。しかも、そのソリューションでは、複数の企業の何兆もの行数のデータを利用して、単なる「数値Aは数値Bより大きいか」だけではなく、さらに難しい計算を行うこともできます。

Snowflakeのデータクリーンルームを使用してアリスとボブの純資産を安全に比較できる仕組みを簡単に説明すると、以下のとおりです。


(1) アリスは「私の資産」というテーブルを作成し、自身の資産額(120万ドル)を入力します。続いて、SQLでそのテーブルの安全なビューを作成し、そのビューをクリーンルームで保護します。アリスはボブにそのビューへのアクセスを許可しますが、ボブは許可されたタイプの分析にしかビューを使用できず、単にビューからSELECT文を実行することはできません。

(2) ボブも同じことを行いますが、テーブルには110万ドルと入力します。

(3) ボブはSnowflakeで、どちらの数値が大きいかを判定するクエリを実行します。このクエリは、アリスの視点から見て承認されているタイプの共同分析である(事前に承認されているクエリパターンに従っている、または両者のデータを同時に使用してボブが実行できる内容についてアリスが定めたルールに従っている)ため、アリスのクリーンルームのルールによって許可されます。

(4) ボブは、アリスの資産額が自分の資産額より大きいということを知ることはできますが、その答えの基礎となる正確な数字を知ることはできません。

(5) アリスは、ボブが結合されたデータに対して許可されたクエリを実行したということを知ることはできますが、その結果を知ることはできません。アリスも上記と同じクエリを実行すれば結果を知ることができますが、そのためにはボブもそのクエリを許可するようクリーンルームを設定していなければなりません。


このコンセプトは、マーケターとパブリッシャーがSnowflakeのデータクリーンルームを利用し、EメールアドレスやIPアドレスなどの識別子を共有して、直接比較することなくオーディエンスの重複セグメントを明らかにする仕組みを、そのまま表しています。マーケターとパブリッシャーは、たった2つの数値ではなく、何万、何億、何兆もの行数のデータに同じアプローチを適用します。さらに、「aはbより大きいか」という分析より複雑な分析を行えるだけでなく、3社以上のデータを同時に分析することもできます。この計算の規模は1社がすべてのデータを保有している場合と同じように拡大することができますが、各社は互いのデータを閲覧することはできず、許可されたタイプの分析のみを実行することができます。

その基礎となっているテクノロジーは、さまざまなパラメーターに基づいたオーディエンスのセグメンテーションとアクティベーション、機械学習モデルのトレーニングなど、より複雑な問題にも活用することができます。以前のソリューションで必要とされたコンピューティングリソースのごく一部を使用してマルチパーティーコンピュテーションの問題を解決できるため、企業がコストとエネルギー消費を抑えるために役立ちます。また、かつては低速、安全上の問題、高コストのため行えなかったことを行えるようになります。

重要なのは、他社に与えるアクセス権限を自由に取り消せることです。セキュリティの視点から見ると、アクセス権限をミリ秒単位でいつでも取り消せるため、取引先企業は即座にアクセスできなくなります。データの鮮度の視点から見ると、これはデータのコピーを共有するという従来のアプローチと比較して大きな進歩です。従来のアプローチでは、複雑性やコストを継続的に発生させることなくコピーを最新の状態に保つことはできません。

3.高速の伸縮性と線形的な拡張縮小による秒単位の従量課金

企業はSnowflakeのリソースを利用した分だけ料金を支払います。必要に応じて拡張、縮小できるため、使用しない可能性のある定量のコンピューティングリソースに対して料金を支払うことはありません。また、企業がパートナーに対して自社のデータとパートナーのデータの結合や自社のデータに対するクエリを許可しても、その企業のコストは増えません。クエリを実行するためのSnowflakeのコンピューティングコストは、そのクエリを実行する企業が支払います。完全または部分的に他社のデータをベースとしたクエリを行う場合も同様です。

