テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方、ハイブリッドワーク。→過去の「マシンルームとブランケット」の回はこちらを参照。
コロナ収束の光明が見えてきている今、自社に適したベストなハイブリッドワークの形を本格的に検討している企業も多いのではないでしょうか。
今回は、ハイブリッドワークに関し、Pointnext事業統括 デジタルワークプレイスソリューション部の野中英孝が語ります。
はじめに
こんにちは、Pointnext事業統括でプリセールスをしている野中と申します。HPEもハイブリッドワークをしており、私もほぼ在宅勤務です。さて、ハイブリッドワークに関してですが、個人視点では、選択肢の多さ、時間の効率的、有効な使い方ができるという良さがありますよね。
しかし一方で、みなさんも経験しているかもしれませんが、組織の視点ではメンバー間に物理的な距離ができて弊害もあります。
今回のブログは、世の中「ハイブリッドワークだ」、「テレワークツール整備だ」と騒がれている状況で「チームで仕事をする際、どんなことに気を付けてやっているの?」とお客さまに訊かれる機会が多いので、そんな話を軽くご紹介したいと思います。
ハイブリッドワークとは?
そもそもハイブリッドワークとはなんでしょう? “ハイブリッド”を私が初めて耳にしたのは「自動車」です。そう、トヨタのプリウス。エンジンとモーター2つの動力。
ハイブリッド自動車は「エンジンだけ」→「モーターがプラス」→「飛躍的な燃費向上」です。一方、ハイブリッドワークは「オフィス勤務」→「在宅含めさまざまな場所』→「生産性向上」ととらえれば、「ハイブリッドワークの目的」=「働く場所の自由度による生産性向上」と言えそうです。
雰囲気が似ているワードで、すぐに思いつくのは、メジャーで活躍中の大谷翔平さんの“二刀流”=“Two-way”です。
これは、会社で言えば、営業やりつつ、開発やりつつというイメージです。そんな人がいたら引く手あまたですよね!さて、改めておさらいをします。働く場所の選択肢が増えることの「いいところ」をまとめてみました。
私は、特に家だと
- 音楽聞きながら、好きなものに囲まれて資料作成、開発できる
- 服装が自由
- 重い鞄持ち歩かなくていい
- デカいディスプレイと自分好みのキーボード、昇降するデスクトップと座りやすい椅子* 淹れたてコーヒー
- ネットショッピングの受け取り
- マンション理事会への貢献
- 家事点数稼ぎ...etc
こうしてピックアップしてみると、とても快適で便利という感じですね。最後の1行は、果たして快適で便利なのかは疑問ですが……。実際、コンテンツ作成や開発、勉強にはだいぶ時間を割けるようになっていて、チーム内でもコンテンツは充実していると実感しています。
日本ではどうなのか?
ところで、海外、特に欧米はそもそも在宅を中心としたハイブリッドワークが主流のようです。グローバルの同僚に聞いてみてもほとんどが在宅という回答です。HPEも「No matter where we are, we are HPE」、場所は関係ないというビジョンを表明しています。
しかし、私はそれが本当にいいことなのか?と思いながら仕事しています。なぜなら、日本の企業はチームワーク。日本は、大都市圏では駅直結のオフィスが多く家からそんなに時間はかかりません。車で移動となると逆に不便です。
家も専用の執務環境を作れるほど広くはないでしょうし、業務によっては出社のほうが効率的かもしれません。個々で燃費が向上しても、組織力が低下したらハイブリッドワークは意味がなく、ただの自己満足実現環境となってしまいます。
実際に私が接するお客さんも、出社・在宅半々という感じです。そして「今困っているのは、コミュニケーションだ」ということをよく聞きます。もちろん、日本HPEも、私たちの部署もチームで動いています。
それでは、ここからは私がハイブリッドワークを経験して気づいたことと、改めてどうしていこうか?という点についてお話ししたいと思います。
ハイブリッドワークが及ぼす弊害
私が気づいたハイブリッドワークが及ぼすチームワーク、特にコミュニケーションに対する弊害の例が下記です。
1. 雑談
チームメートを見かけたとき、ランチを食べるとき、ブレイクしてるとき、そういえばこんなことで困ってるんだよね、だったらこういうのは?と自然発生的な考えが生まれてこない。これも圧倒的に減りました。それではと、バーチャルオフィスツールを使ってみたけれど、それだけでは増えませんでした。
2. ディスカッション
