働き方改革や昨今の社会情勢の影響もあってテレワークが推進され、場所や時間などにとらわれない柔軟な働き方が浸透しつつある。一労働者からしてみれば歓迎できる変化だが、企業の情報システム部門やIT部門の立場からすると環境整備やセキュリティ対策など考慮すべき課題が多く、頭を抱えている担当者も少なくないだろう。特に業務に必要不可欠な“パソコン”をどう調達するかは大きな問題。性能やコストだけでなく品質も重要で、信頼に足りうる製品でないと社員に支給することは難しいからだ。

そんな悩みを抱える人におすすめしたいのが、BTOパソコンメーカーとして長い実績を誇るマウスコンピューターだ。その強みは、なんといっても“Made in Japan”であること。長野県飯山市にある自社工場で受注生産を行い、厳しい品質テストをクリアした製品のみが出荷されている。今回は、その自社工場で工場長を務める松本一成氏に、同社の生産体制や品質管理について話を伺った。

  • マウスコンピューター飯山工場 工場長 松本一成氏

  • 長野県飯山市に構えるマウスコンピューターの飯山工場

1台1台のパソコンを手作業で丁寧に組み立てる

法人向けパソコンの「MousePro」や一般向けの「mouse」、ゲーム向けの「G-Tune」、クリエイター向けの「DAIV」、液晶ディスプレイの「iiyama」など、幅広い製品ラインナップを展開するマウスコンピューター。同社のパソコンは、注文時にCPUやメモリ、ストレージなどの構成を自分好みにカスタマイズできるBTO(Build To Order=受注生産)方式で生産されているが、その開発・生産拠点となっているのが長野県飯山市にある飯山工場だ。敷地内にはパソコンの開発部門と品質管理部門、生産工場に加え、ディスプレイの開発部門と品質管理部門も同居している。

マウスコンピューターのパソコンは、この飯山工場を中心に国内3拠点で生産・出荷されている。残り2拠点も飯山工場と同じ長野県北信地方にあるため、同社のパソコンはすべて“長野生まれ”ということになる。

「もともと飯山市は、iiyamaディスプレイ発祥の地。その生産工場を受け継いでパソコンの製造を行っているのが現在の飯山工場になります。工場では、ベルトコンベアーを使った流れ作業ではなく、ひとりひとりが1台のパソコンの全行程を手作業で作り上げていく『セル生産方式』を採用しています」(松本氏)

  • ひとりひとりが1台のパソコンの全行程を手作業で作り上げていく『セル生産方式』を採用している

セル生産方式の利点は、多品種少量生産に対応しやすく、新しいパーツを採用しやすいところにある。ライン生産方式では製品の構成やパーツの仕様が変わると、その都度、段取りやプログラムを変更する必要があるが、セル生産方式なら熟練した人が柔軟に対応することができる。ただし人が作業する以上、ミスが起こる可能性は常に存在する。

「そのため完成したあとに、組み立てた人とは別の人が中を開けてパーツの取り付けなどに問題ないかダブルチェックをするという取り組みを行っています。さらにそのあと、USBポートやオーディオ端子などのインタフェースひとつひとつに至るまで動作確認を実施し、専用プログラムでシステムに負荷をかけて正常に動作するかをチェックする負荷試験を行います」(松本氏)

通常、こうした機能検査や負荷試験は、完成した製品の中からランダムに抜き取って行うことが多い。しかし、マウスコンピューターでは、それを全数に対して行っているという。

  • 機能検査や負荷試験は全数に対して行っているという

「BTOカスタマイズが特徴のマウスコンピューターでは、1台1台異なるものを作っているため、複数の人の目と手で品質チェックを行っています。 そのぶん手間はかかりますが、“Made in Japan”のパソコンメーカーとして“品質”は妥協できない部分ですね」(松本氏)

部材受け入れの段階から徹底した品質管理を行う

パソコンのような精密機器は、パーツ自体の品質や、パーツを組み合わせた際の相性などが製品に及ぼす影響も大きい。そこでマウスコンピューターでは、部材受け入れの段階から徹底した品質管理を行っている。

「部材に関しては、まず開発部門で品質や組み合わせの評価を行い、そこで選定されたものだけを使用しています。そのなかで積極的にフィードバックを行い、ベンダーさんと一緒に品質を上げていくような取り組みも行っています。工場側では、入荷した部材に対して検査を行い、受け入れの基準をクリアしたものだけ使用します。基準に合致しないものはベンダー側に返却、またはNGであることを把握しやすい形で管理し、間違って製品に取り付けられることがないよう細心の注意を払っています」(松本氏)

  • 部材については開発部門で評価し選定されたものだけが使用される

工場内には、各セクションにリーダーを配置し、作業の際に何かあればリーダーを通して全員が情報を共有できる体制を整えているそうだ。

「たとえば、作業をしていて『こんな傾向の不良があります』とリーダーに報告すると、瞬時に工場内の全員が共有できるようになっています。製造したパソコンのダブルチェックや、評価基準の明確化とともに、こうした情報共有をスムーズに行うことも一定の品質を保つのに役立っています」(松本氏)

