洋食器メーカーのニッコーは、捨てられる食器から生まれた肥料「BONEARTH(ボナース)」を開発。この肥料を使って野菜の栽培にも成功している。では、なぜニッコーは、食器由来の肥料を開発したのだろうか。そして、彼らはどのような取り組みを実施しているのだろうか。今回は、そんな話題について紹介したいと思う。

  • 食器由来の肥料「BONEARTH」

    食器由来の肥料「BONEARTH」(出典:ニッコー)

食器由来の肥料「BONEARTH」とは?

洋食器メーカーのニッコーは、捨てられる食器から生まれた肥料であるBONEARTHを開発した。では、BONEARTHとはどのようなものだろうか。

ニッコーが生産する食器用素材の1つに「NIKKO FINE BONE CHINA」というものがある。独自の製陶技術によってボーンアッシュの含有量を50%にまで高めた、気品あふれる純白色を最大の特長にもつ素材だ。

同社はまず、このNIKKO FINE BONE CHINAの原料である牛骨の灰に含まれるリン酸三カルシウムに着目。このリン酸三カルシウムが肥料として有効なことから、開発をスタートさせた。そして、肥料化してリサイクルする技術を確立し、約2年半の開発期間を経て、2022年3月にBONEARTHの発売が実現したという。

  • BONEARTHの肥料化とリサイクルのイメージ

    BONEARTHの肥料化とリサイクルのイメージ(出典:ニッコー)

そして今回、食器由来の肥料BONEARTHを使って、本格的に野菜の栽培を開始。第1弾として、ニッコーと同じく石川県白山市にある「中本農園」が取り組みに共感し、共同でトウモロコシの栽培を手掛け、収穫した。さらに、その食器由来の肥料BONEARTHで育てた約200本のトウモロコシを数量限定、期間限定で渋谷区富ヶ谷の「LOST AND FOUND TOKYO STORE」で販売を実施したという。

またBONEARTHを使用して育てたトウモロコシを使った、人気料理家・寺井幸也氏による夏のご馳走クッキング・ライブの配信も行っており、マーケティング活動にも力を入れている。

  • BONEARTHを使ったトウモロコシ栽培が行われた

    BONEARTHを使ったトウモロコシ栽培が行われた(出典:ニッコー)

いかがだったろうか。ニッコーでは、「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマに、「サーキュラーエコノミー(循環経済)」の原則に沿った取り組みを進めている。食器メーカーとして、製品づくりの段階から廃棄が出ない設計を考え、一度調達した資源が可能な限り社会の中で循環し続けるサーキュラー型のビジネスモデルへの変革を目指し、共創パートナーと共にさまざまなアプローチを検証していくという。とても素晴らしい。