9回目になる今回のタイトルは「1人起業1年目から1200万円の年収を作る基本的な考え方とは」です。筆者はサラリーマンを経験した後に起業して、現在に至るのですが、今回から本コラムの後編として起業を成功させる秘訣について書いていきます。

筆者のところにはいろいろな方が相談にくるのですが、一定数存在するのが起業の相談です。「意見を聞きたい」「協力してほしい」という話が多いのですが、良くある失敗ケースがあるので、最初に紹介しましょう。

最近の起業失敗ケース

最近多いのはサラリーマンの感覚でそのまま起業を設計しようとしてしまうケースです。

サラリーマン時代は偉くて権限を持っていたとしても、退職したらタダの男です。資金力も個人レベルで、社員もいません。タダの男から裸一貫でスタートしなければならないわけです。起業するならば、そういう感覚で始めたほうがいいです。

理由は簡単です。タダの男に投資するよりも、実行力のある組織に投資したほうがリターンの可能性が高いので、基本、資本家は個人に投資をしないからです。そんなことは言葉でわかっていたとしても、ついサラリーマン時代より大きなビジネスモデルを設計したくなってしまう人が多いものです。それは、サラリーマン時代に出来上がってしまったプライドがあるからでしょうか。

しかし、大きなモデルで起業しようとしても、先に述べたようにそんなモデルに投資する人はほぼ皆無です。理由はほかにもあって、小さな組織は技術力での差別化ができないからです。特許を取らない限り、大きな組織に真似されます。同様に、ビジネスモデルでの差別化も大組織に真似されて大資本に追い抜かれます。

そこで、少人数で始める起業であれば、まずは小さくても安定基盤を作ることを勧めます。ニッチな市場を狙う戦略であれば大手もすぐには参入してこないので、資本力・組織力で負けることなく、個人の能力が高ければ、成功しやすいです。まずは、ニッチな戦略で高利益を生む体質を作り、その後に大きくしたければ大きくするのがよいと思います。倒産したら借金が残り、復活が難しいのが日本なので、初めは小さくても成功する事業を手掛けたほうがいいと思います。

過去に10名近い正社員を抱えた企業を起こしたことがある筆者の経験を話せば、オフィスを借り、社員に給与を払うのは大変であり、最初から綱渡りになりがちでした。毎月1千万円近いお金が入金され、同じ日に支払いでほぼ消えていきます。

1つの案件で焦げ付きが出れば、給与の支払い遅延が起きてもおかしくありません。このように中小企業の社長は結構大変なのに、その年収は1千万円を超えないケースが多いです。苦労とリスクが多くて得るものが少ないパターンです。

そこで私は思うのです。最初から大きな組織にしようとせずに、最初は1名もしくは腕がたつ数名で高収益企業を作ってみるのがいいのではないかと。

1人起業で年収1200万円を作る考え方

小規模で高利益の体質を作る例として、1人で起業して年収1200万円を作る考え方を紹介します。この考え方は決して怪しいマルチ商法などではなく、高い技術力を持った人材のタイムシェアリングによって高年収を作るものです。具体的な施策は以下になります。

  • 週に1日作業で月20万円もらえるサービスを考える
  • 顧客を5社獲得し、月商100万円を作る
  • 週1日で月20万円もらえる作業を効率化し、半日でできるようにする
  • さらに、顧客5社を獲得して月商200万円を作る

上記の施策を実現できれば、1年目から1人起業で年収1200万円以上を作ることができます。

どうやって週1日作業で月20万円をもらえるサービスを作るか?

上記の施策のうち、基本となるのが「週1日作業で月20万円をもらえるサービスを作る」です。このサービスは職人のような高い能力を持った人でなければ、まず実現しません。

まず、高い能力を自分自身が持っているかどうかを確認してください。もしない場合は、この施策の実現は難しいです。もし持っているなら、実現できる可能性が高いです。

もし、高い能力を持っている場合、その能力を提供するサービスを考えてみてください。極めて一般的な内容でいいと思います。おそらく、その能力を正社員として雇用して社内で作業をさせている企業もあると思います。

しかし、その正社員よりも投資対効果が高ければ、その人のサービスは採用されます。企業は、正社員に支払っている金額の倍のコストをかけて雇用しています。正社員の給与と同じ金額のサービス料金であれば、安いと思うはずです。

一方で、政府は企業の労働時間を減らそうとしています。企業は労働時間を減らされても売上を下げるにわけにはいきません。そこで、企業は雇用を増やすか、外注をしようとするはずです。売り手市場の現在であれば、雇用増より外注増をとるはずです。そのほうが将来的なリスクも少ないからです。

次に、週1の作業で月20万円もらえるサービスの例を紹介します。最近、「1人情報システム部」というものが増えています。これは、企業内のシステムを1人で面倒を見ている状態を指します。

「1人情報システム部」になったとしても、社内のIT活用の幅が減るわけではなく、むしろ拡大しています。そうした1人情報システム部の外部の部下のような作業を請け負うサービスは今後引きがありそうです。

例えば、週に1回オフライン会議で訪問し、あとはリモートで作業をするイメージです。月額20万円は新卒の月給よりも安いはずです。給料が月額20万円の新卒を雇用すると、社会保険料など含めて月40万円ほどコストが発生します。月40万円も払って新卒レベルの能力なので、職人的な能力を持った月20万円のサービスは相当お得に見えるはずです。

以上が、1人起業を成功させるための具体的な施策になります。いかがでしょうか? 少しでも起業を考える方の参考になれば嬉しいです。

次回は週1日の作業を半日作業で終わるようにする作業効率の上げ方をお話しします。巷で売られている書籍に書かれているような内容を書くつもりはありません。乞うご期待!

さて、こんな文章を書く筆者に興味がある方は、Facebookアカウントをフォローください。今回のコラムの次号も案内します(面識のない方の友達申請はお受けしません。あらかじめご了承ください)。

著者プロフィール

吉政忠志

業界を代表するトップベンチャー企業でマーケティング責任者を歴任。30代前半で同年代国内トップクラスの年収を獲得し、伝説的な給与所得者と呼ばれるようになる。現在は、吉政創成株式会社 代表取締役、プライム・ストラテジー株式会社 取締役、一般社団法人PHP技術者認定機構 代表理事、一般社団法人Rails技術者認定試験運営委員会、BOSS-CON JAPAN 理事長、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事を兼任。