TrakItNowは、蚊が媒介する感染症の根絶を目指して、昆虫学者と協力し、最先端テクノロジーを駆使したスマート蚊取り器「Moskeet」を開発した。では、Moskeetとはどのようなものだろうか。何が期待できるのだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。

  • 病気を媒介するなど人間の天敵とも考えられる蚊。その対策に役立つスマート蚊取り機が開発されている

    病気を媒介するなど人間の天敵とも考えられる蚊。その対策に役立つスマート蚊取り機が開発されている

スマート蚊取り器「Moskeet」とは?

TrakItNowは、社会に大きなインパクトを与えるIoT技術の開発を目指す企業で、スマート蚊取り器のMoskeetを開発している。アメリカに本社を持つこの企業はインドでの事業にも力を入れており、途上国向けのIoTソリューションを展開している。

Moskeetを紹介する前に、驚くべき事実を紹介したい。読者の皆さんは、最も多くの人間を殺している動物をご存知だろうか。まず頭に思い浮かべるのは、サメか、ライオンか、はたまた人間かもしれない。

こんな記述がある。それが見られるのは、ビル・ゲイツ氏のブログ「GatesNotes」に掲載された「The deadliest animal in the world」だ。これは2014年に掲載された少し古い記事だが、この記事は当時、WHO(世界保健機関)やFAO(国際連合食糧農業機関)の統計に基づいて作成されたものだという。

それによると、なんと人間を最も多く殺している動物は「蚊」なのだという。その要因には、蚊が媒介するマラリアなどの感染症によって1年間に72万人以上の命が奪われていたという驚くべき事実がある。

  • 各生物が人間を死に至らしめる数を比較した図

    各生物が人間を死に至らしめる数を比較した図(出典:GatesNotes)

では、このような課題を解決するスマート蚊取り器とは、どのようなものだろうか。この蚊取り機はまず、リアルタイムかつ自律的に蚊を監視する。具体的には、光センサーと音声センサーを用いて、蚊によるはばたきの周波数を検知。その後、AIによってその周波数から蚊の性別・種類を特定し、その情報をリアルタイムでクラウドへと送信するのだ。その後は情報に基づき、複数の誘引物質とセンサーを活用して、蚊を捕獲。場所・蚊の性別・種類ごとにモスキートマップを作成する上に、病気発生に関するアラートも発信するという。

  • スマート蚊取り機「Moskeet」の例

    スマート蚊取り機「Moskeet」の例(出典:TrakItNow)

いかがだったろうか。TrakItNowは今後、さらなる未来に向けて次のようなテクノロジーの開発を目指しているという。1つ目は、蚊が持っている感染症の特定。そして2つ目は、蚊が媒介する既知および未知のウイルスの検知。彼らはこれをウィルスインテリジェンスと表現している。さらに3つ目には、ドローンによる蚊の幼虫やその発生場所の特定を挙げる。

このようなモスキートコントロールが可能になれば、先に紹介した「The Deadliest Animal in the World」において、ランキング1位の蚊が徐々に下位へ、もしくはランキング外へと移行する可能性が十分に考えられる。つまり、我々人類にとっての大きな課題の1つが解決されるかもしれないのだ。TrakItNowのMoskeetの開発はとても素晴らしい取り組みだ。