企業システムの運用を考えるにあたって、「導入」から「運用」「管理」、そして「廃棄」というライフサイクルを視野に入れることは重要だ。従来、この「廃棄」のタイミングは、システム自体の寿命というよりも、ハードウェアを提供するメーカーのサポート期限によって決まっていた。

しかしながら、企業側の要請としてITコストの削減が強く求められるようになった昨今、従来のようなハードメーカー側の都合に合わせたライフサイクルを維持することは難しくなっている。特に、ビジネス環境の変化に合わせたシステムの刷新などを検討しているものの、ソフトウェアの開発が、ハードの保守切れのタイミングに間に合わない場合などには、その空白の期間を埋めるための方策が必要になる。特に、そのシステムが業務において重要な役割を担っている場合には、サポートの「空白期間」における、ハードの安定稼働を担保する仕組みが必要となる。

こうした課題を解決するための選択肢のひとつとして、現在注目を集めているのが「延伸稼働」という考え方だ。この場合、サードパーティによって提供される保守サービスを採用し、ハードメーカーによる正式なサポートが行われなくなったハードウェアの「寿命」を一時的に伸ばすことが可能になる。

この「延伸稼働」は、企業にとって合理的なITシステムのライフサイクルを構築するための有力な選択肢となっており、既に多くのユーザーが実際に活用している。

今回、エンドユーザーに対してシステム開発や保守運用を提供し、その中でデータライブの「EOSL/EOLハードウェア保守」による延伸稼働サービスを採用している「株式会社ノマド」の代表取締役社長CEOである佐藤裕司氏に話を聞いた。ノマドでは、同社の事業において、データライブの提供する延伸稼働サービスをどのように位置づけているのだろうか。そして、その活用にはどのようなメリットがあると感じているのだろうか。

株式会社ノマド

2001年に会津大学発のベンチャーとしてシステム開発会社を設立。2009年8月1日に「株式会社ティーアンドエフカンパニー」から「株式会社ノマド」に商号変更。

会津と東京を拠点に、大手・中堅企業の業務システム構築を数多く手がけている。
<主要提供サービス>
・スクラッチでの業務系システム開発
(要件定義~)と保守・運用
・他社が開発したシステムの引受、バグFIX及びカスタマイズ
・APSサービス等のカスタマイズ
Etc…
URL:http://www.nomadinc.co.jp/

ノマドが抱えていた課題と、データライブの解決策

課題 解決策
某県立大学の履修管理システム刷新計画があったが、切り替えのめどがつく前に、ベンダーによるハードウェア保守期限が切れてしまった。 個々のお客様の事情に合わせて、新規のハードウェアを導入するか、延伸稼働サービスを採用するかといった選択肢を提供できる。
お客様側からのコスト的な要望により、システム移行への投資は最小限にとどめたかった。 ハードウェアのリプレースではなく、次の切替のタイミングまで現在のハードウェアを保守することでコストを削減。
情報システムコストの削減を図るため「提案型の情報システム部門」のような立場を目指している ハードウェア、ソフトウェアに関しての、さまざまなノウハウや知識を活かし、相互補完することでお互いのお客様にとってメリットのあるパートナーシップが築ける。

中堅中小規模企業の「提案型情報システム部門」として

――ノマドの業務内容について教えてください。

株式会社ノマド 代表取締役社長CEO 佐藤裕司氏

ノマドは、2001年に福島県で創業した会社です。主にITを活用した業務システムの開発を行っています。会津大学発のベンチャーとしてスタートしたという経緯があり、本社は現在も福島県の会津若松にあります。

会津大学は、会津地域で高度情報化社会を発展させていく人材を育成していこうという理念のもと、情報科学、コンピュータサイエンスに特化した大学として1993年に開学しました。ノマド(創業当時の社名はティーアンドエフカンパニー)では、同大の学生、大学院生を中心としたスタッフの育成を行うのと合わせて、彼らのスキルを生かせるよう、会津若松にも開発拠点を置いています。

――これまでの業務実績には、どのようなものがあるのでしょうか。

創業当初は、大手開発企業の下請け、孫請けといった形が多かったのですが、現在では自社で直接受注するケースも多くなってきました。

実績としては、某スポーツメーカーの商品カスタムサイトにおけるEC及びデータ連携システムを他社開発のものを引き取って、バグFIX、カスタマイズ、保守運用。メディアファクトリー様の印税分配管理システム。一部上場企業(医療関連事業)の新規事業展開のシステム開発。メディアフラッグ様での、ASPシステムの英語化・中国語化対応、又携帯UIからスマートフォンUIへのカスタマイズなどをさせて頂いています。そのほかにも、幅広い業界での開発やサポートの実績があります。

