北大発の認定ベンチャーとして小売向けにAIカメラソリューションを展開

More than your eyes can see -人間の目を超えてリアル空間をデータ化する-」をコーポレートミッションに、空間に設置されている防犯カメラとAI(人工知能)を組み合わせた「AIカメラソリューション」を展開するAWL株式会社。AWL(アウル)は、AI+OWL(フクロウ)に由来し、同社が提供するソリューションによって「リアル空間を優しく見守りながら、最先端のテクノロジーで可視化・分析・制御することで、労働人口が減少する現代において人間とAIの協調により生産性を高める」ことを目指している企業だ。

AWL上席執行役員兼CHROの土田美那氏は、AWLの成り立ちと強みについてこう話す。

AWL上席執行役員兼CHROの土田美那氏

AWL株式会社
上席執行役員兼 CHRO
土田 美那 氏

「2016年に設立された北海道大学発の認定ベンチャーであり、従業員数はグローバルで90名規模、東京の本社と北海道のR&D本社に加え、ハノイとベンガルールに拠点を設けています。社長の北出(宗治)やCTOの土田(安紘)、ファウンダーの1人である北海道大学の川村(秀憲)博士などの創業メンバーが北海道にルーツがあることが特徴で、サッポロドラッグストアー(サツドラ)の富山(浩樹)社長も非常勤取締役に加わっています。ミッションとして『More Than Your Eyes Can See / 人の目で見える以上を実現しお客様の満足に応える」を掲げ、リテールを中核に製造業、スマートシティなど多業種にソリューションを展開しています」(土田氏)




現在はシリーズCの段階で累計資金調達額は44億円、現在企業価値は110億円と北海道ではトップにランクする。経済産業省北海道経済産業局が支援するJ-Startup HOKKAIDOの初期メンバーであり、2022年には優れたベンチャーを称えるJapan Venture Awardsも受賞している。

同社のAIカメラプラットフォームの中核となるのが「AWLBOX」だ。創業当初からAWLBOXのコア技術の開発に携わってきた、執行役員・先行開発ディビジョン ディビジョン長のFrancisco Renteria(フランク)氏は、AWLBOXの特徴をこう解説する。

  • 製品イメージ画像
執行役員・先行開発ディビジョン ディビジョン長Francisco Renteria(フランク)氏

AWL株式会社
執行役員・先行開発ディビジョン
ディビジョン長 Francisco Renteria 氏(フランク氏)

「AWLBOXは、既設の防犯カメラをAI化し、店舗オペレーションを最適化するソリューションです。スマホやPCから場所を問わずに防犯カメラ映像を監視・管理できる革新的なビデオマネジメントシステム(VMS)機能と合わせて、AIにより、今まで可視化することのできなかった店舗内行動などを分析し、さまざまな活用が可能になります。映像情報はクラウドに保存されずに、AWLBOX内でリアルタイムに処理されます。分析結果だけが、クラウド上で安全に保管され、既設の防犯カメラを利用するため、初期投資が少ないのもポイントです。」(フランク氏)

ハードウェア製品「AWL BOX」とソフトウェア製品「AWL Engine」を提供

AWLBOXが提供する基本機能は、リアルタイムの映像閲覧や全拠点の映像管理、トラブル時の証拠となるエビデンス映像の抽出などだ。例えば、小売店舗に導入した場合、エリアマネージャーは店舗を巡回しなくても本社指示の徹底や証拠映像の抽出ができるため、作業時間や交通費を削減が可能だ。また、エンタープライズ向けのビデオ管理システムと比較して10分の1のコストで導入できる。さらに、オプションで提供されるAI機能を追加すれば、来店者の属性や売り場の動線、商品接触状況など、AIを活用したさまざまな施策が実施できるようになるのだ。

  • リテール業界におけるAWLの活用

「AI機能はお客様のニーズに合った機能を店舗単位、カメラ単位で導入できます。現在提供しているAI機能としては、来店人数の分析、性別年齢の分析、不審者の検出アラート、接客支援アラート、棚前立ち止まり分析、通行者分析、購買分析、動線分析、欠品アラートなどがあります。こうしたAI機能は、実際にサツドラ店舗に導入しながら拡充してきたもので、現場のニーズに即した実際に稼働実績のある機能として提供できることが大きな強みです。」(土田氏)

AWLBOXのほかにも、デジタルサイネージに搭載したカメラやAndroidアプリを活用して販売促進効果を可視化する「AWL Lite」や、AWLBOXのエッジAI映像分析エンジンを単体で利用できるようにした「AWL Engine」などの製品・サービスも提供する。

「AWL Engineは、小型デバイスで動作し、設置環境で行った分析の精度を長期間維持することができる映像分析エンジンです。リテールのお客様だけに限らず、さまざまな業種の企業とパートナーシップを結びながら、AWL Engineを使ったソリューションの展開を進めています。例えば、ジャパンエレベーターサービスホールディングス(JES)グループで日本最大級のエレベーターメディア『LiftSPOT』を展開するエレベーターメディア様と業務連携し、エレベータ広告を見た人の属性分析や接触者数のレポートを行っており、今年度中に1万デバイスへ展開される予定です。AWLBOXは箱からだしてすぐに使えるようなソリューションで、AWL Engineはソフトウェア部分を切り出してさまざまなデバイスやシステムと組み合わせカスタマイズして利用できるようにしたソリューションです」(フランク氏)

