革新性のある技術やビジネスモデルをもったスタートアップ企業は、いまやビジネスイノベーションの要とも言える存在だ。高付加価値を生み出したスタートアップ企業は大企業へと成長し、市場の価値観をひっくり返しながら、世の中を変えていく。

しかし一方で、日本のスタートアップ企業はGDPを基準に世界各国と比較すると、極めて少ない。スタートアップ企業がつまずきがちな課題として、「コーポレートIT」体制の構築があげられる。コーポレートITとは、基幹システムや業務ネットワークの開発、構築、管理、保守、運用など事業を支えるシステムやそれを運営する部門を指す言葉だ。コーポレートITをおろそかにすると、成長機会を損出しかねないという。こうした課題を解消し、スタートアップの企業価値を高める土壌が、いま日本に求められている。

そうしたなかでレノボ・ジャパンは、スタートアップ・エコシステムに寄与するプログラム「Lenovo for start-ups」を展開し、多くのスタートアップ企業のコーポレートITを支えている。ここからはレノボ・ジャパンの中田 竜太郎 氏に、「Lenovo for start-ups」の特長とその目的について伺っていこう。

  • レノボ・ジャパン合同会社
    Head of Solution Business Development Innovation & Transformation
    中田 竜太郎 氏

コーポレートIT体制の構築がスタートアップ企業の成長のカギに

――はじめに、中田さんの業務内容について教えてください。

レノボの全製品群にまたがって新規事業開発を統括しています。以前は総合商社に勤め、シリコンバレーでスタートアップへの投資や新規事業のリードを行ってきました。今回はレノボ・ジャパンの新しい取り組みの一環として、スタートアップを支援しつつ我々もともに成長していくことを目指して、「Lenovo for start-ups」という新しいプログラムを立ち上げました。

――スタートアップ企業が抱える課題にはどのようなものがあるのでしょうか?

スタートアップ企業に投資をした後、ファンドが投資した会社をモニターする項目がいくつかあるのですが、もっとも重要な項目の1つが“お金、時間、人、モノを本業に100%投下できているか”という点です。本業にリソースが最大限に投下されているかを厳しく見ていて、このポイントを外しているスタートアップは投資対象になりません。逆に言うと、本業ではないことにリソースを投下しているスタートアップは生存確率が自然と低くなっていく傾向にあるのです。

そのため、コーポレートITのような事業に不可欠なものでも “本業ではない”のでリソース投下を最小化しなくてはなりません。こうした課題が「Lenovo for start-ups」を立ち上げるきっかけとなりました。

――スタートアップ企業がコーポレートIT体制を確立しにくいのはなぜでしょうか。

多くのスタートアップ企業の創業者は、特定の分野における専門知識を備えています。しかし、コーポレートITに関して十分な知見を持っているかというと、決してそうではありません。大きな問題としてコーポレートITに関する体系的な知識の獲得にハードルがあるのです。

例えば5人の従業員にある程度ハイスペックなPCを貸与しようとすると、1台約20万円、つまり100万円のコストがかかることになります。また、創業したばかりのスタートアップ企業は売り上げがないので合理的なリースやローンは組めませんし、組めたとしても創業者の個人保証になるでしょう。結果として、資金不足でスペックの低いPCを購入することになったりします。

このように創業間もないスタートアップ企業は、コーポレートIT体制が不十分な状態に陥ってしまうのです。

――あらためて、スタートアップ企業にとってコーポレートITの確立が大切な理由をお教えてください。

例えばスタートアップ企業が成長して、国や大企業からプロジェクトを受注できる段階に達したときに、これまで体系的にまとめてこなかったコーポレートITがネックとなり契約できない、ということが起こり得ます。

具体的には、一部で私用のPCを業務で使う、いわゆるBYOD (Bring Your Own Device)を導入している場合、業務PCのセキュリティ設定と、私用PCのセキュリティ設定がまったく違ったりします。また、最初から企業としてコーポレートIT体制を統一せずに、後から対応すると抜け漏れが発生しがちです。これによって大きな取引の機会を逃してしまい、企業の成長にストップが掛かってしまうのです。

スタートアップ企業がせっかくの成長機会を逃さないためには、創業時からコーポレートIT体制を確立させることが非常に重要となり、そのための支援をするべきだと考えました。

本業へのリソース投下を最大化させる「Lenovo for start-ups」

――「Lenovo for start-ups」の具体的な支援内容を教えてください。

1つ目はナレッジインジェクションです。例えば、創業初期にスタートアップ企業がまずやるべきことなどのアドバイスをセミナーやホワイトペーパーで無償提供します。

2つ目は、スペシャルオファーです。スタートアップ企業にどのようなコーポレートデバイスが必要なのかを吟味し、その後の急激なビジネス成長にも対応できるPCを「LenovoPro」から特別価格でご提供します。

3つ目は、セットアップサービスです。通常は、デバイスが届いて箱をあけたらすぐに業務ができるわけではありません。法人として事業を展開するために必要なセットアップや最低限取り組まなければならないセキュリティの設定も1台から対応します。

