社会環境や日常生活がここ数年の社会情勢の影響を受けて大きく変化した。あらゆる業界でデジタル化が急速に進み、金融サービスのあり方も急速に進化しつつある。こうしたなか、2007年に小売業から誕生したイオン銀行は、イオンモールなどの商業施設内で(お買い物帰りに)気軽に立ち寄れるリアルな店舗と、先進技術を活用したデジタルチャネルを融合することで、お客さまにとって「親しみやすく、便利で、わかりやすい」銀行を目指し、DX推進に取り組んでいる。

デジタル技術の進展によって顧客接点が多様化する中、お客さまに長期的に寄り添い利便性高い金融サービスを提供するイオン銀行において、お客さまとの直接的な接点であるイオン銀行店舗やコールセンターが果たす役割は大きい。イオン銀行では近年、お客さま接点におけるDX化を進め、お客さま満足度向上に努めている。その中で、2022年に、DX推進の足がかりとしてコールセンター・カスタマーサポート向けのクラウドサービス「Salesforce Service Cloud(以下、Service Cloud)」を導入した。Service Cloudは、イオン銀行のお客さまの利便性向上にどう貢献していくのか。イオン銀行 コンタクトセンター運営部の武田 裕樹氏、田中 博士氏、吉川 信之氏に聞いた。

年々増加する問い合わせ数に対応するため、コンタクトセンターのDXは急務

イオン銀行のコンタクトセンター運営部では、イオン銀行におけるほぼすべての金融サービスの問い合わせ窓口を運営している。コールセンターは、札幌・東京・大阪の3拠点、で展開されており、口座開設や投資信託、インターネットバンキングの操作方法などイオン銀行が提供する商品・サービスへのあらゆる問い合わせが寄せられている。開業以降、イオン銀行における口座保有数は右肩上がりで伸び、2023年には800万口座を突破。これに伴い、問い合わせ数も増加している。この点について、武田氏は次のよう語る。

※住宅ローン、カードローンを除く

「サービス拡大により、年々増加する問い合わせに対しては、人員を増強することでサービスのクオリティ維持に努めてきましたが、限界がありました。そこで、2018年頃からコールセンターのデジタル化・DXへ注力し、チャットツールの導入やFAQの整備などを行ってきました。お問い合わせのうち、システムで対応可能な範囲を自動化することで保留時間を短縮し、オペレーターの対応品質向上につなげるなど、業務変革および顧客体験向上を目指している状況です」(武田氏)

株式会社イオン銀行 コンタクトセンター運営部 運営G マネージャー 田中 博士氏

株式会社イオン銀行 コンタクトセンター運営部 運営G マネージャー 田中 博士氏

また田中氏は、コールセンターのDXを推進していくなかで感じていたシステム面の課題について、次のように説明する。

「コールセンターのDXを進めるにあたってハードルとなったのは、独自開発の既存システムでした。具体的には、社内の他システムとの連携等、拡張性に課題を抱えていました。そのため、オペレーターは複数のシステムを利用してお客さま対応をする必要があり、業務効率化の妨げとなっていました。これに加え、ワンストップでのお客さま対応が難しく、お客さまの待ち時間を要したり、折返しの電話が必要になったりなどお客さまの利便性という面でも難点がありました」(田中氏)

こうした課題を解決するため、導入されたのがService Cloudだった。

開発時すでに営業部門で導入していたSalesforce製品を活用

イオン銀行がService Cloudに期待していた点は大きく2つある。まずは、運用コストの削減だ。「自社でデータセンターやサーバーを用意する必要がないほか、サーバー管理や個々の端末へのインストールおよび設定が不要というクラウドサービスのメリットを重視しました」と田中氏は説明する。もうひとつは、情報共有のしやすさである。データをService Cloudへ集約することに加え、すでに「Sales Cloud」というSalesforce製品を導入していた営業部門とのナレッジ共有を目指した。

株式会社イオン銀行 コンタクトセンター運営部 運営G 吉川 信之氏

株式会社イオン銀行 コンタクトセンター運営部 運営G 吉川 信之氏

開発期間は約2年。オペレーター目線での使いやすいシステムを重視し、アジャイル開発の手法を一部取り入れるなど新たなチャレンジもあった。吉川氏は「苦労の連続でした」と、次のように振り返る。

