2022年5月23日、福島県相馬市で空中発射型のロケットを開発するスタートアップが設立されたというプレスリリースが発表された。

そのスタートアップの名は、AstroX。では、AstoroXとはどのような企業なのか、今回は、そんな話題について触れたいと思う。

AstroXとは?

AstroXのCEOは、小田翔武氏。小田氏はArtistとして活躍しながらも、IT企業や美容エステサロンなど複数の事業を経営している凄腕の人物。小田氏は、幼少期から宇宙ビジネスに関わりたいという夢を持っていたという。

彼は、ロケットロンチサービス市場に関して、課題感を抱いている。それは、海外勢の台頭、つまり日本のロケット不足と国際情勢による打ち上げの延期や中止といった打ち上げタイミングの自由度の低下だ。

AstroXのロンチサービスを活用すれば、低価格で、任意のタイミングで、簡単に打ち上げができる世界を実現可能だという。また、技術顧問に千葉工業大学の和田豊教授も参画している。

  • CEOの小田翔武氏

    CEOの小田翔武氏(出典:AstroX)

では、AstroXはどのようなロンチサービスを検討しているのだろうか。

それは、気球で成層圏までロケットを放球しそこからロケットの空中発射を行うロックーン(Rockoon)方式で衛星軌道投入を行うもの。

以下のイメージ図をご覧いただきたい。確かに気球の下方にロケットが搭載されている様子がわかる。

  • AstroXのロンチサービスイメージ

    AstroXのロンチサービスイメージ(出典:AstroX)

現段階でのイメージ図と思うが、ロケットも黒色でデザイン性が高い。これまで、Virgin Orbitなど航空機を活用してロケットを空中発射するタイプのロンチサービスはあったが、気球による空中発射は、おそらく世界初ではないだろうか。

とても斬新な発想だ。これにより、地上のロンチパットでの気象条件に左右されることもなく、また軌道投入位置まで最短経路を選択しやすくなり、ロケットや衛星の燃料などを効率的に活用することができるようになるのだろう。また、気球で成層圏まで上昇させてからの空中発射というロックーン方式であるため、ロケットのロンチパッド特有な海沿いという選択肢を取らなくても安全面などで問題ない気もする。

いかがだっただろうか。とても興味深いロケットスタートアップが立ち上がった。AstroXは、「誰もが気軽に宇宙を使える未来」を創り、日本が宇宙開発のリーダーになる世界を目指すという。従来にはない斬新な発想がとても興味深いのは私だけだろうか。