デジタルテクノロジーの進化や市場ニーズの多様化など、ビジネスを取り巻く状況が刻々と変化している現在、企業のIT、なかでもITインフラにも時代に即したスタイルが求められている。昨今のビジネスや技術トレンドを踏まえた“時代に即したスタイル”とは、いったいどのようなものなのだろうか。“データファースト”、“データドリブン”といったキーワードが注目され、企業がビジネスを展開するうえでのデータの重要性が高まりを見せているなか、ITインフラは時代のニーズにどう応えるべきなのか――日本ヒューレット・パッカードでサーバー事業の統括本部長を務める西村 淳 氏と同 ビジネス開発部 部長の阿部 敬則 氏を招き、TECH+編集部の岩井と「ITインフラの未来像」を展望した。

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最適なITインフラの構築に向けた、データ活用を軸としたアプローチ“エッジ・トゥ・クラウド(Edge-to-Cloud)”とは

――近年では、さまざまな分野でDXが叫ばれる一方、実際の取り組みが遅々として進んでいかない状況がつづいてきましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大、いわゆるコロナ禍によりデジタル化の動きは一気に加速しています。DXの一環として、クラウドを利用した自社サービスの品質向上や、より早いサービスのデリバリ、さらに経営層の迅速な意識決定など、“データファースト”な事業への変革を目指す企業も増えてきています。そのなかで企業内に蓄積されている古いデータが有効活用できていないという問題が顕在化し、クラウド利用の考え方を見直そうという流れが生まれています。HPEでは2022年に「データファーストモダナイゼーション」を提唱して、企業のITインフラ変革を推進されていますが、その現状についてお聞かせください。

西村氏:ITインフラの変遷を振り返ってみると、もともとはオンプレミス環境のデータセンターに構築していたものが、近年になりパブリッククラウドの利用が進み、現在はオンプレミスとクラウドを適材適所で使い分けるハイブリッド/マルチクラウドが主流になってきています。さらにデータの所在もデータセンターのサーバーから、モバイル、IoT、リモートオフィス、自動車など、いわゆる“エッジ側”へと広がっています。こうした状況のなか、HPEでは“エッジ・トゥ・クラウド(Edge-to-Cloud)”という考え方のもと、時代の変化を先取りした戦略で事業を展開しており、2022年には「データファーストモダナイゼーション」を提唱しています。

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    日本ヒューレット・パッカード合同会社
    常務執行役員 デジタルセールス・サーバー事業統括本部長
    西村 淳 氏

従来のITインフラでは、すべての生成・蓄積されたデータはデータセンターに集約され、そこで処理を行い次のアクションに結び付けるというプロセスが一般的でしたが、あらゆる場所で爆発的にデータが生成されるようになった今、このプロセスでは間に合わなくなってきています。そこでエッジ側で生まれた大量のデータをその場で処理し、ダイレクトに次のアクションにつなげる必要が出てきました。その一方で、エッジ側で処理をすることで、データは分散化されます。そこで、ビジネス・業務に効果的に活用できるように、エッジと従来のデータセンターやクラウド上のシステムがシームレスに連携して稼働する必要があります。これが“エッジ・トゥ・クラウド”の考え方で、HPEでは爆発的に増加するデータを迅速に分析し、インサイトを創出して価値に変えていくためのプラットフォームを提供していくことを最新の戦略としています。これによりユーザーはデータの所在を意識することなく、意思決定・新規サービスにデータを活用していくことができるようになります。これが「データファーストモダナイゼーション」のアプローチです。

すべてが“as a Service”で提供されるHPE GreenLakeのかたち

――昨年のHPE Discover(※1)では、CEOのアントニオ・ネリ 氏が、2019年から進めてきた“Everything as a Service”の完了を宣言しました。その意味では、今後「データファーストモダナイゼーション」を推し進めていくバックボーンが整ったと考えていいのでしょうか。

西村氏:そうですね。2019年のHPE Discoverで“Everything as a Service”、すなわち「すべての製品をサービスとして提供できるようにします」とお伝えさせていただきました。これを「HPE GreenLake」のソリューションで実現し、2022年に「完了」を宣言しています。現在は、そこから一歩進めて、Edgeからクラウドまで、ITインフラ全体にクラウドのエクスペリエンスを提供し、セキュリティを担保した共通プラットフォーム上で運用管理や可視化などのすべてを“as a Service”で提供する「HPE GreenLake Edge-to-Cloud Platform」の開発・提供を進めています。データを中心にしたプラットフォームとして必要な諸要素を整理し、サブスクリプションモデルで提供。まさに「データファーストモダナイゼーション」を実現するためのプラットフォームであり、“Everything as a Service”の次のフェーズを担うHPE GreenLakeの新たなかたちとなります。

