昨年夏にICT支援員の資格を取得しました。ただ、企業に勤めている都合上リアルに支援できません。そこで、夜な夜な教育の未来を考えみることにしました。最初は、「デジタルスクール」というテーマを思いつき、「小さな机にパソコンを置くとほかに教材やノートが置けないなぁ……ならば『デスクトランスフォーメイション(DX)だ』」と思っていました(ダジャレ)。
そして、「学校の教室ではWeb会議がやりにくいんだよね」と考えていると、メタバースでの会議があるじゃないかと思いつきました。そこで今回は、最近はやりのメタバースを使った「教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現」できないか、夜な夜な考えてみました。
教育現場の課題、Web会議の限界
教育現場の課題としてよく取り上げられるのが、オンライン授業です。さまざまなアンケート結果からも、利用されていない様子がうかがえます。それは、なぜでしょうか。
まず、実際にやってみようとすると、機材や使い方に関する知識と慣れが必要です。加えて、企業が行うWeb会議とは異なり、先生の音声品質や黒板を映す画角や明かりとの調整、生徒とのコミュニケーション、通信量増大など、検討する事柄がとにかく多すぎます。こうした課題から、パソコンが生徒に行き渡ってもなかなか使われない状況があるのです。
オンライン授業は、Web会議ツールを用いて行われます。リアルで相手の顔を見ながら、資料を共有し、距離も(移動)時間も超越するというのがWeb会議です。現在多く使われているWebexやZoomのようなWeb会議ツールの多くは、同時に発言するとうまく聞こえなかったり、全員の顔のみが格子の中に機械的に並んでしまい監獄のようだったり、映像オフで内職したり、特定話者のみ音量が小さかったりします。
言ってみれば、これらWeb会議ツールは単に「接続する」だけなのかもしれません。教育現場で使われている、大型画面を有するテレビ会議システムでは、近い人が画面からはみ出したり、顔が小さかったり相手の様子がわかりにくくなったりしがちです。つまり、臨場感のようなものが感じられません(最近は自動的に話者にズームアップできるものもありますが)。
メタバース(Metaverse)に注目
そこで、注目したいのが「メタバース(Metaverse)」です。ご存じの方も多いと思いますが、メタバースは「メタ」=超越、と「ユニバース」の合成語です。Wikipediaによると、「メタバース (英: Metaverse) は、コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指す」とのことです。そのため、仮想的な街でアバターとなった自分が、売り買いしたり、体験したりするイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
最近のトピックを紹介すると、「フェイスブック(Facebook)」の「Meta Platforms」(通称:Metaへの社名変更)があります。同社は、これまでのSNSを中心としたビジネスモデルについて、メタバース(仮想空間)を使ったビジネスへ拡張する方針を打ち出しています。コミュニケーションの3D空間への拡大です。
メタバースの利用例
仮想空間でのサービスを考えてみると、やはりゲームジャンルが多いようです。「Fortnite(フォートナイト)」や「Roblox(ロブロックス)」や、任天堂の「あつまれ どうぶつの森」も仮想空間を提供しています。これらのゲームは主に2次元の画面上に展開されています。これらゲームとは異なり、メタバース空間では、いわゆるゴーグルを装着して「3D空間」を提供しようとしています。
メタバースはイベントやビジネス(商取引)以外に、コミュニケーションツールとして利用することが注目されています。Meta社からそんなジャンルのサービスとして、仮想空間でのバーチャル会議室サービス「Horizon Workrooms」が提供されています。
その大きな特徴は、メタバースの仮想環境の中にアバターとなって参加すること。現実にできている(感じている)ことの多くがその中で再現されています。以下、機能をまとめてみました。
「Horizon Workrooms」で利用できるヘッドセット(ゴーグル)「Meta Quest 2(Oculus Quest 2)」には、四隅に広角カメラが内蔵されており、指の動きや腕を真上にあげる動作までアバターで再現できます。また、内部センサーが発する音声から口の動きまで再現し、表情豊かなアバターになっています。CPUに「Qualcomm Snapdragon XR2」を採用し、まるでスマホそのものです。