このほか、アフターサポートを通してユーザーから得られたフィードバックも品質向上に役立てているという。

「現在、修理対応は埼玉にあるサービスセンターで、お客様対応は沖縄と米子のコールセンターで行っていますが、そこで得られた知見をどんどん上げてもらい、全社で共有するようにしています。製造現場では『気づきの掲示板』と呼んでいますが、そこには組み立て不良だけでなく、部材の不良などもリアルタイムで上がってきます。そうした市場の声に即時に対応する取り組みも、製品の品質向上に大きな役割を果たしていますね」(松本氏)

  • マウスコンピューターのコールセンターの様子。24時間365日のサポートを行う

国内生産ならではの納期へのこだわり

マウスコンピューターでは、時期やモデルにもよるが、デスクトップパソコンの場合は基本的に注文確定から4営業日、ノートパソコンは3営業日で出荷を行っている。製品によっては、「翌営業日出荷」のオプションが用意されているものも。これは午後13時までに注文を確定した場合、翌営業日に製品を出荷するというサービスで、2,200円(税込)の追加料金で利用できる。注文を受けてから組み立てる必要のあるBTOパソコンとしては異例の速さだが、こうした短納期を実現できる理由も国内生産にあるという。

「国内に生産工場があるため、受注が生産指示に直結しているんです。また受注した構成に合わせて必要な部材を揃える体制も整っています。だから生産に入るまでの時間が非常に短いんですね。予想以上に受注が入った場合は納品をお待たせしてしまう場合もありますが、その場合もできるだけ出荷が滞らないよう工場稼働日数を増やすなど、日常的に受注をためないように工夫しています」(松本氏)

  • 時期やモデルにもよるが、注文確定から3~4営業日程度で出荷というスピード納期も特徴

「比較的法人からの注文が少ない月曜日と土曜日をシフト制にすることで、受注量と生産能力のバランスを取りながら“月土稼働”を実現しています。しかしそれでも突発的に需要が高まったり、不測の事態が起こることはあります。たとえば、少し前にGIGAスクール構想で学習者用端末のニーズが増加しましたが、そのときは専用の作業場を作って対応しました。コロナ禍では、各作業場を保護シートで囲うなどの対策をとり、安全を確保しながら通常通りの稼働を実現しています。こうした臨機応変な対応が可能なのも、ひとりひとり作業場が分かれていて勤務時間に融通を効かせやすいセル生産方式によるところが大きいですね」(松本氏)

自分でパソコンを組み立てられるワークショップも開催

ちなみに、飯山工場の熟練したスタッフの場合、1台のパソコンを組み立てるのに早いものだと10分ほどしかかからないという。しかし水冷やグラフィックボードを組み込んだデスクトップパソコンのように構成が複雑だったり、パーツが小さく扱いに気をつかうような場合は、同じ人でも1時間弱かかることがあるそうだ。

「工場では作業の進捗状況やパーツの組み付け履歴などを“見える化”して、作業が遅れがちなときにスタッフをフォローしたり、品質に問題があったときにすぐフィードバックできる仕組みも作っています。ベテランスタッフが難易度の高い組み立てを率先して担当したり、若い人に指導するなどしてフォローするケースもありますね。ひとりで組み立ての全行程を行うので、どのスタッフも責任感やモチベーションがとても高いんですよ」(松本氏)

  • ものにもよるが早ければ1台のパソコンを10分程度で組み立てられるという。熟練した職人技が伺える

そうしたスタッフの技術力の高さや品質へのこだわりを間近で体感できるのが、2010年から全国の小学6年生を対象に飯山工場で定期的に開催している「親子パソコン組み立て教室」だ。先生役のスタッフとともにパソコンを作ることで、ものづくりの楽しさを味わうことができる。2015年からは一般向けに、注文したパソコンを自分で組み立てられる「組立ワークショップ」もスタートした。このほか、ものづくりの姿勢やサービスに関する考え方を理解してもらうため、販売パートナーなどに対し企業向けの研修も行っている。

ちなみにワークショップや研修で組み立てに要する時間は、構成によって異なるものの、ノートパソコンでおおよそ45分、デスクトップパソコンだと1時間〜1時間半くらいだという。

「実際に自分で体験して『こういう形でできているんだ』と知ってもらいたい、そして、すべてを知った上で選んでいただきたいというのが私たちの想い。自分で組み立てたパソコンが完成してお客様が喜ばれる姿を見るのは私たちにとっても嬉しいことですし、モチベーションにつながります。教えることで自分の仕事に対する新たな気づきもありますしね。現在はコロナ禍で一時中断していますが、状況を見ながらこうした取り組みは続けていきたいと考えています」(松本氏)

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松本氏の「すべてを知った上で選んでほしい」という言葉からは、同社のパソコンの品質と信頼性に対する並々ならぬ自信がうかがえる。マウスコンピューターは、自社運営のコールセンターでユーザーに対して24時間365日のサポートを行っているのも大きな特徴になっているが、そうした手厚いアフターサポートが実現できるのも、国内生産を軸に積み上げてきた確かな実績と技術があるからだろう。業務に使用するパソコンの調達に頭を悩ませている情報システム部門やIT部門の担当者は、マウスコンピューターが誇る“Made in Japan”品質のパソコンに、ぜひ注目してみてほしい。

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