「要件定義は行いましたが、PoC開発やアジャイル開発など、実際のシステムを利用しながらブラッシュアップしていく進め方に慣れておらず、思っていたよりも工数がかかってしまいました。また、イオン銀行ならではの業務に合わせたカスタマイズにおいて、実際の業務オペレーションとの兼ね合いについてオペレーターと調整しながら運用方針を検討していきました」(吉川氏)

さらに吉川氏は「要件定義の段階では、コールセンターで実際にお客さま対応を行うスタッフにも参加してもらい、どういう機能があれば使いやすくなるのか、どのような画面レイアウト・UIが望ましいかなど、現場の声を反映させながら作り込んでいきました」と説明する。

一方で、先行してSalesforce製品を導入していた営業部門との連携は、狙い通りスムーズに進んでいるという。

「同じSalesforceの製品なので、すでに営業部門で使っている機能を活用できるという点で非常に開発が進めやすかったです。逆にコールセンター側の仕様を営業側のSales Cloudに入れることもできるので、連携を進めています」(吉川氏)

コールセンターと営業部門でのサービスレベルの均一化と向上を目指す

Service Cloudは、2022年10月よりイオン銀行コールセンター国内3拠点に展開されている。導入効果について吉川氏は「さまざまな機能を盛り込んだために習熟のハードルが上がりましたが、日を追うごとにCPH(Call Per Hour:処理効率)の数値が徐々に向上するなど、着実に成果がではじめています」とたしかな効果を実感している。現在は、現場のオペレーターに対し定期的なアンケートを実施することで、システムのブラッシュアップや機能追加を進めているところだという。

さらに吉川氏は、Service Cloud導入のメリットについて、次のように語る。

「今回のService Cloudの導入による最大のメリットは、他システムとの連携が実現できたことにあります。システム連携によって、複数のシステムの画面を開いたりすることなく、一元的に確認できるようになりました。結果として業務効率が上がり、お客さまをお待たせする時間の削減などにもつながっています」(吉川氏)

また、情報を集約できたことで、ナレッジ・マネジメントという観点からの可能性も開けてきた。これまで業務のナレッジはツールごとに蓄積されていたが、ひとつのツールに集約されることで、組織全体で活用できるようになる。特に営業部門とは、FAQに関するナレッジの統一を進めているところだという。

「一人のお客さまに対し、店舗・コールセンターで対応するなど蓄積した情報を共有・一元化することで、お客さまの真の要望を把握できるようになり、両部門での対応品質が向上すると考えています。また、好事例の共有などによるオペレーターのスキルアップ等、導入効果は様々あり、店舗とコールセンター双方のサービスレベルの均一化と向上を図っていきたいと考えています」(吉川氏)

先端テクノロジーを積極的に取り入れDXを加速させていくために

「Service Cloudはある意味ずっと完成しないものなのかもしれません」と吉川氏。「これから少しずつ磨き上げながら時代の流れに合わせて柔軟に形を変えていくと考えています」と、今後も継続的に改善してよりよいシステム構築を目指していくとした。

こうした取り組みをサポートするのがテラスカイだ。吉川氏はテラスカイについて「担当者さまには、とても親身になってお話を聞いてもらっています。こちらからの要望に対しても、どうすれば実現できるか一緒に悩んで、考えていただけるので、非常に心強い存在です」と話す。

コンタクトセンター運営部では、ボイスチャットをはじめDXをさらに加速させていくためのテクノロジーを今後も積極的に取り入れていく考えだ。これからの展望について武田氏は次のように意気込みを語る。

「さまざまなツールを、まずはスモールスタートでいろいろな場面で試してみて、使えそうであればどんどん展開していきたいと思います」(武田氏)

さらなる事業拡大に向けて、コールセンターのDXの要となる第一歩を踏み出したイオン銀行。コールセンターにおけるDXの取り組みは、テラスカイと共にこれからも続いていく。

  • 左から、株式会社イオン銀行  吉川氏 田中氏

    左から、株式会社イオン銀行 吉川氏、田中氏

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