BIツールは長い歴史の中で、データ分析の裾野拡大を目指し工夫を重ねてきた。ところが実情は、ビジネスユーザーへの浸透はあまり進んでいないのが現状だ。ならばデータリテラシーを高めていこう……との発想が現在のBIツール界で主流になっているのだが、むしろもっと簡単に、もっと手軽にデータを扱えるようにすべきだと提唱するのが、Yellowfin Japan株式会社の林勇吾氏である。今回は、Yellowfinが搭載した注目の新機能を中心に、同社のアプローチを見ていく。

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BIツールを活用するビジネスユーザーはなぜ増えないのか

──最初に前回の振り返りの意味も含め、Yellowfinを提供していて感じるBIツール導入における課題を改めて教えてください。

Yellowfin Japan株式会社
東アジア事業責任者 林勇吾氏

前回はダッシュボードの課題を中心にお話ししました。ダッシュボードはBIツールのメインコンポーネントであるにもかかわらず、実は長い間あまり進化していないため、分析スキルを持たないビジネスユーザーではうまく使いこなせないという話が中心でした。そのため、BIツールを導入している企業での実際に利用しているユーザーの率が低いことに、BIツール業界は悩んでいます。どの調査を見ても、その数字は概ね30%以下。ですからどのベンダーも、ユーザーを増やす取り組みに力を入れているわけですね。

──そこでベンダーは、自社のBIツールを使って分析のプロを増やすことにトライしているとのことでしたね。ですが林さんとしては、それは難しいのではないかと。

はい。多くのベンダーは、データリテラシーを高めようと盛んに言っています。リテラシーを高めること自体はいいことだと思うのですが、専門のスキルを学んでいない一般のビジネスユーザーまですべて分析者に育てようとしています。もちろんリテラシーを上げるにもツールの使い方を覚えるにも、コストと時間をかける必要があります。しかしその結果、十分にデータ活用できるようになるかというと私は疑問を持っていますし、実際に活用する率があまり上がらないところを見ると、そう簡単にはいかないのが実情でしょう。

そこで私たちが考えたのが、ビジネスユーザーにデータ活用のリテラシーやツールの高度な使い方を身につけさせるのではなく、リテラシーがそれほど高くなくても、またツールの使い方をほとんど知らなくても、データを使った分析というアクションに簡単に踏み出せる仕組みはないかということでした。そうした視点から、Yellowfinに今回、画期的な新機能を投入したのです。

──前回の最後で自然言語を使った新機能の話題が出ましたが、そのお話ですね。

はい、自然言語クエリ(Natural Language Query、以下NLQ)でデータ分析をサポートする機能です。自然言語とは、コンピュータが使うプログラミング言語とは異なり、要するに私たちが日常で話している言葉のこと。NLQは、その自然言語を使って問い合わせをするような意味合いです。最近でいえばSiriやAlexaに対してごく普通の言葉で質問を投げかけ、回答を得ていますよね。あれがまさに自然言語を利用したものです。

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自然言語をBIツールで利用する機能は、アメリカのソートスポットという会社が初めて提供しました。Googleの検索バーのようなUIを用意し、そこに自然言語で質問を入力すると何らかの回答が返ってくる仕組みで、当時のBIツール界に衝撃を与えた機能でしたね。

以降、さまざまなベンダーが同様の検索機能を自社のBIツールに盛り込んでいったのですが、実際に検索ベースのNLQを使っているユーザー企業にヒアリングしたところ、この仕組みには大きな課題があることが分かりました。それは、ユーザーが自然言語で質問を投げかけても、思ったような答えをなかなか導き出せていないということでした。ごく簡単な質問であればそれなりに返ってくるけど、少しでも複雑な、あるいは曖昧な質問になると、途端に満足のいく答えが返ってこなくなるといった声が聞かれました。自由に入力できるがゆえの課題です。

誰でも簡単にデータ活用できる「ガイド付き自然言語クエリ」とは

──それは…スマートフォンやAIスピーカーの音声アシスタントでも似たような経験をしますよね。

私たちも、NLQによる検索機能の有用性は高く評価しています。ではどのようにアプローチすべきか。従来のNLQは質問の仕方に一定のスキルが必要ですし、ツール側にも時間をかけて「この質問にはこのように答える」といったルールを覚えさせる必要があります。この使い勝手のままYellowfinに機能を装備しても、喜ばれるものにはならないと判断し、新たな要素を付け加えて開発しました。それが、ガイド付きのNLQ機能です。

この新機能は、選択肢を選んでいくことで、必要なデータを導き出すための質問を適切な形で組み立てられるようにします。これまで同様に検索バーは表示されるのですが、そこに入力する際、リストから適当な選択肢を選ぶと、次にどのような項目を入力すればいいかをガイドしてくれます。日付や比較対象といった必須項目を入力しないと先に進めませんし、どのような要素が足りないのかもガイドが教えてくれるので、ユーザーは迷うことなく適切な質問を組み立て、回答を得られるというわけです。使い方も簡単ですので、おそらく30分程度の時間があれば、ほとんどのビジネスユーザーが使いこなせるようになるでしょう。


