39学科117分野を設置する日本工学院専門学校は、ロボット作成キット「教育版レゴマインドストームEV3」を教育機関としては日本でもっとも多く所有し、プログラミング教育をはじめ、さまざまな授業に活用している。これからのICT教育に、なぜロボットが必要なのだろうか? 先日開催された新入生向け実習の模様と、千葉茂学校長(以下、千葉校長)へのインタビューをお届けする。

1日で実現したロボットのパレード

バレーボールのコートなら3面、バドミントンのコートなら10面とれる広さを持つ大田区総合体育館のメインアリーナ。その敷地いっぱいにぐるりと引かれた白線を、2、30cmのロボットたちが、タイヤで、あるいはキャタピラでたどっていく。さまざまな形をしたロボットの数は合計100台。その行進は、まるでパレードのようだ。ロボットが進む隣を、学生たちが愉快な会話をしながら、あるいはスマホで撮影しながら、楽しそうにゆっくりとついていく。

大田区総合体育館のメインアリーナにて、100台同時にライントレースを実施

これは5月13日に、日本工学院専門学校が実施した「新入生ITものづくり体験2016」の様子だ。蒲田校ITカレッジのITスペシャリスト科、情報処理科、パソコン・ネットワーク科に入学したばかりの学生328名が参加した。

驚くのは、新入生のほとんどが、プログラミングに触れたこともなければ、ロボットを組み立てたこともなかったということだ。

ロボットはカラーセンサーで床面の色を判別し、白線をたどる(ライントレース)ことができるようにプログラミングされている。また、超音波センサーで前方の障害物を検知し、減速および停止ができるようにもなっている。学生たちは、事前に1度講義を受けただけで、あとは当日の午前中に組み立てとプログラムの構築までやってしまった。お昼を食べた後はもうライントレースの実践だ。早くできたチームはロボットに旗をつけたり、プロペラを回したりと、装飾に工夫を凝らす余裕があった。

「新入生ITものづくり体験2016」に参加した学生たち。右から、松本雄大さん、三輪海里さん、中井健雄さん、大田原央さん
最初は、まっすぐ進ませることもできなかったが、「白いところは進む」「それ以外は進まない」と、条件分岐を試行錯誤しながら1日で動かせるようになったという。また、レゴを使っているのも吸収しやすい一因だったという。

なぜ初心者がこんなスピードでロボットを「開発」「設計」し、「生産」することができたのか。そのカギは、ロボット作成キット「教育版レゴマインドストームEV3(以下、マインドストーム)」にあった。

つくる感動をもたらす

マインドストームは、LEGO社が開発した教育用のロボット作成キットである。色とりどりの小さなブロックを組み合わせて、好きな形をつくるあの「LEGO」だ。子どもの時に夢中になって遊んだ人も多いだろう。しかしマインドストームには、子どもだけでなく大人も夢中になれる高機能なパーツが揃っている。

おなじみのブロックに加えて、CPUやモーター、タイヤ、通信機能、そしてセンサー類。またプログラミング言語の知識がなくとも、パソコンやタブレット上で簡単にロジックを組むことができる。画面上のアイコンを並べドラック&ドロップするだけで、立派なプログラムが完成する。このマインドストームは、全世界60ヵ国で200万台以上を売り上げており、日本では正規代理店であるアフレルを通じて販売されている。

直感的に操作できる「ビジュアルアイコンプログラミング」を採用し、初心者でも簡単にプログラミングが可能

日本工学院専門学校がマインドストームを選んだ背景には、「感動教育」というコンセプトがあったと千葉校長は話す。

「我々は70年の歴史がある学校ですが、かつてテレビ放送が始まったころは、技術者養成のために、実際に基板を組み立ててテレビをつくっていました。完成して、画面に何かが映った瞬間、学生たちがわっと喜ぶんです。自分で作ったものが動く瞬間に、『感動』が訪れます。そういったかつての『伝統教育』を再現したいと考えておりました」

日本工学院専門学校 学校長
千葉茂氏

2年前、千葉校長が「感動教育」のためのツールを探していたところ、偶然マインドストームの情報を見つける。英語版のマニュアルをダウンロードし『これだ』と思い、まず3台を購入。すぐに教員たちも夢中になり、合計で100台を購入すると、日本でマインドストームを100台以上所持する有数の学校となった。2015年には新入生向けに第一回目となる「新入生ITものづくり体験」の実習を実施している。

その後1年経って、履修コースの選択など少しずつ影響が出始めていると千葉校長は言う。

「マインドストームの実習をやる前年は、本格的にソフト開発を学ぶコースでも十分やっていける学生が、楽なコースを選んだりしていました。ところが去年からは、それほどプログラミングが得意じゃない、という学生までソフト開発のコースを選ぶようになってきたんです。『プログラミングを学べば楽しいことができるようになる』と気づいた学生が現れはじめたのです」(千葉校長)

他には、ETロボコンなどの競技会に参加したいという学生が増え、夏休みにも毎日登校し、休日返上で延々と作り込んでいるそうだ。

社会で自ら提案できる人材を育てる

かつてコンピューターは主に事務処理に使われていた。しかし、今では「ものを動かす」「何かを表現する」ために、プログラミングは必要不可欠な技術となっている。

千葉校長が「感動教育」に着目したのも、従来のように「プログラミング言語はこれを覚えなさい」「フローチャートはこう書きなさい」あるいは、「資格試験の過去問題を繰り返す」と詰め込んでいるだけでは、社会に出た時にミスマッチが起こるという危機感からだ。技術を組み合わせて、さまざまな業界に新しい仕組みを提案していくためにも、想像力を掻き立て、好奇心を湧き立たせ、自ら学ぶという気持ちを育てる授業が必要だったのだ。

「これは私の造語ですが、今後は産業が"ICT"人材を求めていくでしょう、すなわちイノベーション(Innovation)、クリエイション(Creation)、チームワーク(Teamwork)です。マインドストーム実習で学生の楽しんでいる顔を見ると、導入には成功したと感じています。そしてこれを継続させるためにも、他のカリキュラムを作り込んでいく必要があるでしょう。学生と先生がともに楽しみ、刺激しあうようにいいスパイラルを生んでいければと思います」と、千葉校長はさらなる躍進に向け先を見据えている。

新入生ITものづくり体験2016 ギャラリー


本稿で紹介しているマインドストームは、アフレルのサイトにてご確認いただけます。

■さまざまな学習目的に活用ができるマインドストームを貴社の教育でも使ってみませんか。まずは体験してみましょう。
【製品情報】教育版レゴ マインドストーム EV3ついて詳しくはこちら
※C言語、Javaはもちろん、プログラミング未経験者用の専用プログラミング言語で動作可能。

(C)LEGO, the LEGO logo, MINDSTORMS and the MINDSTROMS logo are trademarks of the LEGO Group.(C)2015 The LEGO Group.

(マイナビニュース広告企画:提供 アフレル)

[PR]提供:アフレル