Okta Japanは3月30日、オンラインによる事業戦略説明会を開催した。説明会には、米国本社のエグゼクティブバイスチェアマン 最高執行責任者(COO)兼共同創業者のFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏が参加した。

Okta エグゼクティブバイスチェアマン 最高執行責任者(COO)兼共同創業者のFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏

Okta エグゼクティブバイスチェアマン 最高執行責任者(COO)兼共同創業者のFrederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏

冒頭、ケレスト氏は同社のビジョンについて「”Enable everyone to safely use any technology=あらゆる人があらゆるテクノロジーを安全に使うことができる世界を実現する”だ。すでに設立から12年が経過するが、今年に再度ビジョンを定義した」と述べた。

ビジョンを再定義した

ビジョンを再定義した

ビジョンを再定義

同社では、クラウド型のID管理サービスを提供しており、主要製品として「Workforce Identity」と「Customer Identity」を提供し、Workforce Identiyは会社・組織の従業員などが業務上で利用するアプリケーションへのログインを場所、デバイスを問わず可能にしている。一方、Customer Identityはサービス提供事業者のユーザーがサービスを利用するためのログインする際のサインオン環境を提供。

2009年に同氏とトッド・マッキノンが同社を共同創業し、2017年にナスダック市場に上場した。現在、グローバルにおける従業員数は2800人、顧客数は1万社、Okta Integration Networkを通じた連携アプリ数は7000以上に達しており、昨年の総収益は前年比40%増、サブスクリプション収益は同42%増の8億3500万ドル、うちサブスクリプションの売上は全体の96%を占め、今年の収益は10億ドルを超える見通しとなっている。

総収益のグラフ

総収益のグラフ

ケレスト氏は「設立当初はオフィスを間借りしていたが、ここまで成長したことは大きなマイルストーンだ。SaaSは売り上げの予測が立ち、顧客の成功へのコミットが当社における成長の肝だったと感じている」と手応えを口にしていた。

コロナ禍でビジネスが手堅く成長

こうした好調な事業を支えるものとして、年間契約額が10万ドルを超える大手のエンタープライズ企業を獲得していることを挙げ、その規模は1950社に及び、全体の8割を占める状況となっている。

年間契約金額10万ドルを超えるユーザーのグラフ

年間契約金額10万ドルを超えるユーザーのグラフ

ID管理をエンタープライズに浸透させていくことが同社におけるビジネスの成長をけん引するものであると同時に、顧客にとっても従来以上に重要な存在になるとい。クラウドの採用とハイブリッドIT、デジタルトランスフォーメーション(DX)、ゼロトラストセキュリティは新型コロナウイルスの感染拡大前から取り組まれていたことだが、リモートワークやデジタルコマースなどのニーズが高まったことで、今後はさらに加速していくとの認識を同氏は示している。

このような状況を踏まえ、ケレスト氏は「企業においてデジタル戦略を進化させるとともに、ダイナミックな業務環境にシフトしなければならず、これはあらゆる企業で重要になる。このトレンドは継続する見通しであり、だからこそ人とテクノロジーをつなげるID管理は必須だ。ID管理はテクノロジーの選択肢と柔軟性において重要になるほか、セキュリティが強化される。当社は広範かつオープンなアプローチを採用してテクノロジーを構築しており、Workforce IdentityとCustomer Identityを含めたOkta Identity Cloudはあらゆるユースケースに対応するように設計しており、人、テクノロジーをどのようなデバイス上でもつなげる土台になる」と力を込める。

「Okta Identity Cloud」

あらゆるアイデンティティを保護するための1つのプラットフォームとして「Okta Identity Cloud」を提供する

同社のTAM(実現可能な最大市場規模)は、Workforce Identityが300億ドル、Customer Identityが250億ドルの計550億ドルを見込んでいるほか、最近では同業であるAuth0の買収を発表している。同氏は「Oktaがエンタープライズ領域で培った専門性と、Auth0のデベロッパーーコミュニティが融合することで、顧客に多くのソリューションを見つけてもらうチャンスが生まれ、多様なアイデンティティの仕様を満たせる。Auth0のビジネスは4割が米国外であり、特に海外展開においてシナジーが創出されるだろう。今後、Auth0は時間をかけてOkta Identity Cloudに統合し、より魅力的なプラットフォームに変貌するだろう」と話していた。