[2ページ目] 地域に根ざしつつ、産官学連携で人材育成に取り組む神戸
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地域に根ざしつつ、産官学連携で人材育成に取り組む神戸
こうした想いが込められたセキュリティ・ミニキャンプが、今年も始まっている。6月30日、7月1日には兵庫県神戸市で「セキュリティ・ミニキャンプ in 近畿」が開催された。
初日の一般講座に登壇した神戸デジタル・ラボ(KDL)の取締役 セキュリティソリューション事業部長 KDL-SIRT責任者、三木剛氏は、神戸・関西でエンジニア育成を支援するさまざまな取り組みにいち早く着手してきた人物だ。
兵庫県立大学や兵庫県警とともに実施した産官学連携の育成講座や、「IoTハッキングコンテスト神戸」「医療セキュリティハックコン 神戸」の実施に加え、OWASP KANSAIチャプターリーダーとしても活動しており、「関西にもセキュリティエンジニアとして活躍できる場はこんなにある」ことを自ら示してきた。
三木氏は、「セキュリティエンジニア」という言葉から想像される専門的な仕事だけでなく、一般企業においても「何かのためのセキュリティ」を実現できる人材が求められていると語る。
「セキュリティエンジニアの役割はたくさんあります。サービスやアプリケーション、ソフトウェア開発、コンサルティングにSIer、それにユーザー企業など、さまざまなところで知見を持った人が必要とされているのです」(三木氏)
事実、神戸の地場産業の1つにアパレルがあり、その多くはWebサイトを通じて販売を行ってきた。となると必然的に、WebサイトやWebアプリケーションのセキュリティが求められる。KDLではそうしたニーズに応え、Webサイトのセキュリティ検査サービスを提供してきた。
このように、安全なサービスを求めるトレンドが、関西のみならず西日本全体で強い製造業、モノ作りの現場へと広がりつつある。将来的には医療分野のセキュリティも課題になるととらえており、医療特区が設けられている神戸ならではの強みを発揮していきたいという。
「学」の連携が生み出すインパクト
三木氏はさらに、「こうした『産』の取り組みに、『学』がリンクすることを期待している」と力を込める。
「職業のことを意識すると勉強の仕方も変わってきます。すると、大学側にも新たなカリキュラムが生まれてくるのではないでしょうか。セキュリティ・キャンプには、その意味で学生と企業の間を取り持つ効果を期待しています」(三木氏)
神戸デジタル・ラボ(KDL)の取締役 セキュリティソリューション事業部長 KDL-SIRT責任者、三木剛氏 |
セキュリティスキルを持った人材が社会のなかで活躍する姿を見せることは、より良い方向へのスパイラルにつながるだろう。1つのモデルになりそうなのが、兵庫県警がサイバー犯罪対策の一環として行った、警察官の任期付採用だ。これは、KDLを含む複数の企業からセキュリティ専門のエンジニアを1年間採用するもので、採用された人材は警察官として最前線でサイバー犯罪対策に取り組む。
「実はこの試みは、日本国内でも初めてのことです。(採用された)彼は鳥取出身ですが、地元の新聞にもどんどん取り上げられて『親孝行できた』と言っていました。こうした取り組みをもっと増やしていきたいと思っています」(三木氏)。
三木氏は、現在高校2年生になる息子が中学生のとき、KDLの田中ザック氏が主催するホワイトハッカー育成コミュニティ「大和セキュリティ」のコンテストを見せたことがあるのだという。
「その後、中学卒業の際に『セキュリティ会社に入り、世の中の悪い人からインターネットを守りたい』という発表をしていて、泣きそうなほど感動しました。そんな機会をほかの人にも提供したいという想いがあります」(三木氏)
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