これたで波長解析には、数癟バンドを蚈枬するハむパヌスペクトルず数十バンドを蚈枬するマルチスペクトルが存圚し、たた波長領域もCMOSセンサヌを甚いた可芖光ずInGaAsセンサヌを甚いた近赀倖が存圚するず解説した。本号では可芖光(CMOS)におけるマルチスペクトルカメラに぀いお玹介する。

これたでマルチスペクトルの領域では、「スペクトルメヌタヌ(分光蚈枬噚)」ず呌ばれる絶察的な色を蚈枬するツヌルが甚いられおきた。スペクトルメヌタヌは䞀点に入射された光を空間的に分散させ、波長ごずの光量をフォトダむオヌドで読み取る機噚構成を取る。グレヌティングおよびフォトダむオヌドを甚いるずどうしおもサむズが倧きくなっおしたうため、以䞋の図のように手動で蚈枬ポむントに移動させお蚈枬するのがほずんどである。

  • アドメシヌ瀟補Arges-45色圩蚈

    (出所:http://oceanphotonics.com/product/admesy_000330.html)

これに察しお、近幎急速に成長しおいるのがCCD/CMOSセンサヌのピクセル䞊にバンドパスフィルタをコヌティング(印刷)するこずで、各ピクセルで各波長を盎接蚈枬する方匏である。グレヌティングを甚いないこの手法は、システム構造を圧倒的にシンプルにするため、通垞のカラヌカメラのように䜎サむズ化が実珟できる。ただ、このフィルタヌの搭茉技術はさたざたな手法が開発されおおり(Spin Coating、Vapor Coatingなど)、どれも珟時点で課題ずなるのは、目的の補造数に察する補造コストのバランスである。民生向けの補品であれば倧量に補造するためにコストを䞋げられるが、工業向けの補品では、いかに垌望する波長のフィルタヌを少量であっおも䜎䟡栌に補造できるか、が重芁ずなる。この点での今埌の技術革新に期埅したい。

ちなみに、民生向けにはマルチスペクトルセンサヌを搭茉したスマヌトフォンがリリヌスされた。

  • SCiO Inside! The world's first smartphone with an embedded SCiO molecular sensor - the Changhong H2

そんな䞭でEspros瀟は、䜎䟡栌に可芖光から近赀倖の900nm付近たで蚈枬できるCMOSセンサヌ「SPM64」をリリヌスした。64ピクセル(8×8)のCMOSセンサヌ䞊に、䞋図のような特性を持぀64のバンドパスフィルタを各ピクセル䞊にコヌティングしおいる。そのバンドパスフィルタのコヌティングには䞀般的にコストがかかるずされるファブリペロヌ(fabry-perot)方匏を採甚しおいるが、フィルタヌのコヌティングを委蚗しおいるVIAVI瀟の技術革新により䜎䟡栌化に成功し、組蟌機噚で採甚可胜な䟡栌蚭定を実珟できたこずが本補品の倧きな特長ずいえる。具䜓的にコヌティング技術の革新ずは、バンドパスフィルタを塗垃する際に、1バンドず぀塗垃するのではなく、数パタヌンのフィルタを事前に䜜成しおそのパタヌンの組み合わせにより64バンドを構成するずいう、合理的な手法を甚いおいる。

  • Espros瀟のCMOSセンサヌ
  • 数パタヌンのフィルタを事前に䜜成
  • パタヌンの組み合わせお64バンドを構成
  • (画像提䟛:Espros瀟)

このようなCMOS䞊にフィルタヌを装着したスペクトルセンサヌは、䞊述の通り、スマヌトフォンなど民生品ぞの適応が怜蚎されおいる。波長情報を解析するこずで食品の鮮床が蚈枬できるこずから、スマヌトフォンに搭茉するずスヌパヌでさたざたな食品にかざしお蚈枬するサヌビスが怜蚎されおいる。さらには、䟋えばコヌヒヌメヌカヌを補造する䌚瀟では、自らが補造するカプセルが䜿甚されおいるか芋分けるために、波長情報で内容物の刀断をしようずする動きもみられる。携垯電話やコヌヒヌメヌカヌに搭茉できる䟡栌垯たで䞋がったこずを意味しおいる。その応甚範囲は今埌もたすたす広がりを芋せるず考えおいる。

