キンドリルジャパンは今年1月に本社を六本木ヒルズ森タワーに移転し、稼働を開始している。同社は本社移転を新たな働き方を実践する機会と位置付け、社員のパフォーマンスを引き出しながら顧客やパートナーとの共創を実現する場所だとしている。こだわりの新オフィスを取材したので、紹介したい。
六本木の眺望抜群な執務エリア
キンドリルは2021年にIBMから分社化したが、日本法人はしばらく同じオフィスで業務をしていたという。新しい会社として独立した本社を持つことは重要であり、新オフィスへの移転を決定し心機一転のスタートを切った。
森タワーのエレベーターホールを抜けて新オフィスのエントランスへ入ると、すぐに大きな窓が目に入る。会社のロゴ越しには、東京スカイツリーをはじめ都内を一望できる。
オフィスの執務エリアは非常にフラットでいたってシンプル。社長室などを除けばほぼ全席が区切りなく一堂に会している。設計時点で、偶発的なコミュニケーションが生まれるよう意識したデザインだという。以前のオフィスは複数エリアに分かれていたことから、出社していても社員同士の交流が少ない課題もあったそうだ。
また、執務エリアの周囲にはだるまをはじめ、和風の置物が飾られている。社内でプロジェクトが立ち上がると、成功を祈願してだるまが置かれるという。
同社は人こそが価値であるとして、多様な社員が働きやすいインクルーシブな環境作りを進める。オープンでフラットな執務スペースで働く社員もいる一方で、周囲の音があまり聞こえない個室ブースは一人で集中する作業に没頭したい社員に人気だ。
コミュニケーションを生む工夫がいたるところに
突然で驚くのだが、社長室の入口にはブリのぬいぐるみと共に「All "Fish" are welcome」のメッセージが。「Fish on the table」という、代表取締役社長のジョナサン・イングラム氏が以前駐在していたオランダのことわざに由来するそうだ。魚は傷みやすいことから、問題を隠さずに卓上に載せてほしいというメッセージが込められている。活発な議論を生み出そうとする工夫が、このあたりからも感じられる。
6人ほどが向かい合って座れる、通称「ファミレスブース」も特徴的。オンラインでの打ち合わせや、チームでのミーティング、ちょっとした休憩などにも使える。
執務エリアの壁には、いたるところにホワイトボードが用意されている。そのため、立ち止まってすぐに議論を始められるという。新オフィスに移転してホワイトボードを導入したそうだ。これも、偶発的なコミュニケーションを生む工夫の一つ。同社がバリューとして重視する「Flat」「Fast」「Focused」な議論を促す。
会議室には、日本の海や川、滝など、水に関係する地名を取り入れた。首都圏の社員のみならず全国の社員が本社オフィスに愛着を持つとともに、キンドリルのカルチャーを社内外に周知することを目的に、会議室名を全社員から募集した。オフィス作りの過程に社員も参加することで、エンゲージメントの向上を狙った。
Kyndryl Vital Studioは、来客やパートナー企業との共創の場となる大会議室。ソリューションのデモ検証や、社内外のイベントなどにも活用される。
本稿では紹介しきれなかったが、キンドリルの新オフィスにはエントランスと同様に眺望が抜群な休憩スペースやこだわりの会議室が多数備えられている。六本木エリアを眼下に臨みながらの議論は、いつもよりもはかどりそうだ。