Windowsに最初からインストールされているWebブラウザ「Microsoft Edge」。残念ながら、ビジネスパーソンの多くは、その便利な使い方を知らないようだ。実は、Microsoft Edgeは非常に使いこなしがいのあるツールである。本連載では、このブラウザの便利な使い方を紹介していこう。
ビジネスの必須ツールとなったPCとインターネット
ビジネス、と一言で言っても、その内容は千差万別だ。担当業務によってはPCを全く必要としないものもある。しかし、それでも業務全体で見るとどこかでPCを使っていたり、PCを使った方が業務効率が良くなったりすることが多い。ビジネスを円滑に進めていく上で、PCがもはや不可欠なツールであることはいうまでも無いだろう。
そしてインターネットも欠かすことができない。コミュニケーションでの利用はもちろんのこと、情報収集にあたっても、現時点で最も手軽でパワフルなツールだ。もし今人類がインターネットを失うことになれば、文明が大打撃を受けかねない。
誰もが使っている「Webブラウザ」
PCとインターネット、これら2つのツールを組み合わせて仕事をする際に使われる主なソフトウエアの1つが「Webブラウザ」だ。Webブラウザは単に「ブラウザ」と呼ばれることもある。
現代では、WebブラウザはWebブラウザだと意識されることなく使われているケースも多い。スマホでTwitterやInstagram、TikTok、メールアプリなどを使っていると、いつの間にかリンクを踏んで移動している先がWebブラウザだ。QRコードを読み込んだときも起動する。
明示的に起動する場合には、次のアイコンをクリックする。
人によってはWebブラウザのことをインターネットだと思っていることもある。インターネット普及以降の教育機関を経ていたり、教育機関で情報リテラシー教育を受けていたりすればWebブラウザの機能について理解している方が大半だと思うが、そうではない場合、スマートフォンやPCを使い始めて初めて触れる「モノ」であり、「Webブラウザ=インターネット」だと思ってしまうのも無理はない。
Webブラウザは1つじゃない
Webブラウザは、とても多機能で汎用的なソフトウエアだ。インターネットで調べ物をしたり、オンライン取り引きをしたり、政府機関へ書類を提出したり、オンラインショッピングをしたりと、さまざまな用途に使われている。
なお、「Webブラウザ」という名前のソフトウエアが存在するわけではない。Webブラウザというのはソフトウエアの種類名であり、Webブラウザに分類されるソフトウエアがいくつも存在している。代表的なものは、次の通りだ。
- Google Chrome - 世界で最もシェアの多いWebブラウザ。WindowsやAndroidで広く使われている
- Apple Safari - 世界で2番目にシェアの多いWebブラウザ。iPhone、iPad、Macで広く使われている
- Microsoft Edge - Windowsに最初からインストールされているWebブラウザ。日本では世界平均よりもMicrosoft Edgeのシェアが多い
- Mozilla Firefox - Microsoft Edgeと同じくらいのシェアを持つオープンソースのWebブラウザ
これらのうち、本連載ではMicrosoft Edgeにフィーチャーしていく。
WindowsのWebブラウザは「Microsoft Edge」
ビジネスで最も使われることが多いのはWindows PCだろう。そして、Windows 10やWindows 11がインストールされているPCには、最初からWebブラウザとして「Microsoft Edge」がプリインストールされている。
どのWebブラウザを使うか選んだ覚えはなくても、気づけばMicrosoft Edgeを使っていた、という方は多いはずだ。
「Microsoft Edge」を自在に使いこなせ!
本連載の目的は、このMicrosoft Edgeの便利な使い方を取り上げていくことにある。現在のMicrosoft Edgeは、きちんと使えばとても使い勝手が良いのだ。
だが残念ながら、Microsoft Edgeを使うビジネスパーソンの多くが、Microsoft Edgeについて“知らない”。このWebブラウザはポテンシャルが高く、活用方法を知れば知るほど便利になっていく。本連載の目的は、そうした活用方法を紹介し、ビジネスパーソンのサポートをすることだ。
Microsoftの苦い歴史の話をちょっとだけ
Microsoftはもともと「Internet Explorer」と呼ばれるWebブラウザを提供してきた。インターネットがコンシューマーへ普及するにつれて、Internet ExplorerはWebブラウザとして強い影響力を持つようになった。最初は大成功していたと言って良いと思う。
しかし、Internet Explorerは独自技術の利用や標準規約との乖離といった特徴があり、徐々に煙たがられる存在になっていく。そのうちオープンソースソフトウエアとして開発が進められてきたMozilla Firefoxや、Googleが手掛けたChromeに人気を取られていった。そして現在、圧倒的な市場シェアを占めるのがGoogle Chromeだ。Webブラウザ競争は今のところGoogle Chromeが優位にあり、iPhone/Mac陣営のSafariが別の陣地を展開しているというような状況になっている。
MicrosoftはInternet Explorerの改善に取り組むが、結局それは満足な結果を得るに至らなかった。互換性という至上命題がある以上、Internet Explorerが後発のWebブラウザに勝つのは難しい状況だったと言える。
Microsoftは逆転の一手として、Windows 10に合わせるかたちで新しいWebブラウザを開発する。これが「旧・Microsoft Edge」だ。「旧」と付けのは現在のMicrosoft Edgeとは別物だからである。このWebブラウザは(何をもって成功と言うかという問題はあるが、OSと同じように支配的なシェアを持つという点で見れば)、大きな成功を得ることはできなかった。
逆転をかけた新しいMicrosoft Edge
実際にMicrosoft社内でどのような議論が行われたのかを知る術はないのだが、Microsoftはこの旧・Microsoft Edgeを捨てて、新しいMicrosoft Edgeを開発するという判断をする。新しいMicrosoft Edgeは、基盤技術にGoogle Chromeを使い、UIやWindowsとの連動部分をMicrosoftが開発するというものだった。Google Chromeの美味しいところと、Windowsを開発しているMicrosoftの美味しいところを取ったやり方だ。これはうまく行った。
GoogleはChromeの基盤技術をオープンソースソフトウエア「Chromium」として公開している。このため、Chromiumをベースとして独自のWebブラウザを開発するという流れがある。新しいMicrosoft Edgeもそのうちの1つというわけだ。Google Chromeと同じ基盤技術を採用しているので、Chromeの拡張機能も使えるし、ChromeができることはほとんどMicrosoft Edgeでもできる。そして最初からWindowsにインストールされていてWindowsとの親和性も高い。まさに良いところ取りだ。
なぜか日本は、Windowsに最初からインストールされているWebブラウザのシェアが高い。新しいMicrosoft Edgeに関しても例外ではない。ぜひ、このWebブラウザの便利な使い方を身に付けてもらいたいと思う。日々の作業を高速化できるようになること間違いなしだ。