原口 豊(はらぐち・ゆたか)
大手証券会社システム部に在籍後、1998年ベイテックシステムズを設立し社長就任。2008年に、いち早くクラウドコンピューティングの可能性に注目し、サービスの提供を開始、GoogleAppsの導入サポート実績はこれまで250社以上。「サテライト・オフィス」ブランドで多数のテンプレートを無償提供するなど、GoogleAppsの普及に尽力。GoogleEnterprise Day 2009ではパートナーアワードを受賞した。
![]()
Felicaによる2重認証が可能なシングルサインオン
ベイテックシステムズの代表取締役社長を務める原口氏は、「Google Appsのセキュリティ関連について最も問い合わせが多いのは、やはりActive Directoryと連携したシングルサインオン機能ですね」と語る。
本連載第3回ではシングルサインオンの概要を紹介したが、同社はこうした基本機能だけでなく、Felicaによる2重認証機能を提供している。
これは、Active DirectoryもしくはOpen LDAPによって認証を行うと同時に、登録済みのFelicaを使って2重認証を行うというもの。ディレクトリ認証とハードウェアによる認証を組み合わせることで、企業のセキュリティを一段と向上できるわけだ。
|
Active Directory/Open LDAPと連携したシングルサインオン機能の仕組み |
このシステムを使えば、社内のアカウント管理システムとFelicaによる2重認証も可能になる。原口氏によると、Felicaだけでなく、指紋認証や手のひら認証のアドインを追加する予定もあるという。
メールの自動暗号化・開封通知・リコールを実現
ビジネスに必要不可欠な存在ながら、情報漏洩やウイルス感染といったセキュリティの脅威をはらんでいるのが電子メールだ。同社ではGoogle Appsのメールについて、自動暗号化・開封通知・リコール(誤送信取り消し)に関するソリューションである。
このソリューションは同社がZenlokと共同で開発したもので、自動暗号化に関してはAES 256(共通鍵)とPKI(公開鍵)のメリットを持つ暗号化方式を採用。公開鍵や秘密鍵の作成・保管といった手間をかけることなく、メール本文と添付ファイルの暗号化が可能となっている。
開封通知については、受信者がZipパスワードを復号化した際にZenlokのサーバから開封確認メールが届くほか、メール送信のたびに概要が記載された送信確認メールを受信できるため、送信忘れや不着によるトラブルを防止。
さらに、相手が受信済みのメールでも開封をブロックできるリコール機能は「見積書の送付先を間違えた!」といった場合にも役立ってくれる。このソリューションは1アカウント当たり月額200円と低価格な点も魅力だ。
Felicaによるパソコンロックで不正な操作を防止
同社では、Google AppsとFelicaを使った遠隔パソコンロック機能も提供している。これは悪意ある第三者によるPCの操作を防ぐもので、会社の入口などに設置したリーダーへFelicaをかざすと、容易に自分のPCをロックすることができる。管理者であれば、Google Apps経由で遠隔地からのロックやシャットダウン操作が可能だ。
Google AppsとFelicaによる遠隔パソコンロック機能の仕組み |
このソリューションのポイントは、昼休みなどちょっとした外出時でもセキュリティを確保できる点だ。また、Google AppsとFelicaを利用したタイムカード・勤怠管理機能との連携が可能なため、退社時にPCをシャットダウンさせることで、電源の消し忘れ防止や省エネ対策といった用途にも便利だろう。
認証にはSuica/PASMO/Edyをはじめ、携帯端末のICカードや社員証などのFelicaタイプならばどれでも利用できる。しかもソフトウェアと維持費が無料で、独自アプリケーションによるロックが必要な場合も有償で対応してくれる。
そのほか同社は、Postiniを利用したメールのアーカイブサービスやGoogleサイトの定期的なバックアップサービスなども提供している。こちらはセキュリティよりもディザスタリカバリ寄りのソリューションとなるが、企業経営のリスク低減という意味合いで併用を考えてみても良いだろう。
お知らせ
ベイテックシステムズは4月21日にを開催します。 残念ながら満席のため、今から参加申し込みを受け付けることはできませんが、当日の様子をTwitterでお届けします。当日、GoogleAppsに関する質問を受け付け、可能な限り、お答えします(すべての質問にお答えできない場合もあります。その際はご容赦ください)。 Twitterのアカウントはにです。GoogleAppsに興味がある方はぜひ、ツイートしてください!
