2023年、インテルは第4世代のXeon® Scalable CPUを正式に発表した。「Sapphire Rapids(サファイア・ラピッズ)」と呼ばれるこの新世代のCPUは、第3世代の「Ice Lake」から各種性能の向上が図られているのはもちろん、最新の市場動向やビジネスユースを踏まえた、新たなコンセプトに基づく新機軸が盛り込まれている。Sapphire Rapidsが開発された背景や、ビジネスにもたらす可能性を考える。

デジタル化で重要視される最適なCPUの選択

不安定な時代に突入し市場競争が激化している昨今、企業が競争力を発揮しつづけるためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)へ取り組むことが求められる。その結果としてあらゆるビジネスのデジタルシフトが進んでおり、データセンターの重要性が増している。

ここで問題となるのが、データセンターに設置されているサーバーのパフォーマンスだ。ネットワーキング、ストレージ、HPCなど、あらゆる用途において十分な性能を発揮できなければ、DXを推進してビジネスを加速させることは難しくなってしまう。そこで着目すべきが、サーバーの心臓部とも言えるCPUである。

ただし、単に高性能なCPUを選べば良いわけではない。CPUのコストは性能に応じて高額になるため、より高い処理能力が求められる場合以外で用いると過剰に投資することとなる。多くの企業においてTCO(Total Cost of Ownership)削減が図られていることを鑑みても、求める処理能力とCPUの性能が見合っているか十分に検討しなければならない。

サステナビリティの観点も重要だ。昨今、SDGs(持続可能な開発目標)達成の重要性が広く認知されるようになった。ただ利益を追求するだけでなく、地球規模での環境に配慮したサステナブルな経営手法を講じているかは企業の価値を左右する。今後はITインフラにおいても可能な限り消費電力を抑えるなど、環境への配慮がますます求められるだろう。

ビジネス要件に応えるCPU「Sapphire Rapids」

利用用途が多岐にわたるデータセンターのCPUには、下記の要素を満たしていることが重要となる。

  • より高いパフォーマンス性能の実現
  • TCOの最適化
  • SDGs達成への貢献

こうした課題を解決するべく、インテルはSapphire Rapidsを開発した。

Sapphire Rapidsの特徴は、実環境のワークロードを最適化できるアーキテクチャを採用していることだ。インテルでは長年にわたり世界中の組織に使用されてきた第3世代Ice Lake の利用実態やユーザーの意見を徹底的に分析。同社はユーザーごとに異なるニーズ合わせ、CPU側が対応する仕組みを構築した。これによりワークロードの最適化と、ベンダー / アーキテクチャロックを招かない柔軟な環境を生み出した。第3世代Ice Lakeまでに蓄積した多様なニーズへの対応力を集約したCPUがSapphire Rapidsとなっている。

  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_001

Sapphire Rapidsはさまざまな用途に適用できるうえに、ネットワーク/5G、ストレージ、HPC、などの実環境におけるワークロードを優先させて高い処理能力を発揮できるよう、2023年時点で販売されているCPUのなかでは最多のアクセラレーターを内蔵している。これこそ、ユーザーにトップレベルのパフォーマンスを提供できる理由だ。

第3世代Ice Lakeと比較すると、汎用コンピューティングとしては53%ものパフォーマンスの向上を実現。ネットワーク/5G/vRan(virtual Radio Access Network:仮想無線アクセスネットワーク)や、ネットワーキングとストレージにおいては2倍もパフォーマンスに差がある。データ分析においては3倍、AI活用では最大10倍もパフォーマンスに優れていることが報告されている。

さらに注目すべきは、後述するアクセラレーターの機能によるワークロードの最適化や、電源制御、遠隔監視といった運用面の改良により、消費電力当たりの性能でも従来比2.9倍という高い数値を示している点だ。つまり、CPUの処理能力当たりの電力消費量を抑えられるため、SDGsの達成にも大いに貢献すると期待できる。パフォーマンスの向上によってサーバー台数を減らすことができるので、コスト効率の最大化とTCOの最適化にも資する存在と言えよう。

  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_002

    第3世代Ice Lake との性能比較

正式発表に先駆けて多数の組織が採用を決定

サーバーは導入後から徐々にパフォーマンスが低下する。その場合、CPUを買い換えることが一般的だ。そこでインテルは、あとからアクセラレーター類や機能を追加できる「インテル® オンデマンド」というサービスを新たに提供している。Sapphire Rapidsを搭載しているサーバーであれば、必要に応じてワークロードのアクセラレーターを購入するだけで、CPUを買い替えることなく性能を維持・拡張できる。これによって、TCO削減も期待できるだろう。

  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_003

Sapphire Rapidsシリーズには「Intel® Xeon® CPU マックス」という広帯域メモリを搭載したCPUもある。同時発表された「インテル® データセンター GPU マックス」は、超高性能な演算性能を備えるスーパーコンピューター向けのGPUであり、AIやHPCなど、とくに高い性能が求める用途において有力な選択肢となるはずだ。

  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_004

たとえば、すでに先行導入を決定した京都大学では、Sapphire Rapids(インテル® Xeon® CPU マックス)を活用することで、広帯域幅メモリを利用し、さまざまな領域の研究における新たな発見の可能性をより引き出すことを目指している。

また、さくらインターネットもSapphire Rapidsを採用することを決めている。Sapphire Rapidsの特徴であるスケーラビリティと機能性を最大限に活用することで、日本のクラウドベンダーとして企業・官公庁・自治体のDX、大規模なデータ処理、AI/HPCの活用まで幅広いニーズに応えていく方針だ。

  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_005
  • 「データファースト」を実現するサーバー選択の道標_006

ほかにもノーチラス・テクノロジーズなどがSapphire Rapidsの採用を決定、また、日本アイ・ビー・エムも「IBM Cloud」にSapphire Rapidsを展開することを決定している。

ここまで説明してきた通り、Sapphire Rapidsは発展しつづけるデータセンターへの多用なニーズに応えることのできるCPUだ。また同時に、より高いパフォーマンスの実現、TCOの最適化、SDGs達成への貢献といったビジネス課題の解決にも寄与するCPUである。

世界中で広く使われる製品を提供するインテルだからこそ実現できたSapphire Rapids。デジタルファースト時代に“差がつく”CPUとして、今後発表されるキャンペーンなども活用し、ぜひ一度試してみることをお勧めしたい。

第4世代インテル® Xeon®
スケーラブル・プロセッサー・ファミリーインテル

[PR]提供:インテル