企業規模を問わず、業務の中で必ず利用される帳票類は、仕事を確実に進めるためだけでなく、企業の意志決定を明確にするための役割も担っている。その帳票をより見やすく、効果的に活用するための帳票ソリューションとして、1993年のリリース以来高い評価を得ているCreate!Formが、2016年にver.11、および2018年にver.11.1として大幅にバージョンアップされた。これまでも帳票を「簡単に」「はやく」そして「きれいに」作成・出力することを基本コンセプトとして改善を重ねてきたCreate!Formだが、今回のバージョンアップではどのような進化を遂げたのだろうか。開発・販売元のインフォテックで同製品の開発に携わるプロダクトソリューション統括部 プロダクトソリューショングループ マネージャ 佐野 匠氏に聞いた。

バージョンアップのキーワードは「クラウド」「PDF」「マルチデバイス」

まずはCreate!Formの製品概要を紹介しよう。Create!Formは帳票設計を行うデザイン製品と、実際に帳票出力を実行するためのランタイム製品、帳票システムを構成するシステムソリューション製品という3カテゴリの製品群で構成されている。業務システムやホスト/オフコンといった上位システムが書き出したCSV、TXT、XML、DBなどのデータソースを、出力形式・出力先ごとに用意されたランタイム製品が用途に合った帳票として生成するという仕組みだ。出力する帳票のデザインやレイアウトはデザイン製品を使って自由に設定できるため、思い通りの帳票をつくることが可能となっている。

  • Create!Formの全体構成

インフォテック プロダクトソリューション統括部 プロダクトソリューショングループ マネージャ 佐野 匠氏

かつては帳票を印刷物として出力することがCreate!Formの主な用途だったが、PDF形式が登場してからは印刷のみならず、PDFで出力した帳票をPCの画面上で閲覧・利用することにも対応できるよう機能拡張が進められた。その経緯について、佐野氏はこう語る。

「PDFには2000年リリースのver.4.2で対応しました。当時Windowsだけでなく、LinuxやUNIX環境からもPDFを出力できる製品はほとんどなく、お客様には高い評価をいただきました。また2001年からグラフの埋め込みにも対応し、グラフィカルな帳票を作成できることも当製品の大きな特長となっています。以降、PDF関連の機能強化については継続して注力しており、今回のバージョンアップにも新しい機能を盛り込んでいます」

佐野氏によればver.11の開発テーマとなったのは、主に以下の3点だという。

  1. 拡大するクラウドサービスからの柔軟な出力要件に対応する
  2. PDFの新たな利用シーンに対応し、PDF帳票の標準ツールを目指す
  3. ユーザーの利用シーンにあわせたマルチな出力様式に対応する

それぞれのテーマを設定した背景や顧客から寄せられたニーズを紹介しつつ、それを具現化した新機能・改善点を見ていこう。

Web APIを提供、クラウドサービスとの連携を容易に

「拡大するクラウドサービスからの柔軟な出力要件に対応する」ことが第一の開発テーマとして掲げられた背景には、昨今急増しているシステムのクラウド化がある。かつてはサーバーを購入し、オンプレミス環境でシステムを組むことがほとんどだったが、現在はクラウドのみ、あるいはクラウドとオンプレミスのハイブリッドなど、様々な場所にサーバーを分散させるケースが増えている。複数のサーバーで扱うデータを帳票のデータソースとしてCreate!Formに取り込むには、当然連携が必要になってくるが、これまでCreate!Formが連携用に備えていたシステムソリューション製品Create!Form RemoteObjectのAPIはJava APIのみだった。

そもそもCreate!FormにCreate!Form RemoteObjectが追加されたのは、オンプレミスによる分散環境構築(各サーバーの負荷軽減が主な目的)を実現するためだった。Create!Form RemoteObjectのリリース当時はJavaが多用されていたことからJava APIを採用し、それ以外の言語を利用する場合は、サーバー間の通信部分をユーザー企業側で開発することを前提としていた。しかしクラウドが主流になりはじめるとサーバー連携にいっそうの柔軟性が求められるようになり、Java以外の環境へも対応する必要が生じた。

そこでver.11からは、Web APIの提供を開始。これにより連携先のシステムがJava、PHP、Ruby、Python、.NET、JavaScriptなどの開発言語で構築されていても、柔軟に連携して帳票出力を行えるようになった。

「さらにクラウド環境でのWebセキュリティに対するニーズが高まっていることを受けて、SSL暗号化通信にも対応しました。これでクラウド環境に構築された業務システムとの安全な連携が図れます。また近い将来、SalesforceとCreate!Formの連携も考えています。SalesforceはSSL通信を必須としていますので、今回のSSL対応はそのための下準備という意味合いもあります」

  • Web APIにより、クラウド連携が容易となる

Create!Form

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