Teamsで外部団体と協業

オンライン会議、グループウェアによる拠点間の共同作業は古くから提唱されていたことですが、技術的には利用可能であったにもかかわらずなかなか普及しませんでした。それが、2019年以降、オンライン会議が急速に普及し、現在では当たり前のように利用されるようになっています。

その中で、組織内の会合だけでなく、外部団体とのコラボレーションについてもオンライン化を進める必要性が高まっています。たとえば、他社との合同プロジェクト、業界団体あるいは業種組合の活動、地域の商工業組合の活動、官民一体あるいは産官学一体のプロジェクトなど。

今回は、こうした昨今の組織外とのコラボレーションに対応する視点からTeamsの利用を考えてみます。

Teamsのアカウントの種類と組み合わせ

Teamsの特長は、オンライン通話、オンライン会議だけでなく、チャット、ファイル共有、Outlookとの連携など、チームでコラボレーションするための総合的な機能を持つことです。グループウェアの一種とも言えるでしょう。必要に応じてユーザーが簡単にチームを作成、削除できるのも魅力です。

Teamsには無償で利用できる無料バージョンと、Microsoft 365の正規ライセンスで利用する有償バージョンの2種類があります。組織外とコラボレーションするに当たり、この組み合わせを順に考察してみましょう。

自分の組織でMicrosoft 365を利用しているからと言って、組織外のユーザーにMicrosoft 365の購入を期待することが難しいケースは少なくありません。無償版Teamsの利用も検討する必要があります。

パターン チームの主催者 チームの参加者 特徴
パターン1 
(無料/無料)
無料アカウント 無料アカウント 無料で利用できる。
組織的な管理ができない。
用途としてはほぼオンライン会議、チャットに限られる。
パターン2 
(有料/無料)
有料アカウント 無料アカウント チーム主催者は自分のアカウントのライセンス料金だけで実現。
参加者はチームの情報共有に制限あり。
パターン3 
(有料/外部)
有料アカウント 有料アカウント
(外部組織)
チーム主催者は自分のアカウントのライセンス料金だけで実現。参加者は自分の組織のMicrosoft 365アカウントで参加。
参加者はチームの情報共有に制限あり。
パターン4 
(有料/内部)
有料アカウント 有料アカウント
(同一組織)
新規にドメイン名の取得が必要。
共同作業専用に新規にMicrosoft 365ライセンスを購入するため、参加者全員にライセンス料金がかかる。
Teamsの機能をフル活用できる。

この4つのパターンについて、メリットやデメリットなどの特徴を見ていきましょう。

パターン1・無料/無料

全員がTeamsの無料アカウントを使用するケースです。

メリットは、なんと言っても無料で使用できることでしょう。デメリットは、組織的な管理ができないこと、情報共有機能がほぼないことです。

無料版のTeamsの場合、1人1人のユーザーが独立したアカウントであり、「組織」という考え方がありません。LINEなどのSNSと同様、各ユーザーが自主的に接続、参加します。そして、Teamsという名前とは裏腹にチームを作成することができません。代わりに、チームよりゆるやかな「グループ」があります。LINEを活用しているユーザーなら、LINEグループのようなものと考えればいいでしょう。

無料版Teamsは、ビデオ通話とチャットのみできれば十分、なるべく費用を安く抑えたいという用途に向いています。

無料版Teamsへのサインインに関しては、当連載の88回記事を参照してください。

(1)サインインしても「チーム」などのメニューがなく、シンプル。
(2)グループを作成するには「グループ名を追加」をクリック。

  • グループを作成するには「グループ名を追加」をクリック

    グループを作成するには「グループ名を追加」をクリック

(3)グループ名を入力。
(4)招待するユーザーを入力。2人以上を列挙可能。
(5)最初のメッセージを入力。
(6)クリックして投稿。

  • グループ名、招待するユーザーを入力

    グループ名、招待するユーザーを入力

こうしてグループを作成すると、チャットメニューに作成したグループが表示されます。

(7)グループが表示される。クリックすると、グループのチャットウインドウを開く。
(8)チャットには、ファイルを添付して投稿可能。
(9)「ファイル」タブをクリックすると、グループの共有フォルダーを開く。
(10)カメラアイコンをクリックするとビデオ会議を開催。

  • グループのチャットウインドウ

    グループのチャットウインドウ

なお、有料版と同様にカレンダーから会議を予約することもできます。

グループは一見チームのように見えますが、あくまで任意の参加者が参加しているだけであり、有料版Teamsのチームのようにチームの管理者がチームのメンバーを統一的に管理することはできません。

他にも、無償版と有料版のTeamsでは主だった機能でも以下のような違いがあります。

  無料版 有償版
オンライン会議開催時間の上限 1時間 24時間
オンライン会議参加人数の上限 100人 300人
会議の録画録音 なし あり
共有フォルダーの容量 10GB(1ユーザー当たり2GB) 1TB
ウェビナー/ライブイベント なし あり
各種アドオンアプリ なし あり

なお、新型コロナウイルス対策として、会議開催時間の上限と会議参加人数の上限に関しては、現在、無料版でも有償版と同様の上限になっています。

パターン2については次号で紹介します。