さまざまな業界で“IoT”というキーワードが注目を浴びている。しかし、明確なケースモデルが未だ存在しない背景から、実際に何をどうすれば良いのか戸惑っている企業が多いのが実情だ。

大きなビジネスチャンスを秘めつつも参入難易度の高いこのIoTについて、ニフティは2015年7月より「ニフティIoTデザインセンター」を開始し、企業のIoTの取り組みを支援している。さらに2016年6月からは、IoT市場を大きく加速する可能性を秘めた「ニフティクラウド IoTデバイスハブ」のトライアルα版を提供開始した。

本記事では、同社がIoTへ注力する狙いや、ニフティクラウド IoTデバイスハブが持つ強みなどを紐解いていきたい。

クラウド接続やデバイス管理を容易にする「ニフティクラウド IoTデバイスハブ」

6月末からトライアルα版を無料公開しているニフティクラウド IoTデバイスハブは、IoT活用に必要な機能をクラウド上で提供する「ニフティクラウド IoTプラットフォーム(同プラットフォームについては、本稿の後半で紹介する)」の一機能であり、デバイスのIoT化とプラットフォームの接続、管理機能を有する。

ニフティ IoT推進室 IoTデザインセンター 課長 の市角栄康氏

ニフティ IoT推進室 IoTデザインセンター 課長 の市角栄康氏は、「ニフティクラウドでは、お客様のインテグレーションを支援して”迅速”かつ”低コスト”にIoT化が実現できるよう、必要な機能を自動化した、さまざまなパーツを提供しています。たとえば、スマートフォン向けバックエンド環境である『mobile backend』や、メッセージ配信プロトコル『MQTT(MQ Telemetry Transport)』のブローカー、サーバー関連機能を自動実行する『タイマー』機能などが挙げられます。今回新たにトライアルα版の提供を開始した『ニフティクラウド IoTデバイスハブ』もそのひとつです。これは、各種デバイスをIoT化(クラウドへのデータ送信機能を実装すること)に加え、デバイスとユーザーの管理も行うことができるパーツです」と説明する。

ニフティIoTデザインセンターではこれまで、数多く寄せられる顧客要件への対応に加え、研究開発用のラボでのPOC(Proof of concept:概念実証)も繰り返してきた。そこで感じたのは、「本来IoT化に向けて製品やサービスの開発・実装に費やすべき時間が、それ以外の部分に奪われている」という企業の実情だという。

市角氏は、「ニフティクラウド IoTデバイスハブの機能として提供している『デバイスとクラウドとの接続』『デバイスの認証や登録などの管理機能』の実装も、お客様が課題と感じる点のひとつでした。これらの機能を実現するためには、サーバーの構築や管理アプリケーションの作成など、製品・サービスのコアではない部分の実装に多くの時間とコストがかかります。特に、これまであまりインターネットやクラウド関連の知識に触れてこなかったメーカー様には、どうしてもハードルが高く感じられるようです。こうした課題を解決し、本来力を入れるべき製品やサービスの開発・実装に注力していただけるようにするのが、ニフティクラウド IoTデバイスハブ提供の目的です」と語る。

ニフティクラウド IoTデバイスハブでは、デバイスに組み込む「デバイスSDK」とアプリケーションに組み込む「モバイルSDK」を無償提供している。さまざまなOSに対応し、デバイスとアプリケーションのIoT化を支援する

「シミュレーター機能」でコストをかけずに利用イメージの確認が可能

ここまで簡単にニフティクラウド IoTデバイスハブの概要を説明してきたが、同サービスのポイントは、ユーザー企業の使いやすさや導入の容易さを意識している点にある。その具体例のひとつが、「シミュレーター機能」だ。

シミュレーター機能は、実際にデバイスとアプリケーションを用意することなく、コントロールパネル上でバーチャルに組み立てたシステムで、データフローを確認できるというもの

同機能を実装した理由について、市角氏は「IoT化を推進している企業であっても、大半は新規ビジネスとしてプロジェクト単位で動いており、事業部が主体となっているところは少数といえます。ここでネックとなるのが、プロジェクトで使える予算に限界があるという点です。クラウドプラットフォームサービスの検証を行うためだけにデバイスとアプリケーションを用意するのも大変でしょうし、それらとクラウドを接続するための学習や導入にもコストはかかります。実用化の判断基準となるPOCの実施すら、難しい状況になってしまっているのです。シミュレータ機能を使えば、こうしたお客様でもコストをかけず、導入イメージをつかんでいただけます」と説明する。