AWLのAI映像解析におけるコア技術を支えるインテルのソリューションとは

AWLが提供する主力ソリューションである「AWLBOX」、「AWL Engine」の開発に用いられ、AI機能を支えているのが、インテルが提供するインテル® プロセッサーとインテル® OpenVINO™ ツールキット(以降 OpenVINO™ ツールキット)のふたつである。

インテル® OpenVINO™ ツールキット
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フランク氏は、AWLの製品にインテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを採用した背景についてこう話す。「今日のAIソリューションで求められる要件として、アプリケーションやAIモデルを簡単かつダイナミックにアップデートしていくことが挙げられます。一度アプリケーションを開発して終わりではなく、ビジネスの状況に合わせて新しいアプリケーションを追加開発したり、現場に適用したAIモデルを再学習して改善したりしていくことが重要です。インテル® プロセッサーを採用するとさまざまなデバイスで稼働するアプリケーションを作りやすくなり、またOpenVINO™ ツールキットを採用するとAIモデルをAIエンジンのなかでアップデートし続けることができるようになります。実際、AWL BOXでは、クラウド上のAWL Trainerという機能とAWL Engineをバックエンドで連携させ、AIモデルを更新し続けることを可能にしました。こうした機能拡充のしやすさ、アップデートのしやすさから、インテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを採用するのは自然な流れでした。」(フランク氏)

フランク氏は、メキシコのベンチャー企業でCTOを務めたのち、立命館大学へ社会人留学した経歴をもつ。その際にはドローン開発やAI開発を研究テーマとしていた。当時からインテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを活用しており、AWLへ入社後にAWLBOXやAWL Engineの開発に携わる際にも迷いなくインテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを選定したという。

「開発ツールとしてはほかのツールキットも候補に挙げていました。ただ、小売業という機器を設置する環境が多様で、多店舗で展開していくビジネスを支えるためのシステムとしては、インテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットが最適だと判断しました。」(フランク氏)

実際、インテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを採用したAWLBOXはパートナーとなったサツドラ店舗に導入され、店舗でのさまざまなオペレーションに対応するなかでアプリケーションやモデルを素早く改善し続けることができた。

「AWLBOXとそのコア技術であるAWL Engineの大きな特長は、実際の店舗に適用され、そこで鍛えられながら、小売業のビジネス展開を支えてきたという実績があることです。サツドラ様やJESグループ様のような規模でエッジAIが展開できているケースは、世界を見渡してもほとんど例がないと思っています。」(土田氏)

開発効率を高め、コストパフォーマンスが高く安定したソリューション展開を実現

インテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットを採用した効果は、大きく3つある。

  • 1つめは開発効率の高さ
  • 「同じコード、同じソフトウェアをインテル® プロセッサーを搭載したさまざまなデバイス、ハードウェアで利用でき、小さなPCに展開したソフトウェアを巨大なサーバ群へ移行していくこともできます。OpenVINO™ ツールキットはAIアプリケーションの開発効率を飛躍的に高め、コードのパラメータを少し変えるだけで、さまざまなデバイスに展開できるなどライフサイクル全体において活用できます。」(フランク氏)

  • 2つめはコストパフォーマンスの高いソリューションを構築可能
  • 「AWLBOXは、アプライアンスとして提供する製品ですが、コアとなるAWL Engineはフレキシブルにアップデートしていくことが可能です。通常、アプライアンスや専用機器としてシステムを導入するとカスタマイズやアップデートが難しくなり、ビジネス拡大にともなってシステムの維持やアップデートコストが負担になる傾向が多く見られます。これに対し、AWLBOXは既設のカメラを含めさまざまなデバイスに対応しているので、少ない初期投資で導入でき、状況にあわせて機能やデバイスを簡単に追加していくことができます。」(フランク氏)

  • 3つめは安定稼働の実現
  • 「AWLBOXやAWL Engineは、正式リリースから現在に至るまで大きなトラブルもなく稼働しており、全国のさまざまな店舗での利用はもちろん、小売業だけではない現場で活用が進んでいます。そうしたさまざまな環境で安定して稼働することで、インテル® プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットなど、インテル製品における信頼性の高さをあらためて実感しました。」(フランク氏)

日本にあるグローバルなチーム AWL株式会社

今後は、AWLBOXやAWL Engineをさまざまな業種業態へ展開していく予定だ。AIカメラの特性を活かすことで、防犯や広告、販促だけでなく、工事現場、医療現場、公共施設など多様な分野での応用が可能になっている。

「製品展開の面では、多業種、グローバルでの展開を推進していきます。AWLにはフランクさんをはじめとした多様なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっていて、国籍は20カ国以上に及びます。そうしたメンバーの力でグローバル展開を積極的に進めており、開発拠点としてはインド、ベトナムに設置していて、例えばAWL Liteに関しては、中東、南アジア、東南アジアに展開した実績があります。」(土田氏)

フランク氏と土田氏は「リアル世界でのAI活用は始まったばかりです。人々の生活のなかでもっと簡単にAIを使えるようにすることで社会に貢献していきます。」と今後の展望について語ってくれた。これからもインテルが提供するインテル プロセッサーとOpenVINO™ ツールキットは、AWLの取り組みを支えていくだろう。

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[PR]提供:インテル