PowerToysはインストールするだけでいくつもの機能が自動的に有効になる。多くの機能はショートカットキーで操作するが、自動的に機能するものもある。今回はわかりやすいサンプルとしてファイルエクスプローラー(以下、エクスプローラー)のプレビュー機能を取り上げる。
エクスプローラー
Windowsにおいてファイルやフォルダーを管理・操作するツールがエクスプローラーだ。ユーザーはエクスプローラーを使ってファイルにアクセスしたり、ファイルをフォルダに格納したりすることになる。
エクスプローラーには次のような機能が提供されている。
- ファイルやフォルダーの閲覧
- ファイルやフォルダーの検索
- ファイルやフォルダーのコピー、移動、削除
- プロパティの表示
- ファイルのプレビュー
- クイックアクセス(よく使用するファイルやフォルダーへのショートカットを提供する)
- OneDriveの統合
エクスプローラーのプレビュー
エクスプローラーの機能の1つに「ファイルの中身を表示する」というものがある。いわばプレビュー機能だ。
Windowsのエクスプローラーにはもともとプレビューの機能は存在していなかった。それがWindows Vistaの頃から搭載されるようになり、エクスプローラーから直接ファイルの中身を閲覧できるようになった。
例えばWindows 11であれば、「表示」オプションを「プレビューウィンドウ」に変更することでこのプレビューが使えるようになる。
「詳細ウィンドウ」ではファイルを選択すると上記のようにファイルの詳細が表示されているが、「プレビューウィンドウ」にすると次のようにプレビューが表示されるようになる。
しかしながら、このエクスプローラーの「プレビュー」は機能としては用意されているものの、デフォルトで対応しているファイル形式はそれほど多くない。
上記スクリーンショットはエクスプローラーでPythonのスクリプトファイルを選択したところだが、プレビューには「このファイルはプレビューの表示ができません」と書いてある。中身はテキストなので表示してくれれば良さそうなものだが、スクリプトファイルの形式に対応していないのでプレビューには表示されないのだ。
PowerToysをインストールするとこのエクスプローラーのプレビューで表示できるファイルの種類が増える。この機能は特にプログラミングを行う開発者やHTML/CSSを書くコーダーやデザイナーにとって便利だろう。あくまでプレビューなので、エディターや開発環境での表示には及ばないものの、さっと軽く中身を確認できるのはありがたいはずだ。
PowerToysのインストール後のプレビュー
PowerToysをインストールすると、先ほどは表示されていなかったPythonのソースコードのプレビューが次のように表示されるようになる。
エクスプローラーのテキストプレビューと違い、シンタックスハイライトなども機能していることがわかる。
なお、以前のエクスプローラーではPDFのプレビューができなかったが、2023年後半のWindows 11アップデートでデフォルト対応されるようになった。
そのため現在ではPDFのプレビューのためにPowerToysをインストールする必要性は低いのだが、エクスプローラーのPDFプレビュー表示が崩れるなどの問題を感じているなら、PowerToysの提供するPDFプレビュー機能を使うのも1つの手だ。
プレビューの設定
どのファイルをプレビュー表示してどのファイルをプレビュー表示しないかの設定は、PowerToysの設定ウィンドウの「File Explorer add-ons」の「プレビューペイン」から行うことができる。
本稿執筆時点では次の種類のオン・オフを切り替えることができる。
- スケーラブルベクターグラフィックス .svg
- マークダウン .md、.markdown、.mdown、.mkdn、.mkd、.mdwn、.mdtxt、.mdtext
- ソースコードファイル .cpp、.py、.json、.XML、.csproj、...
- PDF .pdf
- Quite Ok Image .qoi
- 幾何学的コード .gcode
なお同じ設定ページではエクスプローラーのサムネイルアイコンについてもプレビューのオン・オフの切り替えができるようになっている。
このようにPowerToysはインストールするだけでエクスプローラーのプレビュー機能を拡張できる。
PowerToysはさまざまな機能が詰め込まれた“ツールボックス”
エクスプローラーのプレビュー機能を拡張するアプリケーションは、PowerToys以外にも存在する。だが、PowerToysにはプレビュー機能以外にもさまざまな機能が詰め込まれている。今回紹介したのはプレビュー機能だが、ほかにもPowerToysをインストールするだけで利用できるようになる機能がたくさん用意されているのだ。
それらの機能は、全て使わなければならないというものではない。自分にとって必要なもの、役に立つものを見つけて使えばよい。さらにPowerToysは現在も開発が継続しており、随時新しい機能が追加されている。ときどき機能を見直して、役立つ機能があればそれを活用してみよう。
付録: ショートカットキー
ショートカットキー | 内容 |
---|---|
「Ctrl」「Ctrl」 | マウスカーソルをスポットライト表示。 |
「Windows」+「Ctrl」+「Alt」+「V」 | クリップボードの内容をプレーンテキストとして貼り付け。 |
「Windows」+「Ctrl」+「T」 | ウィンドウをピン留めする。 |
「Windows」+「Shift」+「/」 | ショートカットガイドを表示。 |
「Alt」+「Space」 | クイック起動ツールを表示。 |