2009年に米国ボストンで創業したアクティフィオは、“データ仮想化”をビジネスの柱とし、とりわけエンタープライズ向けの大規模データのバックアップ・DRとコピーデータマネジメントを得意としている。現在は37カ国で事業展開し、世界3,000社以上のエンタープライズ企業に導入されている。本稿では日本進出から6年を経た同社が提唱するデータ仮想化と、“ほぼ本番データ”の新たな利活用法について紹介する。

データ仮想化とは何か

一般的な業務システムにおいて本番データをバックアップする際、多数のコピーデータが作成され、存在する傾向にあり、必要とは言え同じデータを何度も物理コピーすることで生まれるデータ管理そのものが非効率を生んできた。そして大量のコピーデータを保存するストレージ容量も膨大なものとなり、管理・運用に関わる時間を増やすだけでなく、コスト面でも問題があった。

アクティフィオは、仮想データパイプライン(VDP)という特許技術により、一つのマスターコピーデータ(ゴールデンコピー)を作成、このマスターコピーデータから仮想コピーを複数作成することで大量のコピーデータが不要になり、データ利活用時の大幅な効率化を実現している。

このように一つのマスターコピーデータを仮想化する手法ならば、管理・運用の負担を減らせるのに加え、コスト面でも大きな優位性がある。同社ではソフトウェアを使い、単独のプラットフォームでデータ全般を管理するこの手法を「エンタープライズ・データ・アズ・ア・サービス」(Enterprise Data-As-A-Service)と呼んでいる。

たとえば1TBのデータを活用する場合、マスターコピーデータからわずか数分でデータの展開が可能だ。通常であれば、同様の処理を行うには1TBのストレージが別途必要になり、書き出しにも長い時間がかかる。アクティフィオなら仮想コピーの技術により、ストレージ容量を消費することなく、かつ即時に活用することが可能になる。

バックアップ、DRにとどまらない新たな活用方法

エンタープライズ・データ・アズ・ア・サービスが実現するデータ仮想化プラットフォームにより、同社はこれまでのようなバックアップ・DR向けの使用用途だけでなく、データの利活用による企業生産性向上等(例えばアプリケーション開発時にマスターコピーデータから複数開発面を同時展開して開発スピードを高める等)新たな使い方を提案している。同社日本法人の代表社長である勝俣正起氏は、次のように語る。

  • アクティフィオ ジャパン 代表社長 勝俣 正起氏

    アクティフィオ ジャパン 代表社長 勝俣 正起氏

「アクティフィオのソフトウェアソリューションは、データの取得・管理・活用の全ての場面に対して、また様々な業務での使用用途、そして既存環境(仮想、物理含め)に対しても、ただ一つのライセンス形態でソリューションを提供します。一方それぞれの領域に特化して提供するベンダーは他にも存在しますが、一つのソフトウェア、ライセンス形態でシンプルかつ統合的に提供できるところは当社をおいて他にありません」

例えば仮想環境やDB環境においてもネイティブフォーマットにてデータを取得し、アクセスが可能となります(バックアップファイル形式からのリストアは不要)。そのために、一度フルデータコピーを実施後は永久的に差分データ取得・管理のみで全てのデータ再現が可能となる。またその手法以上に、そのデータをいかに企業の生産性向上、成長に向けて活用頂くか、同社はこの“活用”という点に力点を置き日本国内でのマーケット創出に努めている。

時間、コストを削減し、本番データ同様のテストが可能に

では、具体的にどのような活用が考えられるのだろうか。同社事業戦略兼ビジネス開発本部長の小川高寛氏はこう解説する。

「今注目されているのは、アプリケーション開発時のテストでの活用です。テストに使うデータはなるべく本番データに近いほうがバグ出しをしやすいですが、本番データそのものを使うのはやはり怖い。そのときアクティフィオのマスターコピーデータなら、手間や時間、コストの負担を減らしつつ、本番データ同様のテストが可能になるわけです。このほか、データリプリケーション先のクラウドとのデータ連携やデータ移行も有用なユースケースになると考えています」