また、三菱UFJ信託銀行や三菱HCキャピタルとの戦略提携によって、新たにスタートアップ企業向けの「1台からのPCサブスクリプションサービス」も立ち上げました。創業間もないスタートアップ企業であっても、PC1台から支援を提供するというのがレノボ・ジャパンの強みであり、「Lenovo for start-ups」の特長だと思っています。専用問い合わせ窓口も用意しており、専任担当がご案内いたしますので、ぜひこちらにご連絡いただきたいと思います。

Lenovo for start-upsには専任窓口を設けております。以下情報をご活用ください。
専任担当者:楠田裕己
電話番号:03-5207-3972
メールアドレス:start_ups@lenovo.com

ディープテック企業へ向ける期待と支援

――日本のスタートアップ企業で、注目している分野があれば教えてください。

いま注目しているのは「ディープテック」と呼ばれる、大学や研究所で生まれた科学的な発見や技術、いわゆる“シーズ”(種)と呼ばれるものを事業化していく研究開発主導型のスタートアップ企業です。

アメリカを中心にテック企業はたくさんあり、例えばSaaS (Software as a Service)型のビジネスモデルはやり尽くされています。すでに多額の資金を投下されているうえ言語も大きな壁となるため、日本から世界に伍するスタートアップ企業を輩出するのは非常に難易度が高い分野といえるでしょう。

一方、専門性の高い先進技術に端を発するディープテックは、言語の壁や海外の既存企業との競争に巻き込まれにくい領域と言えます。創業してからビジネスとして仕上がるまでに時間がかかるという課題はあるものの、過当な競争を行わずに済むのです。

――現在、どのような組織と取り組みを進めていますか?

東京大学などの、大学発のスタートアップに投資・支援を行っている東京大学協創プラットフォーム開発 (東大IPC)、そして質の高い論文で世界的にも注目されている沖縄科学技術大学院大学 (OIST)とパートナーシップを組んでいます。

大学主導のスタートアップへ「Lenovo for start-ups」を提供することで、ディープテックを中心に新産業の創出に貢献していくというアプローチです。直近では、OIST発のEFポリマーというスタートアップ企業で活用いただいています。果物の皮などの農業残渣(ざんさ)から生まれた100%オーガニックの超吸水性ポリマーを作っている非常に社会的意義も高い事業を展開されている有望な会社です。

――すでに行っている支援内容についてお聞かせください。

レノボ・ジャパンは、東大IPCの「1stRound」というテック系ベンチャー向け起業支援プログラムにグロースパートナーとして加入しています。ここで行った無償セミナーに参加したスタートアップ企業の38%が「Lenovo for start-ups」を活用し、初めてのコーポレートデバイスとしてThinkPadを導入してくださいました。

導入してくださったスタートアップ企業に伺ったところ、64%の方が「リソースが限られているスタートアップにおいて、サブスクのような形態でコーポレートデバイスを導入できるとありがたい」という意見をいただきました。そこから生まれたのが、先ほど述べた三菱UFJ信託銀行や三菱HCキャピタルとの戦略提携から生まれた「1台からのPCサブスクリプションサービス」です。

スタートアップの皆さんに「Lenovo for start-ups」を使っていただくだけでなく、そこから出てきた課題に対して我々のプログラムに新しいメニューを加えることで、みなさんのご要望、課題解決にお応えしていくというスタイルを取っています。

スタートアップ企業を応援し、ともに歩むレノボ・ジャパン

――「Lenovo for start-ups」の今後の展望についてお聞かせください。

今後は、東大に限らず、さまざまなエコシステムに水平方向の展開を進めていきたいと思っています。現在、大阪産業局や、2024年10月に名古屋市に開業予定の「STATION Ai」との戦略提携を進めている最中です。

また、ディープテック企業の多くは非常に高いコンピューティングパワーを必要とします。当社の業界内での高いプレゼンスを活かして、ワークステーションやエッジサーバーも顧客に提供し、垂直方向の広がりも深めていきたいと思っています。ワークステーションに関しては、すでにトライアルとして提供するお話を進めています。

現在、経済産業省を中心にさまざまなスタートアップ支援施策が出され、起業のハードルが下がりつつあります。せっかく起業しても、コーポレートITが原因でなかなか成功せず、その勢いが削がれてしまうのは非常にもったいないと感じています。

水平展開、垂直展開の両方を同時並行で進めることで、日本のスタートアップ・エコシステムそのものを活性化し、強いスタートアップの成功確率を上げていきます。スタートアップ企業と伴走できる存在として日本の新しい産業の創出に寄与することが、我々の目指す未来図です。

レノボ・ジャパン合同会社

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Lenovo for start-upsには専任窓口を設けております。以下情報をご活用ください。
専任担当者:楠田裕己
電話番号:03-5207-3972
メールアドレス:start_ups@lenovo.com

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