4.安全なデータエンリッチメント

2社の企業に共通の識別子がないというケースが必ずあります。この場合、データを結合し、Eメールアドレスなどの1つのキーで重複を特定しようとしても、この企業間ですべての可能性のあるデータを照合できる可能性は低くなります。極端な例として、マーケターとパブリッシャーがデータを結合して許可された分析を行いたくても、マーケターはEメールアドレス、パブリッシャーはIPアドレスしか持っていないという場合もあり得ます。Snowflakeのお客様は、このような状況に置かれても、SnowflakeデータマーケットプレイスのIDエンリッチメントプロバイダー(Acxiom社、Epsilon社、Neustar社など)を利用して、データエンリッチメントとID結合を行うことができます。これらのプロバイダーには膨大な量のサードパーティーの顧客データがあり、マーケターとパブリッシャーはこれを使用してオーディエンスの絞り込みとアクティベーションを行い、ジョイン率とマッチ率を高めることができます。データエンリッチメント処理はデータクリーンルーム内だけで行われ、いずれの企業のSnowflakeアカウントにもサードパーティーデータが追加されることはありません。

5.データクラウド効果

世界中の何千社もの企業がすでにSnowflakeを信頼して安全に機密データを保存しており、社外とのデータシェアリングや取引先企業とのクリーンルームの構築を簡単に行える方法としてSnowflakeを利用しています。

Snowflakeは3社の大手クラウドプロバイダー(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platform)でリージョンを越えて利用できるため、企業間でデータを結合する際にSnowflakeアカウントからデータを取り出す必要はありません。また、グローバルな一元管理体制アクセスガバナンス体制により、複数の地域間およびクラウドプロバイダー固有の地域間でデータをシームレスに結合し、分析することができます。

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Snowflakeの特長:ユーザーのプライバシーを優先しながら、広告のパフォーマンスとROIを高める

マーケターとパブリッシャーは、サードパーティーCookieの廃止を差し迫った大問題ではなくチャンスととらえるべきです。データクリーンルームを活用してオーディエンスの重複を特定し、クリーンルーム内の高度な機械学習技術を駆使することで、オーディエンスのセグメンテーションとアクティベーションをより厳密に行えるようになります。それによって、大量のオーディエンスのカスタマージャーニーを推定する際に行動トラッキングによって収集されたごく少量のデータサンプルを過度に強調するといった、現在の慣習を変えることができます。

要約すると、Snowflakeのデータクリーンルームは以下の5つの点で有用です。


  • ETLを行わずに、クエリ可能なライブデータを安全に共有
  • プライバシー管理により、取引先企業にデータを開示することなく、2社以上の企業間で何兆もの行数のデータを結合して安全に分析することが可能
  • 定量のコンピューティングリソースに対して料金を支払うのではなく、必要に応じて拡張、縮小できるため、価格が適正
  • サードパーティーIDプロバイダーを利用した安全なデータエンリッチメントにより、必要に応じてデータの照合をサポート
  • Snowflakeの何千社もの顧客規模と、複数のクラウドリージョンおよび地域で利用できる機能性によって実現するデータクラウド効果


Snowflakeのデータクリーンルームは、バリューチェーンのすべての関係者を成功に導きます。マーケターは、正確にターゲティングされた広告と強力なルックアライクモデリングにより、広告費用回収率を高めることができます。パブリッシャーは、広告露出とマーケターの購買データを直接(または匿名で)比較して、広告のパフォーマンスを高め、効果を証明することで、CPMを低減することができます。最後に、消費者はオンラインプライバシーを確保し、より関連性の高いパーソナライズされた商品提案を受け、満足感を得ることができます。

Snowflakeについて

Snowflakeは、Snowflakeのデータクラウドを用い、あらゆる組織が自らのデータを活用できるようにします。お客様には、データクラウドを利用してサイロ化されたデータを統合し、データを発見してセキュアに共有し、多様な分析ワークロードを実行していただけます。データやユーザーがどこに存在するかに関係なく、Snowflakeは複数のクラウドと地域にまたがり単一のデータ体験を提供します。多くの業界から何千ものお客様(2021年7月31日時点で、2021年Fortune 500社のうちの212社を含む)が、Snowflakeデータクラウドを自社のビジネスの向上のために活用しています。詳しくはsnowflake.comをご覧ください。

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※本記事はSnowflakeから提供を受けております。

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