製造・建築・土木など、さまざまな業種で使われてきたCADソフトウェアですが、昨今では本来の設計・製図作業の効率化だけにとどまらず、働き方そのものを支援する、“誰でも便利に使いこなせる”ツールとして活用したいといったニーズも高まっています。本稿では、マイナビニュースが2022年2月に読者会員を対象に実施した「CAD利用に関するアンケート」の結果から、現状のCADに求められている要件と、最新CADソフトウェアのトレンドについて確認していきます。

市場の変化にともない顕在化した、CADソフトウェアの利用における課題とは

まずはアンケートの結果から、CADを利用・管理しているユーザーがCADソフトウェアに対して感じている課題感を紐解いていきます。CADの利用目的として、53.9%が「設計時間を短縮・効率化したい」と回答している一方で、課題として「単純な繰り返し作業が多い」「部品リストの作成が面倒」との回答も多く、利用者がCADに対して更なる効率化を望んでいることがわかります。

  • (グラフ)現在お使いのCADソフトウェアの利用目的についてのアンケート結果

昨今では、あらゆる業種でデジタルトランスフォーメーション(DX)や働き方改革が推進されており、コロナ禍の影響によるリモートワークの普及など、業務環境そのものが大きな変革の最中にあります。このため、単に設計・製図業務のみを効率化するのではなく、リモートワーク環境でのCAD利用から、離れた場所にいる関係者とのコミュニケーションまで、さまざまな領域での効率化が求められるようになってきています。

さらに、専門スキルを持った技術者の高齢化も進んでいるなか、属人化を防ぐ「業務の標準化」も不可欠です。アンケートでも「新しい機能や技術の習得に時間がかかる」との回答が14%に及び、CADソフトウェアの選択にあたっては、“誰でもすぐに使えること”を重視している傾向が見えてきます。また、20%近くのユーザーが「異なるCADソフトウェア間でファイルをやりとりしたときの手直しが多い」「CADソフトウェアの価格が高い」と回答しており、“業界標準であること”、“無駄のない適切なコストで利用できること”も、CADソフトウェアの導入・刷新を検討する際のポイントといえそうです。もちろん、3D CADをはじめ最新技術の活用を見据えているユーザーも増加傾向にあり、「高そう」「難しそう」といった懸念を払拭できるソフトウェアならばベターです。

  • (グラフ)非効率だと思うこと、または困っていることについてのアンケート結果

オートデスクでは、こうした利用者のニーズに対応するため、今年で40周年を迎える“定番”CADソフトウェアである「Autodesk AutoCAD」の最新バージョンを2022年3月にリリースしています。サブスクリプション形式で提供され、2D作図用のAutoCAD LT(新規販売は終了)と同等の価格で3D CADも含めたフル機能が利用可能。AutoCAD LTでは使えなかった自動化・効率化機能が使えるほか、リモートワーク環境でも活用できる仕組みが用意されており、前述した「更なる効率化」「業界標準」「適正コストでの利用」「最新技術の活用」といった要件を網羅したCADソフトウェアに進化しています。

  • (イラスト)繰り返し作業に悩んでいるあなた。生まれ変わった「AutoCAD」ってご存知ですか?

    繰り返し作業に悩んでいるあなた。生まれ変わった「AutoCAD」ってご存知ですか?

3D CADやカスタマイズ機能を低コストで利用できる最新「AutoCAD」に注目

今回のアンケートでも、約80%が「AutoCAD」「AutoCAD LT」「AutoCAD Plus」を利用していると回答しているように、定番CADソフトウェアとしての地位を確立しているAutoCADシリーズ。ところが2021年5月からAutoCAD LTと同じ価格帯でフル機能版のAutoCADが使えるようになったことは意外と知られていません。オートデスク株式会社 技術営業本部 建築・土木テクニカルソリューションエグゼクティブの大浦 誠氏は、最新版AutoCADの特徴とメリットについて解説します。

  • (グラフ)AutoCAD が昨年5月に新しくなり、以前のAutoCAD LT の価格で AutoCAD が使えるようになったことについてのアンケート結果
オートデスク株式会社 大浦 誠氏

オートデスク株式会社
大浦 誠氏

「オートデスクでは、以前より効率化や、その先にある自動化を重視した製品開発を行ってきました。生まれ変わったAutoCADでは、これまで繰り返しの手作業で時間をかけて行っていた部分を、より短時間で、簡単に作業できるようにカスタマイズすることが可能です。このため、AutoCAD LTでは難しかった会社ごとのニーズに応じた自動化・効率化を実現することができます」

また、AutoCADのサブスクリプションメンバーは、AutoCAD WebアプリとAutoCAD モバイルアプリを利用することができ、自宅や外出先で図面データを開いて確認したり、簡単な編集を行ったりできるようになると大浦氏。建築現場や工場といった「現地」でCADの図面を参照することで業務の効率化を図りたいというニーズにも対応していると説明します。

さらに、Premiumプランを契約している管理者はサブスクリプションの利用状況をレポートで確認することができ、「誰が、どのソフトを、何日間使ったか」を容易に把握できます。大浦氏は「アンケートのコメントで『皆が一斉に使うのでライセンスの空きがなくてなかなか利用できない』という声もありましたが、AutoCADのサブスクリプションならば、利用状況も把握できるため、本当に必要な人が使える体制を構築することができます」と語り、運用面での効率化も実現できると力を込めます。