  • リストから適切な選択肢を選ぶと次の項目をガイド。適切な質問を簡単に組み立てて、必要なデータを素早く可視化できる


  • 「年代ごと」「性別ごと」など複数の条件を組み合わせたデータ抽出も可能


  • 前月と今月などの期間やカテゴリーごとの売上の差など、複雑な比較分析も簡単に行える


──確かにガイドがあればわかりやすいですね。ほかにはどういったアドバンテージがありますか。

運用の面でも利点があります。まずは、あらかじめツールに学習させる必要がない点ですね。NLQにルールを覚えさせるのは大変な作業ですし、せっかく覚えさせてもルールから外れた質問には対応できません。その点、Yellowfinはガイドに従って進めていくので、ツールに学習させることなく数千通りの質問を組み立てることができます。

また、選択肢が明示されるため、結果的に質問が曖昧になることがなく、かつ複雑な質問も手軽に作り上げられます。もちろんユーザーには、データ分析の高度な知識やスキルは必要ありません。そのほか、同機能はYellowfinのプラットフォーム全体に組み込まれているので、ダッシュボード上からでも、ストーリー機能やプレゼンテーション機能からでも、つまりYellowfinのあらゆるところから求めるデータを導き出せます。これも他社と異なる大きなアドバンテージと考えています。

──林さん自身もこの新しい機能を便利に活用しているのでしょうか。

はい。私もYellowfinを長い間使い続けていますが、とはいえデータエンジニアではありません。凝ったシチュエーションのデータを取り出し、グラフを作り上げようとすると時間がかかってしまいます。結局は専門の社員にお願いするシーンも多かったのですが、この機能によりデータを自分で集計し、それを基にグラフを手軽に作成して、いとも簡単にデータ分析できるようになりました。データ活用の幅が一気に広がり、かつ深まったことを強く感じています。

多彩なシーンでデータ分析の課題を解決できる

──この新機能で、BIツールの世界にどのような変革がもたらされるのでしょうか。

これまでもさまざまなベンダーが、BIツールを浸透させるために機能強化を続けてきました。しかしお話ししているように、企業が導入しても実際に利用するユーザーの率を3割より引き上げることは難しかったのが現状です。それはやはり、ユーザーに一定水準以上のデータリテラシーを求めていたことが大きな原因だと思います。

Yellowfinのガイド付きNLQ機能なら、多額の教育コストと時間をかけてユーザーのリテラシーやスキルを引き上げることなく、またIT部門やアナリストの手も煩わせずに、データ活用を身近なものにできます。これにより一般のビジネスユーザーがデータ分析を行う頻度を上げられますし、これまでかけていた教育コストや時間を大幅削減して、そのリソースを別の業務に振り分けることも可能になるでしょう。もちろん、これまでデータ準備を依頼されていたIT部門やアナリストにとっても、その負荷がかなり軽減され、より重要な業務に取り組みやすくなるだろうと考えています。

──ガイド付きNLQ機能は具体的にどういったシーンで活用できるでしょうか。

アイデア次第で多彩な活用が可能だと思いますが、ひとつ、自社でイメージしている想定シーンをお話ししましょう。当社のある経理担当者は、経理はもちろん総務や人事に関しても豊富な知識を持っているのですが、Yellowfinの技術的な部分については全く知りません。ですから、業務に必要なデータは他の誰かにお願いして用意してもらうしかありませんでした。例えば先日実際にあった話では、月末時点の有給休暇の社員別未消化日数を出してほしいと会社から指示され、データの準備段階から四苦八苦していたのです。

この担当者がガイド付きNLQ機能を使えば、必要なデータを簡単に準備し、かつ資料に取り込むことができますよね。こういったシーンはどのような業種・業界でも日常的に見られると思いますので、バックオフィスの業務だけでなく、営業やマーケティング、企画、広告部門、あるいは経営層の意思決定に関わるところでも活躍を期待できるでしょう。

また、私たちが得意としている外部サービス向けの組み込みでは、あらゆるアプリケーションやサービスからボタンひとつでガイド付きNLQの機能だけを呼び出すことができます。これまでは、顧客が新たなデータや分析レポートを求めてくると追加の作成業務が発生していましたが、この機能を提供することで、本当の意味でのセルフサービス化が実現可能です。

──最後に、読者へメッセージをお願いします。

データ分析の準備・加工にこれまで何時間もかけていた、データを利用するたびにIT部門やエンジニアのリソースを費やさなければならなかった、あるいは、せっかくのデータを具体的アクションになかなかつなげられなかった……もしもこうした課題を感じているのであれば、Yellowfinのガイド付きNLQ機能をぜひ試してみてください。データにまつわる世界がガラッと変わるのではないかと思っています。

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