読者の皆様はじめまして。ソフトウェア開発会社タンジェリンの代表取締役を務める藤城さつきです。
在宅作業による技術提供を行うために立ち上げた当社ですが、早いもので3年目に入りました。振り返ると山あり谷あり……安らかではない日々の連続で、赤字も出せば病気で入院もしましたが(笑)、最近ようやくこんな生活に慣れてきました。

今もなお試行錯誤の新米社長である私が、「どうして起業しようと思い立ったのか?」、「起業する前や起業してからどのような点で苦労したり困ったりしたのか?」など、起業にまつわる真面目なお話に愛猫達との日常生活の話を交えながら、ゆる~くお話していきたいと思います。

もっとも、私の話は「資本金1,000万で起業! 一部上場を目指すぞ!」といったエネルギッシュな起業(?)を希望されている方には、がっかりする話が多いかもしれません。また、私の経営の仕方があまりにも素人すぎて、読んでいてイライラされる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし恥を承知で、私がタンジェリンを経営するありのままの姿を見ていただくことで、起業という選択が「幸せな働き方なのか?」、「苦労の連続なのか?」など、さまざまに感じていただけたらと思います。これからしばらくのお付き合い、どうぞよろしくお願いします。

関東在住の地の利を生かして在宅労働の供給にトライ

初回ということで、まずはタンジェリンについて簡単に説明します。当社は2007年の4月に代表取締役である私1人の株式会社としてひっそりと設立しました。設立以来、検索などによって当社を知った方々が技術者登録をしてくださり、現在では250名以上の技術者が在籍しています。

設立以来、在宅作業による技術供給にこだわってきましたが、個人情報保護法やJ-SOX法が施行された時は、世の中は在宅作業という選択肢を完全に潰してしまうのでは?と思うほどに向かい風でした。というのも、「社内ルールに従うと仕事を渡せなくなってしまった」というクライアントが出てきたからです。そんな逆風の中でおでこ全開だったとしても"在宅の技術者による技術供給"にこだわった理由が私にはありました。

私が在宅で働くようになったきっかけなどの詳細は次回以降に譲りますが、結果として5年間の在宅プログラマー会社員という経験を経て、まずはフリーランスになりました。その時に手に負えない量や種類の仕事を手伝ってくれる方がいないかと人材を探してみたところ、それまで関東でしか働いたことがなかった私は"IT系の仕事の大半は東京に集中している"という事実を今さらながら実感しました。

そしてちょうど同じ頃、eパウダ~という、IT業界で働く女性のためのコミュニティの女性達とお話をする機会があり、働く女性達の中にも「いつかは在宅で働きたい」と思っている方が少なからずいることを知りました。

そのような機会から、「世の中には在宅で働きたくても供給元が地元にない技術者がたくさんいる」、「常に都内で働ける私は仕事をいただく上でとても恵まれている」という事実を知り、自分が在宅で働くことを考える前に、都内に住む自分がクライアントとのパイプ役をしながら、在宅でも信頼してもらえる組織を作ることに力を入れてみようと思い立ったのでした。

しかし……、会社に在籍していた頃の私はSEというよりプログラマーとしての作業のほうが多く、お客様と直接接する機会もあまりありませんでした。つまり、会社員時代にはコネらしいコネを作る機会があまりなかったということです。慎重な方なら「そんな無謀な状態で起業なんてしないよ」とおっしゃるのではないでしょうか? でも私はしてしまいました(汗)。そんな無謀な私のほぼゼロからの出発から現在に至るまでをこれから詳しくお話していきます。次回以降も、ぜひ楽しみにしてください!

ネコとシゴトとワタシ

        
          

里親のところで兄弟と一緒にいる長男猫。引っ込み思案な様子は"でーんっ"と成長した今も少し面影が(笑)

在宅勤務の最たるメリットは家族と過ごす時間を増やせることだと思います。現在、2頭の猫と暮らしているのですが、フリーランスとして在宅勤務を始めた年の秋、捨て猫掲示板で知り合った里親さんから最初の猫を迎えました。右上のグレーの猫が拙宅の愛猫です。
猫との生活はずっと憧れだったのですが「買う」のではない運命的な出会いを待ち続けていました。夫の反対もあって諦めかけていた頃、運命が訪れました。「小さいくてちょこまかしたのは苦手なんだ。」と言って猛反対していた夫が仔猫を見た瞬間に猫バカに豹変!!(笑) 満場一致(と言っても2名ですが)で、このグレーの雑種の仔猫を家族として迎え入れることが決まりました。
「猫はクールだし勝手気ままな動物だからラク」――そんな話を聞いたことがありましたが、真実は……。次回以降、仕事の変遷と猫の成長を重ねて、同時期に起こった事件などもお話していく予定です。こちらもよろしくお願いします。

執筆者プロフィール

    
   

藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
在宅勤務に重点を置き、全国各地の技術者やデザイナー(在籍250名以上)を臨機応変にチーム編成しながら、豊富な質と量の技術力を提供する。今のところ、在宅勤務に対する障害・偏見は多いが、今の日本人にとって絶対に必要なワークスタイルの1つと信じて日々邁進中。
一方、会社員時代に設立した、コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方についても日々模索中。旦那1頭と兄弟猫2頭の4頭家族。