2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという「2050年カーボンニュートラル」が宣言された。2020年10月に菅義偉 首相が宣言した、脱炭素社会の実現を目指す目標だ。

この宣言を実現すべく、国内でさまざまな動きがある。例えば、CO2(二酸化炭素)を回収する、利用する、貯留するなどのCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)といった取り組みだ。CCUSに取り組む企業は増加しているという印象を受ける。

そんな中、海外に目を向けると、スウェーデンのClimeworksという企業がユニークなテクノロジーで、大気中のCO2を除去している。

では、このCimeworksはどのような取り組みを実施しているのか、今回は、そんな話題について紹介してみたいと思う。

ClimeworksのOrcaとは?

Climeworksとは、スウェーデンのベンチャー企業で、大気中のCO2を回収する装置を開発し、すでに稼働を開始している。

その装置の名は「Orca」。ファンが複数設置された大型のBox型の装置だ。以下の画像では、Orcaは、2段になっているように見受けられる。1段は人の身長から推定するに高さ2mくらい、ファンが12個設置されている。

  • Orca

    ClimeworksのOrca(出典:Climeworks)

では、OrcaがCO2を回収する技術、原理はどのようなものだろうか。

それは、ファンにより大気中の空気を取り込み、中央部のフィルターでCO2のみをキャッチする仕組みだ。

CO2以外の気体は、ファンにより大気へと放出される。フィルターに十分CO2が取り込まれたら、入り口を閉じファンを止めCO2を閉じ込める。その後フィルターを約100℃に加熱し、水にCO2に混ぜ、地中深くへと送り、岩石に溶け込ませ、長い年月を経て石灰化させるというもの。

このCO2を水に混ぜ、地中深くへ送り溶け込ませるのはCarbfixという企業の技術が使われているようだ。

  • Orca

    ClimeworksのOrcaの原理(出典:Climeworks)

このOrcaは、年間4,000トンのCO2を回収する能力があるという。

OrcaのCO2を回収する技術、原理についての動画がYoutubeで確認できるので、ぜひご覧いただきたい。

Climeworksの二酸化炭素回収装置、Orcaの動画(出典:Climeworks)

ちなみに、このCarbfixの技術について、少し言及しておきたい。

CO2を溶け込ませた水は、地下の岩石と反応。時間が経つにつれて、地中の岩石中のカルシウム、マグネシウム、鉄など元素は溶解したCO2と結合し、石灰化。何千年もの間、安定して保管できるという。

  • 石灰化した岩石

    Carbfixにより石灰化した岩石(出典:Carbfix)

Carbfixの動画もYoutubeで確認できるので、ぜひご覧いただきたい。

Carbfixの動画(出典:Orkuveita Reykjavíkur)

Climeworksのサブスクとは?

Climeworksは、サブスクでCO2の除去サービスを販売している。3つのプランがあり、意外と手軽な料金設定でCO2を除去してくれる。

  • サブスクサービス

    Climeworksのサブスク(出典:Climeworks)

このサービスはスウェーデンを中心としたサービスだろうが、ビジネスモデルとしては、ドンピシャではないが、おそらく日本でのJ-クレジットの制度に近いのではないだろうか。

J-クレジットとは、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として日本が認証する制度

J-クレジット創出者は、省エネ機器、再エネ、森林管理などでCO2の排出削減量や吸収量の増加につながる事業を実施している。一方、J-クレジット購入者は、事業によりCO2などの温室効果ガスを排出してしまうため、その排出量削減分をJ-クレジット創出者からクレジットとして購入するのだ。

例えば、CO2を削減したいクレジット購入者がCO2排出量削減分を、クレジット創出者であるClimeworksの力を借りて、サブスクを利用して購入し、CO2を削減してもらうイメージを持っていただくと理解するとわかりやすいだろう。

  • Jクレジット制度

    J-クレジット制度(出典:J-クレジット制度事務局)

いかがだっただろうか。2050年のカーボンニュートラル宣言。これを実現すべく、地球温暖化対策推進法の改正、グリーン成長戦略、エネルギー基本計画(現在第6次のパブリックコメント中)と枠組みも整い、そして各企業の動きも活発になっている印象がある。2050年のカーボンニュートラルな世界はどんな世界になっているだろうか。楽しみだ。