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――データファーストの実現に向け、HPE GreenLake はハードウェアのみならず、運用管理も含めてITインフラにおけるすべての要素をサービスとして提供するという方向に進化しているということですね。昨今では複雑化したITインフラの運用管理がIT部門にとって大きな負担となっているケースも増えていますが、HPE GreenLakeならば、こうした運用管理の課題も解消できるのでしょうか。

西村氏:HPE GreenLake Edge-to-Cloud Platformは、コンピュート(サーバー)、ストレージ、ネットワーク、パブリッククラウドなどのコンポーネントをセキュアかつシームレスに接続し、運用管理までを一元的に行うための仕組みです。ハードウェアコンポーネントをクラウドベースで管理できるサービス「HPE GreenLake for Compute Ops Management」を利用することができ、従来の管理サーバーを用いたサーバー管理、いわゆる「管理のための管理」からITエンジニアを解放します。インターネットにつながっていれば、世界中のどの場所に設置したサーバーも管理コンソールから一元管理が可能となります。オンプレミス環境で提供していた、さまざまな管理項目、例えば死活監視や使用状況の確認、ファームウェアのバージョン管理(アップデート)などに対応するほか、サービスはHPEのクラウドで管理されているため、スマートフォンで操作することができ、管理者の負担を大幅に軽減します。ネットワーク/セキュリティを一元管理する「Aruba Central」や、「ストレージDSCCを追加」ハイブリッドクラウドのコストを可視化する「HPE GreenLake Central」といったサービスを同一のコンソール画面から操作することができます。

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――HPE GreenLake Edge-to-Cloud Platformを構成する要素のなかで、“データファーストの実現”という観点においてHPEが最も重要視することを教えてください。

阿部氏:データファースト、データドリブンという文脈において、もっとも重要となるのはデータを処理する基盤であるサーバーの選択だと考えています。膨大なデータを収集・処理するうえで必要となってくるのは強力なコンピューティングのパワーであり、その意味ではサーバーこそがデータを価値に変えるための基盤となります。HPEでは、サーバーを単なるコモディティではなく、企業がデータファーストを実現するための重要な“武器”と捉えており、時代のニーズを先取りする“一歩先行くサーバー”として、最新モデル「HPE ProLiant Generation11(Gen11)サーバー」を2022年11月に発表し、国内での販売を開始しています。

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    日本ヒューレット・パッカード合同会社
    デジタルセールス・サーバー事業統括本部 サーバー製品本部 ビジネス開発部 部長
    阿部 敬則 氏

西村氏:データファーストトモダナイゼーションを進めていくなかでは、Edgeでもクラウドでもオンプレでも、強力かつセキュアなサーバーが必要不可欠です。HPE ProLiant Gen11は「直感的なクラウド型の運用管理」「安心のセキュリティ・バイ・デザイン」「ワークロード性能の最適化」という3つの特長を備えており、“Edge-to-Cloud”に必要不可欠な機能を実装した製品として市場に投入しています。

HPE ProLiant Gen11 が持つ、データファーストを実現する3つの特長

――HPE GreenLake のコンセプトを具現化するHPE ProLiant Gen11 が備える3つの特長についてお聞かせください。

阿部氏:1つ目の「直感的なクラウド型の運用管理」としては、前述した「HPE GreenLake for Compute Ops Management」を目玉機能として実装しています。弊社では、システムがますます多様に・分散される“Edge-to-Cloud”の環境下において、運用の複雑性がIT管理者にとっての最大の負担になっていると考えています。本製品は、先ほどの話にも出てきた「管理のための管理」から運用担当者を解放し、本来のビジネス領域に注力してもらうことを目的に開発されたサービスで、クラウドベースでメンテナンスフリー、どこからでも一元管理できることが特徴です。CO2の排出量を一元的に可視化できるカーボンフットプリントレポートや、多大な時間と工数を要しているファームウェアの迅速なアップデートなど、導入企業に価値を提供するための機能を備えています。2023年春には、お客様からご要望の高い障害発生時の「自動通報」機能も実装される予定です。このように、クラウド側で順次機能が追加・進化していくことも、導入したお客様にとっての大きなメリットと言えます。

2つ目の「安心のセキュリティ・バイ・デザイン」は、いまの時代、セキュリティ機能はオプションではなく設計・開発・納品段階から必要不可欠なものである、というHPEの思想をもとにGen11サーバーが開発されたことを意味しています。前モデルから実装されていた「HPE Silicon Root of Trust」に加え、Edge環境のサーバーに必須と言える「プラットフォーム証明書」「セキュア ゼロタッチオンボーディング」などのさまざまなセキュリティ機能を“標準”で搭載しているので、お客様がセキュリティ対策に大きな負担を感じずに安心を享受いただけることがポイントです。HPEでは、以前よりファームウェアセキュリティやハードウェアセキュリティ機能を実装しており、セキュリティ・バイ・デザインという面では一日の長があると自負しています。

