テスト・フィクスチャ、あるいは評価基板を使用する

テスト・フィクスチャは、測定器ベンダや規格団体などから販売されています。規格ごとに規定されているプラグやレセプタクルで被測定システムと接続するようになっており、SMA(~18GHz)、SMP(~40GHz)などの高周波用レセプタクルと適切な同軸ケーブルで物理層の信号をオシロスコープに接続します。

必要に応じて変換アダプタを併用します(表7-1)。トランシーバなどのデバイス評価基板がこれらのレセプタクルを実装している場合もあります(表7-2)。USB2.0やIEEE1394、Ethernet(10BASE-T、100BASE-T、1000BASE-T)ではプローブを使用しますが、マルチギガ・ビット超のシリアル・インタフェースではデバッグやトラブルシュート以外でプローブを使用することはほとんどありません。

PCI Express CEM(Card Electro-Mechanical)Rev.2.0仕様:2.5Gbpsおよび5Gbpsアドイン・カード用(左)とマザーボード・テスト用(右)。SMPレセプタクルを実装。PCI-SIG CBB2、×4/×8 CLB2、×1/×16 CLB2

HDMI:ソース、シンク機器用。テクトロニクスTF-HDMI-TPA-S型

DisplayPort:ソース、シンク機器用。テクトロニクスTF-DP-TPA-PRC型

10BASE-T、100BASE-T、1000BASE-T用フィクスチャ。テクトロニクスTF-GBE-ATP型。オシロスコープとの接続にプローブを使用

USB2.0用フィクスチャ。テクトロニクスTDSUSBF型。オシロスコープとの接続にプローブを使用

表7-1 テスト・フィクスチャ例

カスタムで評価基板を作成する際には、データ・レートに依存しますが、基板の材質として高周波損失の少ない材料を選ぶようにします。またケーブルを接続するレセプタクルは高周波特性が優れ、また高周波特性を考慮した取り付け方ができるタイプ(はんだ付けではなく接触型など)を使用するのが理想的です。基板配線もできるだけ直線的に引くとか対称性を保つ、周りにステッチング・ビアを打つなど、高周波特性・差動を考慮したトレースを引く必要があります。

11.3Gbpsトランシーバ評価ボード。SMAレセプタクルを実装。Alteraのトランシーバ・シグナル・インテグリティ 開発キット Stratix IV GT エディション(写真提供:日本アルテラ)

12.5Gbpsトランシーバ評価ボード。中央FPGA左側の12.5Gbpsのトランシーバ・パスにはSMAを実装。Alteraのトランシーバ・シグナル・インテグリティ 開発キット Stratix V GX エディション。同一のボードにて28Gbpsトランシーバの評価が可能なStratix V GT エディションも提供予定(写真提供:日本アルテラ)

表7-2 トランシーバ評価基板例

特性の揃ったペア・ケーブルを使用する

理想的には2本の特性の揃ったケーブルを使用します。特にケーブル間の遅延時間差、すなわちスキューは差動信号測定で立上り時間やデューティ・サイクル歪みなどの誤差となって現れるので、スキューが小さくなるようにケーブルを選別して組み合わせたペア・ケーブルの使用を推奨します。例えばテクトロニクスのPMCABLE1Mは両端に3.5mmコネクタを持ち、スキューが1.5ps以内に抑えられている50Ω同軸ケーブル2本(~26.5GHz)で構成されています(図7-5)。なお、オシロスコープでは、チャンネル間デスキュ機能を持つので調整できますが、デスキュ機能を持たないBERTや信号ジェネレータなどでの使用やミスを考えると、やはりペア・ケーブルの使用を推奨します。

図7-5 ペア・ケーブル例。テクトロニクス「PMCABLE1M」