前回は、ATTAZoo AIOCRパックの全体像と料金の考え方を紹介しました。今回は、以下の前後工程の運用に焦点を当て、現場で回すためのコツをお伝えします。

(1)SmartReadのテンプレート設計
(2)割り振り~確認~CSV出力

ATTAZoo AIOCRパックはクラウドサービスのSmartReadと連携するシステムであるため、書類を読み取る入り口となるSmartReadの設定が重要になります。

精度はテンプレートで決まる:「読ませ方」の設計が最重要

SmartReadのテンプレート編集画面では、帳票画像の上に緑色の抽出エリアをマウス操作で配置し、フィールド種別(シングルライン・マルチライン・チェックボックス・ボックスキャラクター)と出力する項目名を設定します。

型(数値・日付・時刻など)を適切に指定することで、データ化の精度を高めることができます。たとえば、数値として設定した型で「0」をアルファベットの「O」と間違えることはなくなります。

  • 抽出領域をドラッグ配置し、出力カラム名と型を指定する。現場で「読ませ方」を作れる編集画面である

    抽出領域をドラッグ配置し、出力カラム名と型を指定する。現場で「読ませ方」を作れる編集画面である

  • キャプション:別の様式の書類の例。データを読み取る場所、項目名(カラム名)、読み取ったデータの型などを指定していく

    キャプション:別の様式の書類の例。データを読み取る場所、項目名(カラム名)、読み取ったデータの型などを指定していく

テンプレート作成は「正しく読む」だけでなく、後工程に渡しやすい形に整える設計でもあります。例えば、kintone側のフィールド型(文字列・数値・日付など)と整合した出力カラム名・型を定義しておくと、自動生成される結果アプリがそのまま使いやすくなります。

OCR精度を落とす最大要因「傾き」補正と帳票設計で防ぐ

FAXや複合機スキャン由来の傾き・歪みは、精度低下の要因です。ATTAZoo AIOCRパックでは、汎用補正(傾き・縮尺・アスペクト比・平行四辺形)に加え、タイミングマーク補正を利用できます。

タイミングマーク補正は3点配置・サイズ・余白の規定があり、設計条件を満たせば、より安定した補正が期待できます。四隅のうちの3カ所に■がプリントされた帳票用紙を見たことがあると思いますが、あの3カ所の■は帳票の方向を示しており、方向を間違えずにOCRが文字を読み取る助けになります(QRコードの四隅のうちの3カ所に■があるのも方向を間違えないためという同じ理由です)。

このように、可能な限り帳票レイアウトの段階で補正しやすい設計にしておくと、運用が楽になります。

  • キャプション:取り込む書類を自社で指定できるのであれば、タイミングマークを使うのが良い。四隅のうち3点に4~20mmのマークを40mm以内で配置し、周囲5mm以上の余白を確保する

    キャプション:取り込む書類を自社で指定できるのであれば、タイミングマークを使うのが良い。四隅のうち3点に4~20mmのマークを40mm以内で配置し、周囲5mm以上の余白を確保する

OCRはここで止まる:割り振り・確認フローが“運用の要”

お仕事割り振りアプリは、取り込んだPDFファイルを自動登録し、担当者配分や進捗の見える化を行うハブです。メール添付や監視フォルダから入った帳票を、誰がいつ確認するか、どの結果アプリへ回すかをkintone内で完結させます。

  • キャプション:取り込みPDFファイルがkintone内のアプリに自動登録され、運用のハブとなる画面

    キャプション:取り込みPDFファイルがkintone内のアプリに自動登録され、運用のハブとなる画面

確認作業では、PDFファイル原票と結果を1画面で突合する結果確認アプリを使います。「紙とPCの往復」が消え、修正→確定が短時間で進みます。テレワーク環境でも、この1画面で業務を完結できるのは大きな利点です。

  • キャプション:PDFファイル(左)と抽出結果(右)を横並びで確認・修正する。突合せ作業の所要時間を短縮できる

    キャプション:PDFファイル(左)と抽出結果(右)を横並びで確認・修正する。突合せ作業の所要時間を短縮できる

最後の壁はCSV連携:基幹システムに渡す設計を自動化する

多くの職場では、kintoneの外にある会計・販売・顧客管理等の基幹システムへ、CSVでデータを渡すことが最終目標です。

ATTAZoo AIOCRパックの高機能ダウンローダーを使うと、列名変更・並び替え・固定値付与・保存先指定など、取り込み仕様に合わせた整形と自動出力までをkintone側で完結できます。例えば、毎日18時に監視フォルダへ整形済みCSVを自動保存→バッチで基幹取り込みという「自動化」も設計しやすくなります。

  • キャプション:列名・並び・固定値まで成形し、保存先を指定できる。Kintoneから会計ソフトなどの外部へ送り出す最終工程が高機能ダウンローダー

    キャプション:列名・並び・固定値まで成形し、保存先を指定できる。Kintoneから会計ソフトなどの外部へ送り出す最終工程が高機能ダウンローダー

まとめ:「紙を捨てられない現場」に効く、ATTAZooがハマる企業とは

ATTAZoo AIOCRパックは、kintoneを業務のハブとして使い、紙を完全には捨てられない現場に強くおすすめできます。現在、多くの職場が紙を捨てたいが捨てられないという条件に当てはまるでしょう。しかも、国税庁は帳簿の電子化を強く推奨しています。

SmartReadの高精度とkintone完結の運用、そしてCSVの最後の段階までをカバーする構成により、「現場で続く自動化」を小さく早く始められます。まずは1帳票から、次に割り振りとCSV自動出力を組み合わせて、現場の定常運用に落とし込んでください。

ただし、いくつかの制限もあります。

以下の条件に当てはまる場合は、回避するための工夫が必要でしょう。わからないときはベンダーやユーザーサポートに相談してみるといいでしょう。

  • メールから取り込めるのはPDFファイルのみ
  • IP制限やBasic認証(ログイン認証方式の一種)の環境には非対応→メールやAgent経由で受ける構成に変更が必要
  • テーブルは500行が上限→500行を超えるときは明細を分割して取り込み、後続で集計する
  • ページ内で取り込む明細表は1つだけ→複数の明細を含む書類はレイアウトを分けるかテンプレートを分割して対応