freeeは7月12日、五反田本社オフィスにて、同社のITエンジニア職の社員が現役高校生にプログラミングを教える授業を実施した。荒川工業高等学校 情報技術科の生徒7名が参加し、通常の授業とは異なるグループワーク形式で実践的なプログラミングを学んだ。実際に授業を見学したので、その様子をお届けしたい。

プログラミング授業の前に、生徒たちはfreeeのオフィスを見て回り、エンジニアをはじめとする同社の社員がどういった仕事をしているのかを見学した。生徒たちは熱心に質問を繰り返し、「デスクにへばりついて黙々と業務を進め、残業が多い過酷な職業」と、エンジニアに対して漠然と抱いていたイメージを払拭していた。

  • freeeのオフィスを見学する荒川工業高等学校の学生たち

    freeeのオフィスを見学する荒川工業高等学校の学生たち

  • 社員が話す内容をメモする学生

    社員が話す内容をメモする学生

  • freeeのオフィスにあるサンドバックにパンチ

    freeeのオフィスにあるサンドバックにパンチする学生

エンジニア講師と生徒のそれぞれが簡単に自己紹介を済ませた後、コーディングを開始。今回使用したプログラミング言語は「React(リアクト)」。Reactは、Webサービスやアプリケーションの「見た目」や「ふるまい」(UI:User Interface)に特化した言語で、米メタ(旧フェイスブック)によって開発された。「Facebook」や「Twitter」などのSNS、動画配信サービスのNETFLIXなどさまざまなサービスで使われている。

  • プログラミング授業の様子

    プログラミング授業の様子

生徒たちはこのReactを使って「三目並べ」を作ることに挑戦。三目並べとは、3×3の格子を用意し、二人が交互に「○」と「×」を書き込んで3つ並べると勝てるゲームだ。一からコーディングするのは難易度が高いので、ある程度コーディングされているスターターコードの編集作業をブラウザ上で行った。

全体の構造がどうなっているのかを理解した後、盤面がマウスのクリックに反応したり、プレイヤーを交互に交代させたり、どちらが勝利したかを表示したりするようにコードを編集していった。

  • 「三目並べ」の作成手順を教えるエンジニア講師

    「三目並べ」の作成手順を教えるエンジニア講師

生徒たちは、何度も表示されるエラーに屈することなく、freeeのエンジニア社員に質問を繰り返し、他の生徒と試行錯誤しながらプログラミングを行っていた。授業を行っていたエンジニアの講師も「生徒たちの理解がとても早かった。もっと苦戦すると思っていた」と感心していた。

  • エラーの原因が何なのか熟考している学生

    エラーの原因が何なのか熟考している学生

  • freeeのエンジニアがコーディングを支援

    freeeのエンジニアがコーディングを支援

  • freeeのエンジニアがコーディングを支援

    freeeのエンジニアがコーディングを支援

プログラミングを終えた後、生徒たちからは「ミスを見つけるのに時間がかかってしまった。でも、ミスを直してプログラムがきちんと動くと楽しい」、「Reactは初めて使うプログラミング言語だったけど、(プログラミング言語の)本質はどれも同じだと思った」、「オセロやチェス、じゃんけんもプログラミングで作れそう」といった感想が出ていた。

  • 授業の感想を出し合う生徒たち

    授業の感想を出し合う生徒たち

ほかにも、「オフィスがきれい」、「社員さんの人間関係が良好で羨ましい」といった声もあり、freeeのオフィスや社内の風土に感心している様子もうかがえた。

  • freeeオリジナルTシャツももらってとても喜んでいた

    freeeオリジナルTシャツをもらってとても喜んでいた

今回の授業で生徒たちは、エンジニアの仕事イメージを膨らませ、Reactによるプログラミングを体験した。7月19日には「紙飛行機をチームで作る」といった行動を通じて、ソフトウェアのアジャイル開発を学ぶ授業も実施された。

  • チームが可能な限り多くの飛行可能な飛行機を作るために試行錯誤している様子

    チームが可能な限り多くの飛行可能な飛行機を作るために試行錯誤している様子

今回の授業は、東京都教育委員会が企業などと連携してデジタル人材の育成を目指す「Tokyo P-TECH事業」の一環として実施された。荒川工業高等学校以外にも、町田工業高校、府中工業高等学校が参画しており、ソフトバンクやセールスフォース・ジャパン、日本アイ・ビー・エムなどの企業と連携している。

荒川工業高等学校校長の西牧豊実氏は、初の取り組みとなる今回の授業について「生徒が講師に対して積極的に質問していた。聞くのが恥ずかしくないと思えたことが一番の収穫だった」と話し、「今後もさまざまな企業と連携して、オフィス見学やプログラミング授業を継続していく」と展望を示した。

freeeは、IT企業として未来を担う高校生に興味を持ってもらうきっかけづくりの場を提供したいと考え同事業に参画。また、モノづくりを通じて「ちょっとした楽しさ」や課題解決方法を知ってもらうことで、社会に出ることへの不安も払拭したいと考えているという。

同社は今後、来年度からの荒川工業高校との授業の本格実施に向けての準備を進める。さらに将来は、高校生のみならず若い世代にITに関する知見を共有できる場を増やしていく考えだ。