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3つ目の特徴となる「ワークロード性能の最適化」ですが、HPE ProLiant Gen11では豊富な製品ラインナップを用意することで、新たな価値を創出するためのデータ処理を最適化しています。“Edge-to-Cloud”のITインフラにおいては、これまでのサーバーではデータ処理が追いつかなくなってきています。そこでHPE ProLiant Gen11では、従来と同じ筐体サイズでGPUの搭載密度を33%向上させる専用筐体モデルを開発し、1Uで高性能なダブルワイドの GPUを2基搭載できる製品を新たに用意しました。限られたスペースに複数のGPU(アクセラレータ)を搭載することで大量のデータをスムーズに処理することが可能になります。第4世代AMD EPYCプロセッサーや第4世代インテル Xeon Scalableプロセッサー搭載製品、さらにはARMプロセッサー搭載製品などを揃え、プライベート/ハイブリッドクラウド、コンテナ、AI/ML、VDIなど幅広いワークロードに対応します。こうしたラインナップの拡充は、データファーストを実現するためにHPEが出した“解”の1つといえます。今後も順次、新モデルを継続リリースしてまいりますので、ご期待ください。

HPE GreenLakeが体現するITインフラの未来像

――ここまでお話いただいたHPEの取り組みから、データファーストの実現を見据えたITインフラの在り方が見えてきました。最後にHPE GreenLake Edge-to-Cloud Platform並びにHPE ProLiant Gen11の導入を検討している企業にメッセージをお願いします。

阿部氏:本日は、いまの時代を先取りするHPEの取り組みと新世代サーバーの特長を紹介させていただきました。“Edge-to-Cloud”やデータファーストに代表されるように、企業のITインフラに対する考え方は多様化してきています。その意味でも、単なるハードウェアスペック・性能に留まらないHPEの幅広いオファリングは、お客様の幅広いニーズに応えられるものになっていると思います。またHPEには全国に多数の販売パートナー様がおり、さらに公式のECサイト「HPE DirectPlus」からも専属スタッフのアドバイスの下、製品を購入いただけます。販売パートナー様やHPE DirectPlusサイトを介して、是非多くの方にGreenLakeで実現する“インフラの最適解”を知っていただければと期待しています。

西村氏:ProLiantブランドのサーバー製品は、2023年9月で30周年を迎え、2003年からの統計では全世界で累計4,300万台以上(※2)の出荷を達成しています。世界中の企業・組織にさまざまなワークロード・多様な環境でお使いいただいており、世界標準のサーバーという自負を持っています。最新モデルのGen11サーバーでは、単純にスペックを向上させただけではなく、HPE GreenLake に組み込み、運用管理をはじめ多様な機能をサービスとして提供することで、お客様に対する新たな価値の提供を目指しています。さらに充実した製品サポートや、HPEと一緒にビジネスを推進いただくパートナー様の力もあり、これらを含めた総合力で、新しいDX、Edge to Cloud、データファーストの時代に貢献していきたいと考えています。また、多くのお客様にご心配をおかけしてしまいましたが、現在は納期についても改善されており、以前の状態に戻っています。データファーストモダナイゼーションを、より多くのお客様に実感いただければと思っています。


2022年度のHPE GreenLake“as a Service”受注総額は、前年比で68%増加し、とくに日本国内ではHPE GreenLakeの売上比率が20%を超えているという。これは全世界平均の2倍の数値となり、運用管理を含めたITインフラ全体を“as a Service”で提供するHPE GreenLakeに対する期待感の現れといえるだろう。

データファーストのアプローチは企業・組織によって異なり、実現するためのITインフラも“在るべき姿”はさまざま。豊富なラインアップを展開し、多様なワークロードに最適化できるHPE ProLiant Gen11は、データファーストを目指す企業にとっての道標となるはずだ。

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(※1)HPEが毎年開催している年次カンファレンス

(※2)出典:「IDC Quarterly Server Tracker 2022Q1」。 累計出荷台数、累計工場出荷金額は、2003Q1から2021Q4までの期間内の「Product Category」を「x86」で抽出した「Company」の合計値になります (端数は切り捨て)。米国Hewlett Packard EnterpriseとNew H3Cグループは、ジョイントベンチャーを行っています。よって世界市場におけるHPEの実績はHPEとNew H3Cグループの合計を実績値としています。



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