神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトをご存知だろうか。

大学の研究室に所属していない学生でも宇宙エレベーターの開発に関われるように設立された神奈川大学のプロジェクトだ。彼らは、宇宙エレベーターの実現に必要なクライマー(昇降機)の研究開発を行なっている。

そして、そのクライマーがなんと時速100kmを達成した。この速度は世界最高の速度だという。今回は、神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトにフォーカスして、彼らの取り組みなどを紹介したいと思う。

神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトとは?

神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトをご存知だろうか?

2008年に設立された大学内のプロジェクトだ。その設立のコンセプトが素晴らしい。

大学の研究室に所属していない学生でも宇宙エレベーターの開発に関われるよう、神奈川大学の学生であれば、学部問わず1年生から大学院生まで誰でも参加できるという。

神奈川大学の横浜キャンパスに宇宙エレベータープロジェクトはあるのだが、その活動拠点には、3Dプリンタや3DCADソフトなど最新機器はもちろんのこと、フライス盤、旋盤、NC加工機もあり、とても設備が充実している。

また、同プロジェクトでは、機械・電子工学などの専門的な知識や卒業生や民間エンジニアの方との交流もでき、人材交流の面でも整っている。

  • 神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトの皆さん(出典:神奈川大学)

彼らは、宇宙エレベーターの実現に必要なクライマーの研究開発を行なっているのだが、彼らは、宇宙エレベーター協会が主催するSPEC×ROC(SPace Elevator Climber & RObotics Challenge)という競技会へ出場している。

世界最速時速100km達成!

テレビ朝日のスペシャル番組「発進! ミライクリエイター」の「宇宙スペシャル」という企画で、神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトが大活躍した。

それは、神奈川大学の宇宙エレベーターのクライマーが世界最速となる時速100kmを達成したということ。

この時速100kmを叩き出した宇宙エレベーターのクライマーは、全長660mm・全幅280mm・重さ9.21kg。

ウレタンゴム製のローラーをベルトに挟み、回転させ上昇させる仕組みで、速度はコンピュータで制御し、下降時も自動で速度を調整することができるものだ。

プレスリリースにも他の記事にも使用された機体の詳細には記載されていないようだが、この時速100kmを達成した神奈川大学の宇宙エレベーターのクライマーは、同大学が開発した「KUSEP-5S」というタイプと類似している。

  • 「KUSEP-5S」

    神奈川大学の宇宙エレベーターのクライマー「KUSEP-5S」(出典:神奈川大学)

また、実際のKUSEP-5Sの昇降実験の様子も動画で確認することができる。思った以上に速いスピードであることを是非読者のみなさんもご確認いただきたい。

2021年9月10日に行われたKUSEP-5Sの昇降実験の動画

いかがだっただろうか。神奈川大学の宇宙エレベータープロジェクトでは、今後、時速200kmを目指して開発を進め、実用化に向けて改良を重ねていくという。とても清々しい気持ちにさせていただいた素晴らしいプロジェクトだ!