NotebookLMは、蓄積したノートや資料をもとに短時間で動画を生成できる高機能ツールだ。テキスト要約、合成音声、視覚素材生成を統合し、従来多くの工程を要した動画制作を一つのインタフェースで完結させることができる。今回は、動画生成の方法を紹介しよう。

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NotebookLMには動画生成機能がある

NotebookLMには動画生成機能がある。蓄積したノートや各種資料をもとに、短時間で説明動画や教材用クリップを作成できる機能だ。この機能はテキスト要約・話者音声の自動生成・視覚素材の生成を統合し、ユーザーの指示に応じて最適な映像を組み立てるという特徴がある。これにより、動画編集スキルがなくとも、資料さえ用意すれば専門性の高い解説映像を制作できる。

動画生成機能は、NotebookLM内部に保存されたノート内容を中心に構成されるため、作業フローはとても単純だ。従来の動画制作では、台本作成・ナレーション収録・素材探し・編集と多数の工程が必要だったが、NotebookLMはこれらを一つのインタフェースで完結できるように設計されている。この統合設計が、制作の効率化と品質の一定化に寄与している。

また、生成された動画は学習教材、業務マニュアル、講義ダイジェスト、研究発表の予備資料など、幅広い用途に応用できる。コンテンツを文章としてまとめる時間はあっても動画化まで手が回らない教育者・研究者・ビジネスパーソンにとって、強力なサポートとなる機能だ。NotebookLMが持つ知識整理能力とメディア生成能力が統合されることで、新しい表現の可能性が広がる。

基本的な動画生成の手順

NotebookLMで動画を生成する際の第一歩は、動画のもととなるノートや資料を明確に選定することだ。NotebookLMは入力文書をベースに内容を構成するため、動画にしたいポイントやテーマが整理されたノートを用意しておくと、生成結果の精度が高まる。特に、章立てや箇条書きで構造化されたノートは動画化に適している。

  • Google NotebookLM

    Google NotebookLM

資料の準備が整ったら、NotebookLMの生成メニューから「動画解説」を選ぶ。システムはノート全体を解析し、動画の候補構成・想定ナレーション・必要な視覚要素を自動で提案する。ユーザーはこの提案を確認し、必要に応じて説明の順序や重点事項を調整できる。これにより、台本作成にかかる時間が大幅に短縮される。

  • NotebookLMでソースの準備ができたら「動画解説」をクリック

    NotebookLMでソースの準備ができたら「動画解説」をクリック

  • NotebookLMによる動画生成中のようす

    NotebookLMによる動画生成中の様子

さらに、ナレーションについては、説明のフォーマットや出力言語、動画のスタイルを指定し、あわせて「やさしく解説してほしい」「専門家として簡潔に説明してほしい」といったプロンプトを与えることで、話しぶりの雰囲気をある程度コントロールできる。各種選択やプロンプトは、「動画解説」のペンのアイコンから表示させることができる。

NotebookLM側ではナレーション音声が自動生成され、生成後の動画プレーヤーで再生速度を変更できるため、視聴環境や学習目的に合わせて聞き取りやすいテンポに調整できる。このように、専用の音声編集スキルがなくても、基本設定とテキスト指示の組み合わせによって、用途に応じた動画表現を実現できる。

  • NotebookLMによって生成された解説動画

    NotebookLMによって生成された解説動画

最後に、生成プレビューを確認し、必要であれば修正を加えて動画を出力する。

NotebookLMは複数パターンの映像や構成案を再生成することができるため、試行錯誤しながら理想に近い動画を作り上げることが容易だ。この反復的な生成プロセスが、非専門家にも扱いやすい動画制作環境を実現している。

動画構成を洗練させるための編集ポイント

NotebookLMの提案する動画構成は自動生成だが、より説得力のある映像に仕上げるにはいくつかの編集ポイントを押さえる必要がある。まず重要なことは「伝えたい主題の一本化」だ。ノートには多くの情報が含まれていることが多いが、動画として提示する場合は、中心テーマが明確であるほど理解しやすい。ユーザーは生成された構成案を見ながら、焦点を外れた情報を削る判断を行うべきだ。

