富士通は4月15日、オンラインで記者説明会を開催し、コネクテッドカーやスマートフォン、タブレットなどのモビリティデバイス上の情報を仮想的に統合管理する基盤「FUJITSU Future Mobility Accelerator Digital Twin Collector」(Digital Twin Collector、デジタルツインコレクター)を開発し、自動車メーカーや損害保険会社などに向けて同22日から販売開始すると明らかにした。

富士通のモビリティ世界における立ち位置

冒頭、富士通 Mobility事業本部 FM アクセラレータ事業部 シニアディレクターの井上大悟氏は「当社が目指すモビリティ世界における立ち位置は、コネクテッドカーのビッグデータと、それらを活用したDXを行う各業種サービスをつなぐ『モビリティアクセラレータ』として、モビリティ社会のデジタル化を推進するポジションにいる。そのため、当社はモビリティデジタルツインを提供していく」と述べた。

富士通 Mobility事業本部 FM アクセラレータ事業部 シニアディレクターの井上大悟氏

富士通 Mobility事業本部 FM アクセラレータ事業部 シニアディレクターの井上大悟氏

同社が提唱するモビリティデジタルツインとは、実世界で発生するデータを収集したうえでサイバー空間にコネクテッドカーの状態を再現(写像)するほか、逐次アップロードされるデータの分析や加工を行うことで道路、エリアの状態などの写像データを拡張し、価値あるデータに変えて提供していくというものだ。

写像を実現するものが2019年にリリースしたストリームデータ処理基盤の「Digital Twin Utilizer」、そしてデジタルツインを拡張するものが昨年発表した車載カメラ映像解析プラットフォーム「Digital Twin Analyzer」となる。そして、Digital Twin Collectorを今回発表した。

富士通が目指すモビリティ世界の概要

富士通が目指すモビリティ世界の概要

モビリティデジタルツイン製品の概要

モビリティデジタルツイン製品の概要

井上氏は、新サービスについて「これまでの2製品を利用することで扱える情報はリッチになり、モビリティサービスの幅を広げることを可能としているが、現実的には数多くのモビリティデバイスからの映像をはじめ、サイズの大きいデータをすべてクラウドに複製して、処理することはコスト的な障壁がある。サービスは実現できても、提供サービスの費用が高額になってしまうことは意味がないものだ。そこで、最小のデータで最大の価値を得ることを実現できない限り、ビジネスモデルが成立しないため、新サービスはその部分を解消できる」と力を込めた。