このように、買い切り型の永久ライセンスにはないメリットが多いサブスクリプションを提供しているオートデスクでは、「Autodesk Flex」という仕組みも提供しています。トークンを購入して製品を利用した分だけ支払うという従量課金制の購入方法で、AutoCADはもちろん、製造業向けの「Inventor」、建築・BIM向けの「Revit」、土木向けの「Civil 3D」といったオートデスクの主力製品のほとんどを利用できます。気になった製品を気軽に試せるほか、AutoCADを常時利用しているユーザーにはサブスクリプション、スポットで利用するライトユーザーにはAutodesk Flexといった使い分けも可能。CADソフトウェアの利用コストを最適化し、「適正コストでの利用」という課題をクリアできます。

このように、多くのメリットが得られるAutoCADは、現在利用しているAutoCAD LTからの乗り換えも容易です。利用コストは同等で、基本的なユーザーインタフェースも同じなうえ、3D CAD機能やカスタマイズ機能を利用できるようになります。LTのサブスクリプションが切れるタイミングで移行すれば、管理者・ユーザーに負担がかかることなく効率化を加速できるでしょう。

  • (イラスト)実は、AutoCAD LTと同じ価格帯でフル機能版のAutoCADを使えるようになったんです。ニーズに応じて自動化も可能で、今までよりお得に利用できます。

    実は、AutoCAD LTと同じ価格帯でフル機能版のAutoCADを使えるようになったんです。
    ニーズに応じて自動化も可能で、今までよりお得に利用できます。

7種類の業種別ツールセットで、業種に特化した機能が利用できるようになる

AutoCADのラインナップには、上位版となる「AutoCAD including specialized toolsets (AutoCAD Plus)」も用意されています。7種類の業種別ツールセットが含まれた製品で、AutoCADをベースに業種に特化した機能が盛り込まれています。アンケートではCAD利用者の58%が業種別ツールセットの存在を把握していないという結果が出ていますが、汎用CADであるAutoCADでは提供されていないシンボル・部品などや業種に特化した機能も備わっており、「部品リストの作成が面倒」といった課題の解決も強力に支援。「業種別ツールセットを使うことで効率化が図れたという調査結果も出ています」と大浦氏が語るように、導入した企業には高く評価されています。

  • (グラフ)AutoCAD Plus に含まれる、業種別ツールセットについてのアンケート結果

オートデスクのコミュニティでは、業種別ツールセットに関する情報交換も活発に行われています。ユーザーの多いAutoCAD Mechanical をはじめ、解説書籍も発売されており、導入ハードルは高くありません。効率化・生産性向上の効果は確かなものがあり、企業の環境によっては上位版のAutoCAD Plusを採用するのも有効な選択肢といえそうです。

  • (イラスト)生産性が爆上がりする業種別ツールセット。たとえば、Mechanical ツールセットを使えばこの通り、部品表が自動作成できます。

    生産性が爆上がりする業種別ツールセット。
    たとえば、Mechanical ツールセットを使えばこの通り、部品表が自動作成できます。

40年の歴史を持つ定番CADとしての信頼性を担保しながら、時代に合わせた進化を続ける

アンケート結果からも高いシェアを持っていることが確認できるAutoCADは、最初のバージョンをリリースしてから今年で40周年を迎えます。ユーザーの声をフィードバックしてアップデートを重ね、3D CADをはじめ先進的な機能を活用できるCADソフトウェアとして今もなお進化を続けています。40年にわたって積み重ねてきた、オートデスクという企業の信頼性、AutoCADというソフトウェアの信頼性、そして作成した図面データの信頼性は、他のCADソフトウェアベンダーにはない強みとなります。実際、40年前に作成した図面データは、最新版のAutoCADでも読み込んで表示させることができ、編集作業も可能。アンケートで約20%のCAD利用者が回答していた「異なるCADソフトウェア間でファイルをやりとりしたときの手直しが多い」という課題もAutoCAD同士でファイルをやり取りすれば安心です。

「多くのユーザーに利用していただいていることがAutoCADの強みです。ユーザーが求める効率化の実現を目指して機能強化を続けており、最新版ではユーザーの利用状況を分析して「この部分を学んでみてはどうか」「この機能を使ってみてはどうか」と提案してくれる機能も備わっています。今後もPCの性能向上に合わせてソフトウェアのパフォーマンスや使い勝手も改善。さらに周囲の関係者とのコラボレーションを強化する機能も拡充し、リモートワーク環境での効率化も実現していきたいと考えています」と、大浦氏は今後の展望を語ります。

  • (イラスト)この機能知ってました?すごく効率化できるんですよ♪って、AutoCAD Plus 2023 の新機能、「自分のインサイト」画面でのアドバイス見えてますけど……

    この機能知ってました?すごく効率化できるんですよ♪
    って、AutoCAD Plus 2023 の新機能、「自分のインサイト」画面でのアドバイス見えてますけど……

設計・製図作業の効率化はもちろん、新しい働き方を支援するDXツールとしての利用も期待されているAutoCADを導入すれば、これからのCAD活用のビジョンが見えてくるはずです。

関連情報
本稿で取り上げたAutoCADに関するお役立ち情報は、下記のオートデスク オフィシャルページでご覧いただけます。
AutoCAD 製品ページ
AutoCAD リソースセンター

アンケート実施概要
調査主体:マイナビニュース
調査期間:2022年2月25日(金)~2022年2月27日(日)
調査対象:マイナビニュース会員 男女500名(設計管理職)
調査方法:マイナビニュース会員サイトログイン式アンケート

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