特に強みとしているのは、中小規模のWeb系業務システムです。大手のSIerですと、引き受けづらい規模感もしくは予算感の案件について、要件定義から、システム開発、保守運用のアウトソーシングといった業務を総合的に引き受けています。

弊社としては、ユーザー様に対し「提案型の情報システム部門」のような立場でお付き合いをさせていただき、エンジニアのシステムに対する幅広い知識を生かして、情報システムが価値(コスト削減・信頼性・効率化etc)を生むお手伝いすることを目指しています。

システム切り替えを見据えてハードの「延伸稼働」を選択

――今回、データライブの延伸稼働サービスを採用された案件は、具体的にどのようなものだったのでしょうか。

今回、延伸稼働を採用したのは、某県立大学の履修管理システムのハードウェアになります。このシステムは、既に10年近く稼働しているものです。カリキュラムの刷新などに合わせて、われわれのパートナーでもあるSIerがパッケージによるカスタムなどを行いながら運用してきたものなのですが、予算的な問題もあって、次のシステムへの切り替えのめどがつく前に、ベンダーによるハードウェアの保守期限が切れてしまいました。

お客様側からのコスト的な要望を考慮しつつ検討した結果、今回はハードウェアのリプレースではなく、データライブの延伸稼働サービスを採用して、次の切替のタイミングまで現在のハードウェアを保守しようということになりました。現在、同システムのインフラとなっている大手ベンダー製の8台のサーバについて、年単位で契約をしました。

――延伸稼働サービスを提供している事業者はほかにもありますが、なぜデータライブを選択されたのでしょうか。

今回のケースについては、パートナーとなっているSIerからの提案もあり、われわれとしては初めて、データライブさんとお付き合いさせていただく形になりました。

ただ今後、われわれが運用保守をお引き受けしている案件の中でも、同様にハードウェア保守切れのタイミングと、システムの刷新のタイミングの間にずれが出てくるケースはあると思います。そうした際に、個々のお客様の事情に合わせて、新規のハードウェアを導入するか、延伸稼働サービスを採用するかといった選択肢を提供できる点で、心強いパートナーになっていただけるのではないかと思っています。

「専門知識」と「オンサイト」が心強いバックアップに

――このサービスは、いわゆる「リユースサーバ」を活用した延伸稼働のサポートになるわけですが、リユースを使うことに対するエンドユーザー様側の抵抗感というのはなかったでしょうか。

株式会社ノマド 代表取締役社長CEO 佐藤裕司氏

それはなかったですね。ユーザー様側にも、確保できる予算の範囲内での解決策ということで、ある程度の理解がありました。その前提で業者を検討し、「クオリティ」「コスト」「デリバリ」のバランスを考えて、最も条件に合ったものとしてデータライブさんを選択されています。

われわれの立場としては、ISO9001品質規格・ISO27001情報セキュリティの認証取得に代表される品質・セキュリティ管理の枠組みがあり、かつ実際のサービスとして専門的な知識を持った方が、いざというときに現場に駆けつけてくれるオンサイトサポートがあれば、リユースであったとしてもかゆい所に手が届いて、安心して保守が続けられます。

期限が切れたハードウェアを動かし続けるための安心の担保として、ユーザー様にとって、このサービスが一番ふさわしいものであれば、引き続き活用していきたいと思っています。基本的にメーカー保証と同じレベルでの対応が行われるということなので、特に問題はないと考えています。

お客様のITシステムのライフサイクルを考える際のパートナーとして期待

――ノマドが「提案型の情報システム部門」としてビジネスを展開されていくにあたり、今後、データライブに対してどのような期待をされていますか。

データライブさんが、保守切れのハードウェアという課題を抱えた多くのユーザー様から信頼されている会社ということであれば、ハードに限らず、そこで動くソフトウェアに関しても、さまざまなノウハウや知識をお持ちだと思います。一方で、ノマドは「業務」や「アプリケーション」の側での蓄積を持っています。

単に紹介し合うというだけではなく、お互いのお客様を交えながら情報交換をすることで、よりお互いのお客様にとってメリットのあるパートナーシップが築けるのではないかと思います。また、そうすることで互いのビジネスが拡大していくと良いですね。

われわれも、創業から12年ということで、お客様に対して、先を見越した提案や、われわれが作ったシステムで展開するサービスから得られる利益をより高められるような提案をできる会社にしていきたいと考えています。

東日本大震災以降、今でも特に東北地方では厳しい状況が続いていますが、会津に本社がある会社として、お客様に喜んでいただき、そのことによって地元への貢献もしていきたいと考えています。

そうした目標を掲げる中で、今後もデータライブさんには、ハードウェアに関わる部分での、ノマドの強力なパートナーとして、ご一緒していただければと思っています。