HHKBはPFUが開発した高性能でシンプルな大人気キーボードだ。プログラマーやエンジニアに支持されている。しかし、高級キーボードとしては物理的な高級感が不足していると感じられる場合がある。軽量設計による重量感不足や、グリップ力の低さなどが主な原因だ。
そこで、本連載ではHHKBの高級感をアップするためのカスタマイズ方法を紹介していく。
プロフェッショナルに選ばれる「Happy Hacking Keyboard」
大量のキー入力を行うユーザーが一度は検討する、または、長期にわたって愛用するキーボードに「Happy Hacking Keyboard」(以下、HHKB)がある。
HHKBは日本のPFUによって開発されたコンパクトで高性能なキーボードシリーズだ。削ぎ落とされたシンプルなレイアウトで、その哲学とこだわりは多くのユーザーを魅了している。キーの配置はカーソルキーやファンクションキーが省略されており、すべての操作がキーボード上で完結するため手を移動する回数が少なくて済む。
そのため、HHKBは特にプログラマーやエンジニアなど、キー入力の精度と効率を重視するユーザー層に支持されている。一度使い始めると手放せないキーボード、それがHHKBだ。
2つのシリーズ「Studio」と「Professional」を展開
HHKBの現行シリーズは「HHKB Studio」と「HHKB Professional」の2つだ。HHKB Studioについては、次の記事でまとめているので参考にしてもらえたらうれしい。
もう一つのシリーズであるHHKB Professionalには、「HYBRID」「HYBRID Type-S」「Classic」の3モデルが用意されている。これらのモデルは静電容量無接点方式を採用しており、キーの反応が速く、耐久性に優れている。入力時の快適さと安定した打鍵感が得られることから長時間の作業でも疲労が少ないと評価されている。Type-Sモデルは打鍵音が抑えられているため、静かな環境での利用にも適している。
長寿命モデルは20年以上
PFUは1996年に初代の「Happy Hacking Keyboard」を販売する。初代はメンブレンスイッチを搭載している。
2003年には東プレの静電容量無接点方式を採用した「Happy Hacking Keyboard Professional」が登場する。2006年には「Happy Hacking Keyboard Professional 2」が、2011年には「Happy Hacking Keyboard Professional Type-S」が登場する。2019年にはラインアップを整理して、現在の「HYBRID」「HYBRID Type-S」「Classic」が登場する。そして2023年には、本稿執筆時点で最新版となる「HHKB Studio」が販売された。
PFUは20年以上静電容量無接点方式を採用したHHKBを販売していることになる。静電容量無接点方式を採用したキーボードは比較的寿命が長い。10年以上同じHHKBを使っているというユーザーも珍しくない。
HHKBは高級キーボードだけど、なんかおもちゃっぽい
HHKBは高級キーボードだ。決して廉価ではない。しかし、他の高級キーボードを使っている方であれば思ったことがあるはずだ。「価格の割に、HHKBはおもちゃっぽい」と。決して打鍵感が安っぽいというわけではなく、価格に対してなぜか物理的なキーボードとしての高級感がそれほどないような気がする。
他の高級キーボードと比較することで、理由が見えてくる。特に、以下がHHKBの「おもちゃ感」を出している原因ではないかと考えられる。
軽量な設計による重量感の不足
HHKBは持ち運びを考慮して非常に軽量に設計されている。一方、テンキーレスキーボードおよびそれ以上のサイズの高級キーボードは、内部に鉄板を内蔵していたり、筐体に金属が使われていたりと、マテリアルとしての重厚感と堅牢感を持っている。
このため、他の高級キーボードに見られるような重厚な質感や安定感を求めるユーザーにはHHKBは物足りなさを感じさせることがある。REALFORCEや他の重量級キーボードと比べると、HHKBの軽量さはその独自の魅力なのだが、デスク上での存在感や打鍵時の安定性を好むユーザーにとっては高級感が不足していると評価されてしまう。
デスクトップ上でのグリップ不足による滑りやすさ
HHKBは軽量で持ち運びに適した設計である一方、デスクトップに置いた際に滑りやすく、他の高級キーボードと比べて安定感が不足していると感じられることがある。
多くの高級キーボードはデスクに置くとしっかりと固定される。置いたときに高級さを感じるのだ。一方、HHKBは軽量であることに加え、他の高級キーボードと比べるとグリップ力が弱い。デスクに置いても前後左右に簡単に場所をずらすことができる。これが高級感を欠く要因の一つとなっている。
プラスチック製キートップによる触感の差異
HHKBのキートップには耐久性のあるプラスチックが採用されている。金属製キートップや特殊な加工を施したキートップと比べると、触った際の質感や高級感で見劣りすることがある。
金属製の冷たさや滑らかな質感を期待するユーザーは、プラスチックの触感に物足りなさを感じることがある。キートップの素材は手に触れる頻度が高いため、質感が高級感に直結しやすい点で、他の高級キーボードに対して見劣りすると捉えられる。
シンプルなデザインによる豪華さの不足
HHKBはミニマルで無駄のない設計が特徴であり、それがプロフェッショナルユーザーに支持されている理由の一つだ。しかし、他の高級キーボードでは装飾的なデザインや特別な仕上げによって豪華さを演出していることが多く、デスク上での存在感を重視するユーザーにはHHKBのシンプルさが高級感を欠くと感じられることがある。
装飾や細部のデザインにこだわることで高級感を表現するキーボードと比べ、HHKBはあえてその要素を省き、機能美に徹しているため、一見した際の見た目の豪華さでは他のモデルに見劣りする場合がある。