私たちの部署で半期に一度やっているプランニングの発表に最も実感したことです。緊急事態宣言下では全員在宅でしたが、解除されたタイミングで、在宅半分、オフィス半分のハイブリッド型にチャレンジしてみました。
- プレゼン自体は問題ない
- プレゼン後の意見が出にくい、話がかみ合わない
- あれ、これ、それの指示代名詞
- スピーカーから遠い人の声が聞こえない
- 毎回はちょっと嫌かも
そこで実感したのは「チームワークで大事なのは、多様性」ということです。こと日本の場合は、いろいろな意見や考え方、アイデアをみんなで出しあっています。この間お客さまはこんなことを言っていた、ほかのお客さまでもそうなんじゃないか、この業界では特にこんな意見が多かった、などです。
いろいろな意見が出てきて、内容がよくなっていくのです。トレーニングやセミナーはまだしも、検討系の会議では、いろいろな意見を出しあうことが肝心なのに、オンラインの会議だとどうしてもディスカッションが発奮しません。カフェからの参加など発言しづらいときもあるので致し方ない面はあります。
発言が一方的であったり、少ないようなディスカッションはやっても無駄にさえ感じます。それでは、やはりディスカッションは対面でやるしかないのでしょうか。いえ、実はハイブリッドワーク状態でもディスカッションを活性化させるコツがあるのです。
実践しているハイブリッドワーク状態でのチームワークのコツ【ミーティングの例】
1. 同じツール・環境
在宅、オフィスで使うIT環境は同じ環境を使うこと。これが意外にとても大事なのです。外ではVPNを張らなければならないとか、シンクライアントや持ち出し端末を使っていたりすると、ボトルネックが分からりづらく、品質が環境に大きく左右されてしまいます。当然、使い勝手もよくありません。
共用IDなどもリモートからの使用は厳禁です。何かあった時のログがトレースできないのですから、普段使いしているツール(デバイス、コミュニケーションツール)を共通利用することで、場所に依存しない状況にできます。
2. 事前準備
ハイブリッドワークでは、コミュニケーションにより時間をかける必要があります。しかし、例えば、ミーティングのための資料を作成するとき、ローカルで作って、ミーティングの時にいきなり画面共有で見せていませんか?それだと、説明も必要で、理解するまでに時間がかかってしまいます。
そうではなく、ミーティング資料はローカルで作らずに、オンラインで見せながら作成することを基本としています。共同編集、進捗共有ができるツールも使います。そうすると、少しずつチェックを入れてもらえますし、指摘がきたら修正できます。
事前準備ができていたら、ミーティングではディスカッションに時間を多く割くことができます。時には、サクッと終わるときもあります。
3. ファシリテート
ファシリテートも重要です。「○○さん、どう思いますか?」と意識的に発言を求めます。しかもできるだけ均等に話を振ります。
Web会議では一方向になりがちで、発言のお見合いも発生しやすく、いつも核心をつく意見を持つ人でも発言が減ってしまう傾向があります。ですので、ファシリテーターが話を振っていくことで発言を促します。
さらに、Web会議ツールだけでなくオンラインホワイトボードを利用した双方向、リアルタイムの意見交換を取り入れています。オンラインホワイトボードなら、他の人が発言しているときにも意見をメモとして書いて貼り付けたり、気づきも漏らさず貼っておくことができます。
ボードにメモを張っておくことで、ファシリテータが、これはどういうことかと書いた人に発言を促すこともできます。ミーティングが1回で終わらなくても、保存も、コピー、エクスポートもできるので非常に便利です。
4. 録音録画
今はWeb会議のツールには大体録画機能がついていますので、後で確認もできますし、積極的に使えばいいと思います。目的は情報格差をなくすことです。意思決定のプロセスとコンテンツを同時に共有することができ、欠席した人や関連する人たちにとっても後追いできて非常に便利です。早送り機能なんかがあれば、効率があがりますね。
メモやホワイトボード、チャットに残っていない発言だけの内容の再確認にも利用できます。今回は、ハイブリッドワーク時のミーティングでのチームワークのコツを紹介しました。また、他にも普段からの情報共有のコツもあります。
情報の共有に関しては、チャットにはったり、打ち合わせで共有したり、どうしても分散しがちです。部、チームでどういう風に情報をまとめるか?これは、また次回のブログで紹介したいと思います。また次回もよろしくお願いします。
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