Microsoft Teamsのオンライン会議サービスは、通常、双方向の会話に使用します。当連載でも、1対1の通話や、参加者全員が自由に発言できるオンライン会議でのTeamsの活用を紹介してきました。
一方、昨今ではインターネットを使用したオンラインコンサートやイベントの中継、講習会(ウェビナー、Webセミナー)も盛んです。Teamsは、こうした用途に対応するサービスとして「ライブイベント」と「ウェビナー」を装備しています。
ライブイベント
ライブイベントは、インターネットライブ配信、インターネット放送などと呼ばれるスタイルです。主催者から視聴者に放送します。視聴者からの発言はできません。多人数への一方通行の配信に向いています。
ウェビナー
名前の通り、ウェビナー(Webセミナー)を想定したもので、主催者(講師)の映像を配信します。ただし、完全な一方通行ではなく、視聴者が講師に質問したりできます。また、参加受付フォームの機能もあります。
ウェビナーはTeamsのサービスとしては最も新しく、まだ実装されて間もないため、参加者数の制限の拡大など、いくつかの機能改修が計画されています。
(1)Teamsのカレンダーを開き、「新しい会議」ボタン右の「∨」をクリック。
(2)ポップアップメニューに「ウェビナー」と「ライブイベント」のメニューがある。
ただし、使用しているTeamsのライセンスがライブイベントやウェビナーに対応していない場合は、メニューも表示されません。
ライブイベントとウェビナーを利用できるライセンス
当連載でこれまで紹介したTeamsのサービスはMicrosoft 365のどのバージョンでも使用できるサービスでした。ライブイベント、ウェビナーは、契約しているライセンスのプランによって使用できないので注意が必要です。
オンライン会議 | ライブイベント | ウェビナー | |
---|---|---|---|
使用できるライセンスプラン | Office 365 E1/E3/E5、Microsoft 365 Business、Basic/Standard/Premium、Microsoft 365 E3/E5 | Office 365 E1/E3/E5、Microsoft 365 E3/E5 | Microsoft 365 Business、Standard/Premium、Microsoft 365 E3/E5、Office 365 E3/E5 |
最大参加人数 | 1,000人 | 10,000人 | 1,000人、ブロードキャストモードでは10,000人、近い将来20,000人に拡大 |
最大開催時間 | 24時間 | 4時間 | 33.5時間 |
ゲスト参加 | 〇 | 〇 | ×、近い将来参加可能に拡張 |
Outlook予定表から予定作成 | 〇 | × | × |
参加登録フォーム作成 | × | × | 〇 |
主催者の役割設定 | × | 〇 | × |
ブレイクアウトルーム | 〇 | × | 〇 |
投票/挙手 | 〇 | × | 〇 |
注意が必要なのは、中小企業向けに人気のMicrosoft 365 Businessシリーズでは、ライブイベントを利用できないことです。Businessシリーズのライセンスプランで契約している場合、ライブイベントを活用するためには、テナントに主催者側スタッフのユーザー分のOffice 365 E3またはMicrosoft 365 E3などのライセンスを追加購入する必要があります。
Microsoft 365のライセンスプラン
Teamsの利用にも関係しますので、一度Microsoft 365製品群整理しておきましょう。 Microsoft 365の法人向けプランには13種類あって、一覧表を見ても混乱しがちですが、以下のようなポイントを押さえておくとわかりやすくなります。
契約プラン | 説明 |
---|---|
Microsoft 365 Business Basic、Microsoft 365 Business Standard | ユーザー数300人以下のビジネス向け。Basic→Standardの順に内容が充実します。 |
Microsoft 365 Business Premium | ユーザー数300人以下のビジネス向け。Microsoft 365 Business Standardに加えて、WindowsやAzure ADなどを含んでいます。 |
Office 365 E1、Office 365 E3、Office 365 E5 | ユーザー数制限がないビジネス向け。E1→E3→E5の順に内容が充実します。 |
Microsoft 365 E3、Microsoft 365 E5 | ユーザー数制限がないビジネス向け。Office 365 E1/E3/E5に加えて、WindowsやEMS、Azure ADなどを含んでいます。 |
Office 365 F3、Microsoft 365 F1 | 工場などを想定した、PCなどの端末装置を複数ユーザーで共有する使い方のためのプランです。Teamsを限定的に使用できます。 |
Microsoft 365 F3 | 工場などを想定した、PCなどの端末装置を複数ユーザーで共有する使い方のためのプランです。Teamsを使用できません。 |
Microsoft 365 Apps for Business、Microsoft 365 Apps for Enterprise | Microsoft 365のクラウドサービスを使用しない、デスクトップアプリだけのプランです。Teamsを使用できません。 |
他に個人ユーザー向けのMicrosoft 365 Personalがあります。複数のユーザーを組織的に管理する機能はなく、Teamsも使用できません。
当連載でいつもMicrosoft 365と記載しているのは、Microsoft 365 Businessシリーズや、Office365、Microsoft 365シリーズのE1/ E3/E5を想定しています。
次回は、Teamsのライブイベントの実際の使い方について紹介します。