次に、視覚素材の調整が挙げられる。NotebookLMはスライド風の要素や図表風のイラストを自動生成するが、必要に応じて素材の表示時間や順序を微調整すると、動画全体の流れが滑らかになる。説明が長めの箇所では、視覚素材を増やすことで視聴者の集中を維持しやすい。

  • NotebookLMによって生成された解説動画

    NotebookLMによって生成された解説動画

ナレーションは、音声のリズムや抑揚が動画の印象を左右する。合成音声であっても、話速やトーンを調整することで専門性、親しみやすさ、学習向けの落ち着いた雰囲気などを演出できる。NotebookLMはプレビュー再生が容易なため、何度か聴き比べ、コンテンツの目的に最適な設定を選ぶことが望ましい。

さらに、章の切れ目やポイントの強調など、構造を示す工夫も有効だ。NotebookLMで生成された動画は、ユーザーの指示に応じて区切りのアニメーションや要点強調の表示を挿入できる。情報のまとまりを視覚的に提示することで、視聴者は内容を把握しやすくなり、動画全体の完成度が高まる。

応用的な活用例と運用のコツ

NotebookLMの動画生成機能は、ビジネス分野なら、マニュアルや新人研修の導入コンテンツとして活用できる。従来は文章中心だった手順書を動画化することで、理解のスピードと定着率が向上する。特に、製品説明やサービス工程をわかりやすく示す必要がある部署では、NotebookLMの動画生成機能が大いに役立つ。

研究や発表準備においては、論文やスライドの内容を動画としてまとめることで、学会ポスターや発表の「概要紹介動画」を素早く作れる。これにより、視聴者が内容を理解しやすくなり、研究の発信効果が高まる。短時間で複数パターンを生成できるため、発表形式に応じて最適な映像を選択可能だ。

教育現場なら、eラーニング教材の作成に有効だ。講義ノートを入力し、要点を整理した動画を作れば、学生の予習・復習を支援できる。講師は複雑な編集を行わずに講義のエッセンスを短時間で映像化できるため、教材の更新頻度を高めることも可能だ。

最後に、運用のコツとして、NotebookLMに入力するノートを常に整理しておくことが重要だ。情報が構造化されていれば、動画生成の質が向上し、修正も少なく済む。NotebookLMは生成機能と整理機能が密接に連動しているため、普段からノートを整えておくことが、最終的に高品質な動画制作につながる。

NotebookLM基本機能から運用最適化へ:活用フローを構築する

これまで6回にわたりGoogle NotebookLMの基本的な機能を取り上げてきた。NotebookLMがもたらす情報整理の力は、これまでは自動化したくてもできない、どうしても人手がかかるところに効いてくる。これからはNotebookLMを使うかどうか、という判断ではなく、NotebookLMをいかにして使い尽くすか、これが重要になってくる。

NotebookLMを使い始めた当初は、このサービスがもたらす恩恵そのものに驚くところだが、この機能が当たり前になったあとは、どのように作業すればNotebookLMの力をフルに発揮させ、そこからの恩恵を得ることができるかに焦点を移していこう。

素材となる動画や収録音声、テキストデータなどをどうやって収集し、それをどうやってNotebookLMに持ってくるのか、さらにそうしたデータはどうやって管理するのか。Google Driveや組織における業務フローも含めた最適化が求められる。NotebookLMはデータストアやデータ分析プラットフォームとしても活用していくことができる。仕事や学業に適用できる幅はとても広い。

最初は、本連載で取り上げてきたようにNotebookLMの基本機能をきちんと使うところからはじめよう。次のステップはいかにスムーズにNotebookLMを使い続けるフローを確立できるかにある。NotebookLMを使いこなし、業務の自動化や改善を実現していこう。

参考