さらに、サーバーやRDBといったニフティクラウドの各種パーツとも容易に連携できるよう、コントロールパネル自体の使いやすさも意識して作りこんだという。「スマートモジュール」機能を使えば、ニフティクラウド内だけでなく、外部クラウドサービスとの連携も可能だ。

プロジェクトの円滑な進行を支える「プロジェクトダッシュボード」も実装

ニフティ IoT推進室 IoTビジネス企画部 西尾敬広氏

そしてもうひとつ、ニフティクラウド IoTデバイスハブは、エンジニア観点だけでなく、プロジェクトマネジメントの観点からも有用な機能を実装している。それは「プロジェクトダッシュボード」を介して、接続デバイスやユーザー情報の管理が可能という点だ。

ニフティ IoT推進室 IoTビジネス企画部 西尾敬広氏はこのプロジェクトダッシュボードについて、「デバイスやゲートウェイにSDKを導入すると、その先のデバイスがアクティブなのか非アクティブなのかをログで確認できるようになります。POCの場合は少数のデバイスで済みますので問題がないかもしれませんが、相当なデバイス数に達する本格運用においては、デバイスやユーザーの状態把握は必須になるでしょう。プロジェクトダッシュボードは、こうした『将来的に求められるマネジメント需要』を満たすものとして提供しています」と語る。

このようにニフティクラウド IoTデバイスハブは、技術・ビジネスの両側面から、利便性と導入の容易性を強く意識したパーツになっている。その点が評価され、6月末から無料公開されているトライアルα版は、大々的なマーケティング活動を行っていないにもかかわらず、既に数十件の申し込みがあると西尾氏は笑顔をみせる。

デバイスの状況が一目で見える化できる「プロジェクトダッシュボード」

ニフティクラウドIoTプラットフォームでは今後、分析や機械学習の機能提供も予定

現在トライアルα版として提供しているニフティクラウドIoTデバイスハブだが、ニフティによれば10~11月を目途に、同パーツの正式版の提供を開始する予定だという。さらに、同社のIoT市場へ向けたサービス提供はこれだけに留まらない。

冒頭で触れたとおり、ニフティでは「ニフティクラウドIoTプラットフォーム」と称し、IoTサービスに必要な各種機能をクラウド上で提供している。今回取り上げたニフティクラウドIoTデバイスハブも同プラットフォームの1機能だが、本年中に、データ可視化や機械学習などの機能拡充を予定している。

「ニフティクラウドIoTプラットフォーム」の構想

「ニフティクラウドIoTプラットフォーム」の狙いについて、市角氏はこう語る。「各企業は、今はまだデバイスをネットワークにつなげ、データを集めて何ができるかを探っているケースが多いのが現状です。しかし、今後は集めたデータを活用するために、分析や可視化、機械学習といった機能のニーズが確実に高まります。一方で、データを扱える人材不足や工数・コストなどが理由で、取得したデータを活用しきれないという声も多く聞かれます。「ニフティクラウドIoTデバイスハブ」で、デバイスをネットワークにつなげてデータを集めるところまでをカバーし、今後は分析や可視化などの機能を追加することで、データの収集から分析・活用までを、工数やコストをかけずに実現できるプラットフォームを目指します。企業様には取得したデータを日々の活動・サービスに活かすことに集中してもらいたいと考えています。」

また、IoTの今後について西尾氏は「今まで取れなかったデータが取れるようになることにIoTの本質的な価値があり、収集したデータを目的に合わせたシステムで適切に処理し、メリットを生み出すことが、IoTの基本的なバリューサイクルであると私たちは認識しています。ソーシャルゲームやweb広告などのインターネットサービスでは以前から普通に行われてきた、いわゆる「データのフィードバックループ」です。この、データのフィードバックループをIoTの世界でも当たり前に作っていきたいと考えています。」 と語る。

企業のIoT活用を支援すべく、ニフティクラウド IoTデバイスハブの提供を皮切りに加速するニフティの動向に、引き続き注目したい。

■ ニフティクラウド IoTデバイスハブ
http://cloud.nifty.com/promo/iot/

(マイナビニュース広告企画:提供 ニフティ)

[PR]提供: