ここまで、Google WorkspaceとGeminiのサイドパネルを使って実現できるさまざまな機能について説明してきましたが、文章を作成したり、長い文章やデータを要約・分析したりするのには非常に便利であることが理解できたかと思います。→過去の「Google Workspaceをビジネスで活用する」の回はこちらを参照。
しかし、Google WorkspaceとGeminiにもう1つ、ツールを追加することで高い利便性を実現できるものがあり、それは「文字起こし」ができるツールです。
「Googleドキュメント」でも「Google Meet」でもない文字起こしの方法
Google Workspaceで文字起こしと言えば「Googleドキュメント」の音声入力が思い起こされるところですが、句読点や改行などの入力は指示が必要なことから文字起こしに適していない部分もあります。
また「Google Meet」にも文字起こし機能があるのですが、こちらは現状で正確な文字起こしができるのは英語のみとなっています。
ただ、最近では文字起こしができるスマートフォンやボイスレコーダーも増えており、別途そうした文字起こしツールを用意してGoogle WorkspaceとGeminiを組み合わせれば、講演や会議などの大まかな内容を把握し、レポートを作成するのにとても役立ちます。
その一例として、筆者の最近の活用事例を紹介してみましょう。実は筆者は先日、米国でスマートフォンの発表イベントの取材をしたのですが、当然のことながら米国でのカンファレンスはすべて英語で実施されるため、英語ができない筆者には内容を把握することができません。
それでも筆者はイベントの記事を執筆する必要があることから、英語の文字起こしができるスマートフォンとGoogle Workspaceを活用することにしました。中でもGoogle Workspaceと相性が良いのは、同じGoogleが提供する「Pixel」シリーズのスマートフォンです。
Pixelシリーズには、AIで文字起こしができるボイスレコーダーが標準で搭載されており、インターネット接続不要で、録音しながら英語や日本語など多くの言語をリアルタイムで文字起こしすることが可能です。
しかもPixelシリーズはGoogle製ということもあって、このボイスレコーダーはGoogleドキュメントとの連携も可能です。
実際スマートフォン上で録音した音声を選んだ後、メニューボタンをタップして「文字起こしをGoogleドキュメントにコピーします」を選ぶと、文字起こししたテキストをGoogleドキュメントにファイルとして保存することが可能です。
あとはGoogleドキュメントでコピーされたファイルを選び、Geminiのサイドパネルを呼び出せば、録音した内容の概要を確認できてしまいます。英語の文章であっても要約は日本語で表示してくれるので、大まかにどんなことを話していたのかを、すぐ把握できるのは大きなメリットです。
翻訳ツールで日本語に翻訳
もちろん、このままでは本文が英文のままですが、Googleドキュメントには翻訳ツールも備わっているので、日本語に翻訳すれば詳細な内容も把握できるようになります。具体的にはメニューの「ツール」から「ドキュメントの翻訳機能」を選びます。
ダイアログが現れたら、翻訳した新しいドキュメントのファイル名と翻訳する言語、今回の場合は日本語を選んで「翻訳」をクリックします。
すると日本語に翻訳された新しい文書ファイルが開き、日本語で内容を確認できるようになります。
文字起こしの品質は録音した音声によって左右される部分も大きく、さらに翻訳をかけているだけあって精度は完全とはいかないことから、正確な内容を把握するには元の音声の確認も求められるのですが、大まかな英語の文字起こしをわずかこれだけの操作で実現できるのですから、非常に便利であることは間違いありません。
もちろん、日本語であれば翻訳は不要ですので、文字起こしした内容を要約するだけで全体像を把握できることから、講演だけでなく会議のまとめなどをする際にもとても役立つのではないでしょうか。
このように、Google Workspaceにツールを1つ加えるだけで、利便性が大きく広がることはぜひ覚えておきたいところです。