  • データ仮想化による開発サイクルの短縮

    データ仮想化による開発サイクルの短縮

データ仮想化の活用によって、もちろん工数削減やコスト削減も達成できる。より注目してほしいポイントは、ビジネスに与えるインパクトだと勝俣氏は指摘する。

「ストレージ容量が不要で、バックアップやデータ保持の仕組みもアクティフィオ一つで済んでしまうため、工数やコストを削減できます。実際、従来の半分程度まで削減できた実績もあります。同時に、アクティフィオを使うことで開発サイクルが短縮し、アプリケーションをリリースするまでのスピードアップを実現できます。ビジネスに大きなメリットがもたらされる点を、多くのお客様から評価いただいています」

小川氏も「従来の開発工程であれば物理コピーを多数用意しなければならなかった場面で、マスターコピーデータの仮想コピーを使うことによってはるかに高い生産性を実現できます。テスト開発を瞬時に、かつ並列で行えるのはデータ仮想化ならではです」と太鼓判を押す。

実際、海外のある大手金融機関では6,000にも及ぶインスタンスの開発環境を持っている。この膨大なインスタンスも、アクティフィオのデータ仮想化であれば、たった一つの製品で手軽に実現できるわけだ。インスタンスが多ければ多いほど、アクティフィオは威力を発揮すると小川氏は強調する。

また、勝俣氏によるとこの一年で日本での認知も高まりつつあるという。

「日本に進出して6年ほどになりますが、アクティフィオの活用によってビジネスに価値が生まれるという認識が徐々に広がっている感触を得ています。とくにこの1年は、もともと普及しいていた“データ保全”に加え、“データの利活用”による企業生産性向上(スピード)への使い方が大きく増えました。DevOps、テストデータマネジメント過程での生産性効率化、さらにはクラウド連携という使用用途が加わり、アクティフィオへの要求もさらに深まってきた実感があります。その中で、サービスプロバイダー様へのソリューション提供に加え、保険や社会基盤の企業様など新規の受注も増えてきました。そしてそれに伴いお陰様でパートナー企業様も増えまして、現在は8社の一次パートナー様と協調しております」

パートナー紹介: 富士通のデータ集約基盤ソリューション

パートナーの一つである富士通は、アクティフィオのデータ仮想化製品をエンタープライズ企業やサービスプロバイダー向けに販売している。この点について、富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 ISVセンター センター長 高田康宏氏に話を伺った。

  • 富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 ISVセンター センター長 高田 康宏氏

    富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 ISVセンター センター長 高田 康宏氏

富士通がアクティフィオと協業する理由は、データ利活用を目指したデータ集約基盤のソリューションとして活用できるからだ。

ここで同社がアクティフィオを販売したユーザー企業の事例を紹介したい。基幹系システム刷新を考えていた企業では、「競合他社に負けないように、素早くサービスを提供できるスピード」と、「開発したサービスのテストの手戻りをなくすことで、品質の高いサービスをお客様に提供したい」点をシステム刷新のポイントとして挙げていた。従来システムは同時に数個のアプリケーションしか開発・テストできなかったが、アクティフィオを導入することで約10倍のシステム同時開発・テストを実現できた。また、データ利活用基盤に欠かせないデータ作成・配備を、アクティフィオのデータ仮想化テクノロジーと某社ソフトウェアを組合せた、環境構築自動化ソリューションを同社が提供したことにより、72%の時間短縮を実現できたという。

品質面では、本番データとほぼ同一のデータを使用したアプリケーション開発の品質テストを各利用部門で実現できたことで、大きく向上が図れた。また、仮想化データは障害時の再現環境構築の迅速化により、トラブル品質向上にも効果を発揮したという。

アクティフィオでは、仮想化データの利活用を促進するため、6月に米国マイアミで「Actifio Data driven 2018」を開催した。このイベントではデータの利活用に関して積極的な議論が展開された。同イベントは9月に東京での開催を予定している。マイアミでの成果を活かし、東京でも活用事例を紹介していく予定だ。

「データ利活用を目指したデータ集約基盤ソリューションやクラウド連携での有用性をさらに訴求していきたいと考えています。このイベントを、次の一歩につなげたいですね」と勝俣氏は締めくくった。

Actifio Data Driven Tokyo 2018

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