マルチスペクトルが泚目されおいるのは民生品の䞖界だけではない。工業甚の䞖界でもChromasens瀟は、これたでカラヌのラむンセンサヌカメラを開発・補造しおいたが、最近になっおマルチスペクトルのラむンセンサヌ「truePIXA」の開発に成功した。ラむンセンサヌずは、CMOSの受光玠子が䞀列だけに䞊んでいるこずを意味し、぀たり䞀床シャッタヌを切るず1ラむンしか蚈枬できない。぀たりは、察象物を動かすか、カメラを動かしながら受光を繰り返すこずで、2次元の平面の画像を取埗するものである。高速に察象物が移動するような堎合は、通垞の2次元カメラより適しおいる。

  • Chromasens瀟のカラヌラむンセンサヌカメラの掻甚むメヌゞ
  • Chromasens瀟のカラヌラむンセンサヌカメラ

    (画像提䟛:Chromasens瀟)

䞊図のように、ラむンセンサヌを均等に4分割し、異なるカラヌフィルタヌで同䞀芖野を撮像するこずで4バンドの情報を取埗する。この際、撮像玠子はRGBの3ch分を取埗するために甚いられるTri-linearセンサヌが甚いられおおり、各4バンドに察しお3ch分のデヌタが埗られるため、合蚈で12バンド(3×4)の情報を取埗できる。ラむンセンサヌを甚いおいるため、スポットではなくスキャン方匏で察象物党䜓のスペクトル情報を画像ずしお高速に取埗できる。画像ずしお倚点のスペクトル情報を䞀気に取埗できるこの手法は、決たったスポット埄の蚈枬しかできないスペクトルメヌタヌに比べお圧倒的な自由床を提䟛する。

最たる䟋はやはり印刷物の怜査である。スポットしか蚈枬できないスペクトルメヌタヌでは、耇雑な暡様の印刷物を蚈枬するこずは䞍可胜だが、truePIXAであれば䞋図のように無数の任意の領域の色蚈枬をむンラむンに察しお適甚できる。

印刷物以倖にも絚毯などの繊維物や耇補絵画、玙幣ずいった察象物の怜査に察しおも同様の技術が実甚化されおきおいる。倉わったずころでは、タバコの颚味は葉の成熟床によっお倧きく巊右されるが、成熟床は色を指暙ずしお厳密に管理されおいる。この怜査もスペクトルメヌタヌが埓来甚いられおきたが、近幎ではtruePIXAを甚いたむンラむンでの怜査が実甚化されおいる。画像ベヌスでのむンラむン色蚈枬によるスペクトルメヌタヌからの脱华は今埌も拡倧するず考えられる。

村䞊慶 リンクス代衚取締圹

著者玹介

村䞊慶(むらかみ けい)/株匏䌚瀟リンクス 代衚取締圹
1996幎4月、筑波倧孊入孊埌、圚孊䞭の1999幎4月、オヌストラリアのりロンゎン(Wollongong)倧孊に留孊、工孊郚におコンピュヌタ・サむ゚ンスを孊ぶ。2001幎3月、筑波倧孊第䞉孊矀工孊システム孊類を卒業埌、同幎4月、株匏䌚瀟リンクスに入瀟。䞻に自動車、航空宇宙の分野における高速フィヌドバック制埡の開発支揎ツヌルであるdSPACE(ディヌスペヌス、ドむツ)瀟補品の囜内普及に埓事し、囜内の䞻芁補品ずなる。2003幎、同瀟取締圹、2005幎7月、同瀟代衚取締圹に就任。

同瀟代衚取締圹に就任埌は、画像凊理゜フトり゚アHALCON(ハルコン、ドむツ)を囜内シェアトップに成長させ、産業甚カメラの䞖界的なリヌディングカンパニヌであるBasler(バスラ―、ドむツ)瀟ず日本囜内における総代理店契玄を締結するなど、高床な技術レベルず高品質なサヌビスをバックボヌンずした技術商瀟ずしお確固たる地䜍を築く。次のビゞネスの柱ずしお2012幎7月に゚ンベデッドシステム事業郚を発足し、3S-SmartSoftware Solutions(スリヌ゚ス・スマヌト・゜フトりェア・゜リュヌションズ、ドむツ) 瀟の囜内総代理店ずなる。