コピー&ペーストはパソコンを利用するときに最も基本的で頻繁に行う操作です。テキストや画像を一旦OSのクリップボードに保存し、別のファイルに貼付けることができます。無意識にコピー&ペーストのショートカット"Ctrl+C"(MacならCmd+C)を押している方も多いと思うので、わざわざ気にかけることもないわけですが、物足りない部分もいくつかあります。例えば複数のデータをクリップボードで保存することはできません。基本的にコピーしたデータは上書きされるので、2つ以上前にコピーしたデータを利用したくても消去されていて使えません。また、複数のパソコンを介してクリップボードのデータを利用するといったこともできません。同時に2台以上のパソコン環境で作業をしている方にとってクリップボードの共有ができるとうれしいですし、数日前にコピーしたデータをあとで使う可能性もないとはいえません。サードパーティのアプリケーションでこれらの機能を補助してくれるものもありますが、今回紹介する「ControlC」はWebと連携をしているので今までのクリップボードユーティリティーとはまた違う利用用途も考えられそうです。

ControlCのホームページでは共有されているクリップボードデータが閲覧できます

ControlCはクリップボードのデータをWeb上に自動的に保存してくれるサービスです。会員登録後、Windows版とMac版が用意されている専用ソフトウェアをダウンロードします。ソフトを立ち上げている間は、毎回Ctrl+Cを押すたびにデータがサーバーにアップロードされます。もちろんブラウザ上でコピーしたものだけでなく、通常クリップボードに保存できるものであれば何でもControlCへ保存することができます。つまり、いつもと違う操作をすることなくWeb上にクリップボードのデータを蓄積することができるわけです。最初のインストールが手間ですが、それが終われば何もしなくて良い手軽さがこのサービスの特徴です。

タイムゾーンの設定やログイン名とディスプレイ名の設定など、他サービスの登録に比べると記入項目が多い。登録後に早速専用ソフトウェアをダウンロードしましょう

最初に立ち上げたときにメールアドレスとパスワードを設定しておけば、あとはすべて全自動で行われます。パソコンを立ち上げたときに自動的にアプリケーションも起動するようにしておいても良いでしょう

例えば特定のフォルダにあるファイルのアイコンをコピーしてもControlCにアップロードされるのはファイル名のみになります。ただ個々のデータにはそれぞれコメント機能が実装されており、ControlCの管理ページからコメントを付け加えることができます。画像やビデオもURLをコピーすれば、自動的に画像付きのデータをControlCへ保管することが出来ます。例えばYouTubeのURLをコピーすれば、ビデオのキャプチャが表示されます。画像のコピーは右クリックメニューにある「画像のアドレスのコピー」を選択するとサムネイル付きで表示されます。URLをコピーすれば自動的にサムネイルも生成されるので、ブックマークするほどではないが、後でもう一度見たいというページを残しておく場所としても使えます。

ControlCの管理画面からアップロードされたデータを編集したり削除することができます。左にあるナビゲーションを使ってデータを絞り込むことも可能です

公開されているクリップボード一覧。他のユーザーがコメントを残したり星マークを付けることができます。公開クリップボードのみRSS購読が可能です

クリップされたデータにコメントを残すことができます。簡単な装飾ができるようになっているだけでなく、コメント欄に画像を貼付けることもできます

ControlCが立ち上がっている間にクリップボードに保管されたデータは、すべてアップロードされます。このデータはプライベートデータとしてサーバーに残るので自分以外誰も見られませんし、あとで削除したり内容を変更することができます。ControlCの管理画面に検索機能はありますが、重要なクリップボードのデータに星マークを付けてレイティングし、「My Starred」で絞り込めば、必要な情報を素早く確認することができるでしょう。プライベートデータも「Public」にすることで全体公開にすることができます。これで他のユーザーが公開しているデータを閲覧したり、友達リストに加えて自分のページから友達のクリップボードを追いかけることができます。公開されているデータはRSSで購読することも可能なので、クリップボードに保管したデータを携帯電話で再利用するといったことも難しくありません。

無料版では30日間のみ保管されるデータも、有料版では6ヶ月あたり20ドルの料金を支払うことで、長期保管できます。また、ControlCに保管したデータを書き出したり、外部データを読み込むこともできるようになります

ControlCはデータをインプットする手間を"Ctrl+C"という誰でも使っている操作と組み合わせることによって敷居を低くすることに成功しているサービスです。日々コピーしているデータは、コメントなどを付け加えることで、より価値のある情報になる可能性を秘めているといえるでしょう。